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私はこう考える【自衛隊について】

 事業名 組織運営と事業開発に関する調査研究
 団体名 日本財団(The Nippon Foundation  


1991/06/26 朝日新聞朝刊
国際平和協力 自衛隊の海外派遣:中(なんでもQ&A)
 
 Q 去年秋の臨時国会で、国連平和協力法案が自衛隊の参加問題でつまずいて廃案になったね。なのに、国連平和維持活動(PKO)への協力で、また自衛隊の扱いが焦点になっている。
 A 国連平和協力法案は、PKOだけでなく、湾岸危機で出動した多国籍軍にも協力できる条文を盛り込んでいたからね。多国籍軍となると、国連ではなく、事実上、米軍への協力ではないかと、野党が強く反発した。軍事的な緊張の最中だったこともあって、廃案に追い込まれたんだ。
 そこで今、政府・自民党は国連決議に基づくPKOに対象を絞って、法案をつくっている。「平時」になって落ち着いた議論ができるし、日本の「国際貢献」に国民の意識も高まったからね。それに、掃海艇がペルシャ湾に出かけたことで、自衛隊派遣への抵抗感も減った、と読んでいるわけだ。
 Q でも、昨秋の自民、公明、民社の3党合意では、PKOに協力するのは「自衛隊とは別個の組織」となっていたじゃないか。どうして自衛隊からの参加が息を吹き返したの。
 A PKOは、武器を携行して兵力の引き離しなどにあたる「平和維持軍」(PKF)、非武装で休戦協定の違反行為などに目を光らせる「停戦監視団」、公正な選挙を保障する「選挙監視団」に大別できるんだ。日本はこれまでも選挙監視団に参加したほか、停戦監視団に政務官を送っている。
 今回、政府は、停戦監視団の中枢である軍事監視要員はもちろん、軽武装のPKFにも自衛隊を部隊参加させる方向で、法案のとりまとめを始めた。PKFでは後方支援への協力に限る考え方もあるが、本体と後方をはっきりとは分けられないという判断が固まった。国連の要請、紛争当事国の同意と協力、国会の承認が派遣の条件としている。
 Q 停戦監視団は丸腰だから政府の言い分を認めるとしても、PKFでは武力を使う可能性が強いんじゃないの。
 A 国連は日本側に、「武力行使によってではなく、国連の権威と説得によって任務を遂行する」と説明している。政府としては、「個々のPKOについて、安保理決議や指令書が武力行使を容認しているかどうかで、参加の是非を判断すればいい」という立場で、法案をつくろうとしている。
 だけど、「国連レバノン暫定軍」ではバズーカ砲を持って行った例もある。武力行使が目的でないといっても、こんなものまで持っていっていいのか、という疑問が内閣法制局などから提起されている。万一、攻撃されたとき、個人の応戦は正当防衛としても、部隊ぐるみの応戦はできるのかなど、問題点は残されている。
 Q 野党側は、政府・自民党の動きにどう対応しているの。
 A 掃海艇派遣に対しては、社会党が「専守防衛の自衛隊を根底から変える」と批判してる。公明党も、「設置目的が自国防衛に限定されている自衛隊を国際協力に使うには、法改正を含めた民主的手続きが必要だ」という立場。共産党は自衛隊違憲論から「暴挙」と非難してる。民社だけは「国際貢献に寄与するもので、当然」と賛成した。
 Q それにしても、ひところに比べると、野党のムードも変わってきたなあ。
 A その通りだ。国際貢献論議を通じ、自衛隊に対する世間の見方が変わった面もあるからね。社会党は党改革論議の中で、右派や若手の議員グループから、自衛隊合憲論への転換を求める声が高まった。公明党にも、PKO協力組織に自衛隊活用の機運が出ている。民社党も「予備自衛官まで」としてきた見解を、5月半ばに引っ込め、現職自衛官まで容認する方針を打ち出した。
 Q 自公民3党だけでなく、社会党もPKO協力に自衛隊の参加を認めるかもしれないなあ。
 A 社会党はあくまで「非軍事・文民」の原則を貫く立場だ。党のプロジェクトが5月に決定した独自案は、「国際平和協力隊」の任務を行政事務、選挙事務、医療援助などに限定し、隊員は「自衛官および予備自衛官を除く」としている。ただ党内には、自衛隊なら何でも反対という姿勢では、冷戦後の国際環境について行けないとの主張が高まっているね。
 (政治部・根本清樹)
 
 
 
 
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