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私はこう考える【自衛隊について】

 事業名 組織運営と事業開発に関する調査研究
 団体名 日本財団(The Nippon Foundation  


1992/09/30 朝日新聞朝刊
防衛論議、与野党にミゾ(転機の自衛隊 PKO本格活動を前に:4)
 
 防衛庁内局のある幹部は「今こそ野党、特に社会党を巻き込んで自衛隊のあり方を議論する絶好の機会だ。その結果、防衛費を削減するということになっても構わない」と話す。
○防衛庁は論議期待
 「特に社会党」と強調したのは、社会党が共産党、社民連とともに国連平和維持活動協力法(PKO協力法)に最後まで反対したため、本当の意味での国民合意ができないまま自衛隊員をカンボジアに送り出したことに、後味の悪さを感じているからだ。
 PKO問題だけではなく、冷戦後の防衛力のあり方が今まさに問われている。防衛庁には「例えばスクランブル(領空に侵入してくる航空機への緊急発進)は、もう首都圏だけでいいとか、防衛力を縮減する場合の基本的指針は政治で決めてほしい」(事務次官経験者)と、国会の場で中身に踏み込んだ議論が行われることへの期待感がある。
 この大きな節目で、またも特定の政党をカヤの外に置いた議論が行われるようだと、後々までしこりを残す。だから、与野党がともに実質的な議論を行える共通の土俵を作れるかどうかが最大の課題といえる。
 社会党の右派、若手議員、支援労組などから「自衛隊容認論」や「合憲論」が相次いで出される一方、自民党にも軍事面での国際貢献に強い難色を示す議員が少なくないことで、容易に両党間の接点を見いだす可能性があるかにも見える。
 だが、両党とも複雑な内部事情を抱え、一筋縄ではいかない。党内不一致ということでは社会党の方がはるかに深刻だ。
○「原点」譲らぬ社党
 「青年よ銃をとるな」(1951年、鈴木茂三郎委員長=当時=の就任演説)との訴えは、社会党の平和路線の原点となり、今もなお国民一人ひとりの心のどこかと共鳴する。
 社会党内でも、地方組織で圧倒的に強い左派は、この原点を何よりも優先させがちで、「冷戦時代の護憲論はもはや通用しない」(伊藤茂副委員長)といった主張を退けてしまう。社会党が自衛隊の存在を認めない立場を崩さず、実質的な防衛論議に加わろうとしないのは、こうした事情があるからだ。
 そんな社会党をしり目に、自民党は早くも長期的な論議に火をつけようとしている。「国際社会における日本の役割に関する特別調査会」(小沢一郎会長)は「能動的平和主義」を唱え、軍事面を含めた国際貢献が必要と主張。これに対しては「憲法のつまみ食いは絶対に認めない」(栗原祐幸党憲法調査会長)などの批判が出ている。
 自民党内で、軍事的貢献に積極的な議員の多くは、「軍国主義に走るのではないか」といった疑問に対し、こんな説明をする。「民主主義を信じるべきだ。有権者は気に食わない政策を選択した議員を選挙で落とすことができる」(椎名素夫参院議員)。議会制民主主義のもとでのシビリアンコントロール(文民統制)がある限り、決して戦前のような過ちは繰り返さないというのだ。
○思考停止への懸念
 一方、「国会審議がこんなありさまでは、文民統制が十分機能できるかどうか心配だ」と言うのが後藤田正晴・元官房長官だ。後藤田氏は「本来、国会が文民統制の最後のとりでになるのだが、健全野党が存在しない現状では、与党の中で慎重に自己規制していかないと、憂慮すべき方向に走ってしまう。今、軍事貢献をしなければと短絡してはいけない」と慎重な対応を説く。
 国会審議を長年見守ってきた宮下忠安参院予算委員会調査室長は「これまで、野党は政府の揚げ足を取ることだけ、政府はかわすことだけを考えれば済んだ。これでは双方とも思考停止に陥る。議員同士が自由に意見をぶつけ合い、生産的な議論ができる仕組みを作れば、政党間の不毛な対立は、あるいは解消するのでは」と指摘する。審議の「器」が変われば「中身」も変わるかもしれない。共通の土俵作りの1つの手がかりとして、望みをつなぎたい。
(政治部・峰久和哲)
 =おわり
 
 
 
 
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