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私はこう考える【自衛隊について】

 事業名 組織運営と事業開発に関する調査研究
 団体名 日本財団(The Nippon Foundation  


1992/09/27 朝日新聞朝刊
ソ連消滅で揺らぐ存在(転機の自衛隊 PKO本格活動を前に:1)
 
 「平素の業務などをにらんで決めた。現在、準備に専念できるのは北部方面隊ですから」
 11日、宮下創平防衛庁長官は国連平和維持活動(PKO)へ初の自衛隊派遣となるカンボジア派遣施設(工兵)大隊に派遣命令を出すとともに、北海道を管轄する陸上自衛隊北部方面隊にも6カ月後に交代する部隊の編成準備を命じた。その理由を西元徹也陸上幕僚長はこう説明した。
○「北の守り」に余力
 北部方面隊は陸自の13個師団中、4個師団を抱え、戦車連隊を中心とする唯一の機甲師団を持つなど「北の脅威」をにらんだ重点配備がされてきた。
 そこからPKO部隊を出す“余力”があるというわけだから「北の脅威よりも今はPKO」。そんな防衛庁の意識がほの見えたともいえる。
 海上自衛隊八戸航空基地。対潜哨戒機P3C約20機が北海道周辺のソ連潜水艦の動きなどを追ってきた。PKOの輸送部隊が日本を出発した翌日の18日も、対潜水艦戦の訓練が続いていた。
 訓練海域は岩手県宮古市沖。レーダーが敵潜水艦をとらえたとの想定で、潜航して逃げる潜水艦の周囲にソノブイ(音波探知装置)を次々に投下して追い詰め、魚雷を発射していく。「音紋を分析すれば、旧ソ連のどの艦か分かりますよ」と、飛行6000時間の経歴を持つ大塚正信2佐。
 しかし、旧ソ連軍艦船の動きは極端に鈍っている。旧ソ連艦の太平洋への出入り口として、自衛隊が日米共同作戦の絡みで監視してきた宗谷、津軽、対馬の3海峡通過が確認されたのは、87年度は137隻だったが、昨年度は33隻。今年度はまだ7隻だ。
○士気の維持も悩み
 潜水艦の探知結果は極秘だが、「ほぼ同じ減少傾向にある」(防衛局調査2課)という。「米国とともに我々の活動もソ連を崩壊に導く要因になった」と同基地の幕僚の1人。「ただ、これからの『平時』に、隊員の士気をどう維持するか。難しい問題だ」とも。
 P3Cは1機約126億円。防衛庁は現在の77機を98年には100機体制にする計画だ。
 76年に策定された「防衛計画の大綱」は、「仮想敵国」を持たず、「独立国として必要最小限の基盤的防衛力を保持する」としている。だが、現実には80年代、ソ連を「潜在的脅威」と呼び、防衛力増強のてこにしてきた。
 しかし、冷戦終結、ソ連崩壊で、日本を取り巻く情勢は激変しつつある。今年の米国防報告書は「(米国は)グローバルな挑戦を仕掛ける能力のある敵とは、どことも対峙(たいじ)していない」と宣言。ロシア側も「西側先進諸国はロシアの必然的同盟国」(コーズィレフ外相)と言い切った。
 92年版防衛白書は、極東旧ソ連軍の存在や朝鮮民主主義人民共和国の軍事力拡大などを「不安定要因」と指摘。一方で、「防衛計画の大綱」の今日的意義を強調し、防衛力整備の必要性を訴えた。
○防衛大綱を再検討
 だが、こうした訴えが説得力を持つか。エリツィン大統領の突然の来日延期などで「やはりロシアは何をやるか分からない」との声も自民党内にはある。しかし、防衛庁幹部の1人は「強大なソ連の軍事力はあえて説明しなくても国民の多くは脅威だと理解してもらえた。だが、さびたロシア軍艦を見て、脅威だと説明するのは難しい・・・」ともらす。
 新たに任務となったPKO活動に「活路」を見いだそうとの動きもある。が、「自衛隊の本務はあくまで防衛。PKOは存在の意義付けにはならない」(陸自幹部)との意見も強い。
 冷戦を背景に膨張を続けてきた自衛隊。その存在基盤が揺らぐ中で、防衛庁は宮沢喜一首相の指示で、今年1月、「大綱」見直しなど、「防衛力の在り方」の検討を始めた。だが、「日本の防衛政策は米国の安全保障戦略との関連なしに勝手には決められない」(長官経験者)こともあり、まだ、模索は始まったにすぎない。
(政治部・森山二朗)
 
 
 
 
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