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私はこう考える【自衛隊について】

 事業名 組織運営と事業開発に関する調査研究
 団体名 日本財団(The Nippon Foundation  


1992/09/28 朝日新聞朝刊
日米同盟維持と国際貢献(転機の自衛隊 PKO本格活動を前に:2)
 
 米フロリダ州などを8月末襲ったハリケーンが、自衛隊を見る米国の視点の多様化をくっきりと示した。
 死者約40人、約25万人が家を失ったこの米史上最大の災害では、連邦軍の救援出動が遅れ、4日もかかった。新聞、テレビが「外国に派兵するのに、自国民は助けないのか」といった被災者の怒りを連日伝えるなか、ワシントン・ポスト紙は、日本の自衛隊が台風災害などでは数時間の内に出動することを詳しく伝える東京電を災害ニュース特設面に掲載した。
 「日本では批判されることが多かった自衛隊が、米軍の手本と描かれる。冷戦後、米国でも欧州でも軍の役割について混乱があり、自衛隊へのこうした評価はその表れ」と、SAIS(サイス)外交研究所で日本の防衛政策を研究するマイケル・グリーン氏は語る。
○アジア戦略に輪郭
 日米安保体制のもと、自衛隊の役割は米国の戦略に大きく規定されてきた。その米軍は、冷戦終結を受けて、とりあえず96年度までに在欧軍の大幅縮小など総兵力の25%を削減中。大統領選後には国防予算のさらなる削減も予想されるなど、まだ戦略練り直しの過程にある。
 だが、当面の米国のアジア・太平洋戦略は、輪郭は見せ始めた。最新の同地域の戦力再編に関する国防総省議会報告(7月)は、朝鮮半島、中国の動向など依然残る不安定要因を挙げながら、在日米軍を含めてこの地域での軍事的プレゼンス(存在)は維持していくことを強調した。
 その中で日米安保はどうなるのか。同省高官は、旧ソ連の直接的脅威は遠のいたが、日米両国は不安定な極東の安全の「基本的抑止力」を引き続き担い、従って「日本は防衛能力、米国は大規模な戦力展開能力」という軍事的役割分担など日米同盟に質的変化は当面はないと説明する。
○対日恐怖消す存在
 とはいえ、米国内で語られる日米安保、自衛隊の「将来像」には、冷戦後の流動的な状況が反映する。
 米アジア戦力、日米安保の理由づけがその1つ。ソ連消滅後、際立ってしまった日本の軍事力。それへの近隣諸国の「恐怖感」を打ち消し、地域を安定化するためにも、アジアに自衛隊に勝る米戦力の存在が必要とする理由が、最近、アジア・太平洋戦力の削減案を検討した米ランド研究所報告でも指摘された。
 一方で、自衛隊への期待は複雑さを増してきた。国防総省報告は「シーレーン防衛、防空体制の欠点」と、特定分野の防衛力強化を促した。民間には、米国の軍事費削減に対応して「例えばもう1港、空母の母港を提供する」(クロプシー・ヘリテージ財団アジア部長)など日本側の肩代わり論から、「ソ連向けだった防衛費の一部を国連平和維持活動(PKO)用の装備費に転用、将来の国連平和維持軍(PKF)参加もにらんだ防衛政策の力点の転換」(ブレックマン・スティムソンセンター所長)まである。
○日本にも選択の幅
 冷戦後の「移行期」は、日本の行動の幅、選択肢を広げた。同時に、新しい問題も突き付けている。
 日本の国際貢献問題は湾岸危機時の米国の「圧力」で触発された。このため、国会論議などでも国際貢献と日米協力は時に二重写しになってきた。が、米国側は「PKOそれ自体は軍事活動ではない」(国防総省高官)と、日米同盟関係とは別物だ、と指摘する。自衛隊の役割はいま、国連外交に連なるPKOと、地域の安全保障を目指す日米間の軍事関係との両方をにらんだ「連立方程式」になったともいえる。
 どう解くのか。イクレ前国防次官は、日本の国内論議の広がりがカギだとしながら「自衛隊ももっと大衆に語りかけるべきだ」。過剰な軍備に反対してきた民間の国防情報センターのキャロル副所長(元空母ミッドウェー艦長)は、国連PKOへの参加をたたえたうえで、「国民の意思を超えて軍事介入をさせない世論の重みが日本にはあると思う。日本の民主主義を信じる」といった。
 (ワシントン・吉田慎一)
 
 
 
 
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