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私はこう考える【自衛隊について】

 事業名 組織運営と事業開発に関する調査研究
 団体名 日本財団(The Nippon Foundation  


1992/09/18 朝日新聞朝刊
自衛隊が変わるときだ(社説)
 
 17日、自衛隊のカンボジア派遣部隊の第1陣が出発した。陸上自衛隊の施設大隊と海上自衛隊の海上輸送補給部隊のあわせて400余人。3隻の自衛艦に分乗しての旅立ちである。
 掃海艇のペルシャ湾派遣や合同演習などで、過去にも自衛隊が海外へ出かけたことはあった。しかし他国で、しかもアジアの国で、自衛隊が部隊として展開するのは初めてだ。その重みをかみしめたい。
 今回の自衛隊派遣は、国連平和維持活動協力法(PKO協力法)よるもので、武力行使を目的としたものではない。当面は道路・橋などの補修に力点を置いており、その点では現地の人々から歓迎されるだろう。
 私たちは、自衛隊の海外派遣は慎重にすべきだと主張してきた。内外の不安を解消する一方、自衛隊の健全な育成を進めるには、むしろこれとは別の組織を創設して、PKO活動に専念させたほうがいいと信じているからだ。
 しかし、それはいれられることなく自衛隊派遣の日を迎えた。残念ではあるが、法律に基づく派遣である以上、受け入れざるを得ない。派遣隊員の健康を祈るとともに、今後は、よりよきPKOにするため、法制、運用などの面で大いに改善に努めてもらいたい。
 PKO協力法には依然として不透明な部分が残っている。今回の派遣にしても出たとこ勝負的な色彩が濃い。これでは派遣される隊員や家族の不安は消えない。
 一方で、国連には「軍事面重視のPKOを」といった意見が出てきた。日本のPKOが目指したものとはかなり違う。それとの調和をどうするか、日本のPKOが国際的に問いなおされる時期は、意外に早くやってくる感じである。
 PKO協力法の運用について、3年後に見直すことになっているのは幸いだった。その間、世界の動向を見きわめつつ、お互い冷静になって、真に役立つ平和維持活動を模索したいものだ。
 同時に避けて通れないのは自衛隊の改革である。ソ連脅威論のもと、冷戦対応型の軍事力整備に努めてきた日本は、PKO活動重視の時代に入ったいま、自衛隊の防衛構想、配置、装備、兵員、訓練など、あらゆる面で改革を迫られている。
 これまで内外で、自衛隊の海外派遣に慎重論が高かったのは、なるほど最初は国連の枠のなかで、かつ平和維持のために出動したとしても、自衛隊はいつかそれを超えて勝手な行動に走るのではないか、という不安があったからである。
 いわれのない疑いというべきであろう。しかし、日本の過去がそういう気持ちを近隣諸国に植えつけた面のあることを、私たちは知っている。
 この疑いを消すには、当方の意向を具体的に相手に示すことだ。制度的に、また装備の面で、侵略などできないのだということを、他国に分からせればよい。
 そのためには、自衛隊の軍備縮小、防衛費の思い切った削減が効果的である。それによって、日本の方向が明確になり、他国の目は大きく変わるはずだ。
 その際、軍縮が冷戦後にふさわしい防衛戦略に裏付けされていることが大切だ。これを欠くと、せっかくの軍縮も場当たり的となり、効果は半減する。まず新時代に適応した防衛構想を示し、それをもとに軍縮を進めるべきである。
 これによって自衛隊が再生したとき、海外派遣をめぐる不安は一掃され、自衛隊に対する内外の信頼感は高まるだろう。
 
 
 
 
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