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1994/05/08 朝日新聞朝刊
統合幕僚会議 陸海空自衛隊の調整役(みんなのQ&A)
Q 自衛隊の統合幕僚会議(統幕)が四十周年を迎えたそうだが、何をする機関なの?
A 一言で言えば、陸海空三自衛隊の調整役だ。ただ、武器の購入など予算要求はもっぱら陸海空の幕僚監部がやるし、統幕は各自衛隊の人事権も持たない。肝心の部隊指揮だって、防衛庁長官の指揮補佐を、三自衛隊のトップである各幕僚長が個別に行うことになっている。四十年前は旧軍の「大本営」のイメージが強烈で、「象徴的存在」にとどめられたらしい。
Q どんな構成になっているの。
A 幕僚長経験者から選ばれる議長と、三自衛隊の幕僚長の計四人だ。月二回、定例会議を開いている。事務局は「情報収集」、「後方支援」担当など五室に分かれ、自衛官約二百人が働く。
Q 機能の強化を求める声もあるようだね。
A 三月に開かれた細川護煕前首相の私的諮問機関「防衛問題懇談会」で、そういう意見が出た。統合参謀本部が大きな権限を持つ米軍を例にひき、統幕議長の権限を広げてはどうか、との提案だった。統幕内では、大震災の救援などで指揮権限を与えてほしいとの声が強い。
Q なぜ、今、そういう要求が出てきているのだろう。
A 国連平和維持活動(PKO)で、実際に三自衛隊の調整が必要な場面が出てきたのが大きい。カンボジアでは、陸上自衛隊が中心になり、輸送を海空両自衛隊が支援した。「陸」は現地で井戸を掘ったが、水量が足りず、港に停泊する「海」の補給艦から提供を受けた。しかし、補給艦の帰国予定の正月がせまり、統幕会議で両幕僚長が、補給艦の帰国延期を話し合ったという。
また、一九八六年以降、米軍との共同・統合演習が始まったのも大きい。在日米軍は陸海空軍を一体化した統合軍だ。共同演習では、陸海空のうちどの戦力を投入するかなど、指揮の統合機能が重視される。米軍との作戦面での一体化が追求される中で、統幕が米軍側と調整をする場面が増えてきた。
Q 朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の核開発問題にからむ安全保障政策で、議論があるね。統幕への影響は?
A 一般論として、話題になっている海上阻止行動などでは、「海」と「空」の連携が出てくる。しかし、統幕の機能を変えるとなると、法改正が必要で、防衛庁内でも公式には検討されていない。ただ、自衛隊の任務を拡大したいとの志向が新生党などに強いから、将来、論議を呼ぶ可能性はあるだろう。
現在、情報収集・分析の機能を一元化する動きが先行している。米国の国防情報局(DIA)をモデルに、内局、統幕、各幕僚監部に分散している情報部門を統合しようとの構想で、本部は統幕に置かれるともいわれる。統幕の機能が強化されれば、制服組の発言力も増すだろう。制服組にも「シビリアンコントロール(文民統制)をどう機能させるかが、今後の課題」という声がある。一番、根本の問題だろうね。
(社会部 岡野直)
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