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私はこう考える【自衛隊について】

 事業名 組織運営と事業開発に関する調査研究
 団体名 日本財団(The Nippon Foundation  


1991/06/25 朝日新聞朝刊
憲法と自衛隊法 自衛隊の海外派遣:上(なんでもQ&A)
 
 海上自衛隊の掃海艇が、ペルシャ湾で機雷処理にあたっている。国連の平和維持活動(PKO)に自衛隊を参加させる論議が活発だ。自衛隊の海外派遣に疑問をもつ向きもある。
 Q 憲法は、自衛隊が海外に出ることを認めていないのでは。
 A 憲法9条には、国際紛争を解決する手段としての戦争、武力による威嚇や行使を「永久に放棄する」とあるからね。でも、政府は「海外派兵」は認められないが、「海外派遣」がすべてダメとは言えないと、分けているんだ。
 Q どういう説明で。
 A 1980年の政府答弁書がよく引用される。海外派兵は「武力行使の目的をもって武装した部隊を他国の領土、領海、領空に派遣すること」と定義し、これは憲法上許されない。一方、「武力行使の目的をもたないで部隊を他国へ派遣すること」は憲法上許されないわけではない、という見解だ。もっとも、法律で自衛隊の任務、権限として規定されていないと海外派遣はできない、とも付け加えているけどね。
 Q 自衛隊の役割は、専守防衛のはずでしょう。自衛隊法は、行動範囲を限定してないの。
 A 自衛隊法3条では、自衛隊は「直接侵略及び間接侵略に対しわが国を防衛すること」を主たる任務としている。ただ政府は、自衛隊が行動できる地理的な範囲について、「必ずしも日本の領土、領海、領空に限られない」と言ってきた。行動範囲がどこまでかは、個々の状況に応じて違うので一概には言えない、としているんだ。
 Q 確か自衛隊の海外出動を禁止した参院決議があるのでは。
 A 1954年の自衛隊創設に伴う決議だね。昨秋の国連平和協力法案の国会審議で、海部首相は「あの当時、自衛隊がPKOなどに協力するため派遣されることは想定していなかったはず」と突っぱねている。禁じているのは「派兵」であって、遠洋航海訓練や南極観測への協力など派遣例はすでにある、という主張だった。
 Q 今回の掃海艇派遣はどんな根拠に基づいてるの。
 A 自衛隊法99条に「機雷等の除去」の任務をうたっている。87年にもペルシャ湾への派遣が検討され、当時の政府答弁書で、機雷が公海上に捨てられたと認められ、日本船舶の航行の安全を妨げている場合は、海外でも掃海作業をできるという初の見解を出したんだ。当時はイラン・イラク戦争の最中だったから、中曽根首相も「政治判断」として、派遣しなかった。今回、海部首相は湾岸戦争の正式な停戦が成立したことを派遣理由の1つにしているね。
 Q 法律の拡大解釈で、自衛隊の海外派遣をどんどん広げている気がするなあ。湾岸戦争の時、国会に諮らない特例政令の制定で、避難民を移送する自衛隊輸送機を派遣しようとしただろう。
 A あれは海部首相も「自衛隊法改正が筋」と口を滑らせた。内閣法制局でも、つじつま合わせに苦心したようだよ。自衛隊法100条の5は、自衛隊機による輸送対象を「国賓、内閣総理大臣その他政令で定める者」としているんだが、それを根拠に「人道的見地から臨時応急の措置」として、湾岸戦争の避難民も特例政令で対象に含めたわけだから。実際は派遣しなかったが前例にはなるね。
 Q 最近、防衛庁は海外の災害にも自衛隊を派遣できるようにしようと、熱心なようだけど。
 A 雲仙の火砕流災害の場合もそうだけど、知事の要請を受けて自衛隊が国内の災害で出動する例はよく知られている。自衛隊の国際協力なら、まず災害救助に実績を生かそう、というのが防衛庁の考えのようだね。
 Q それには、法律改正の手続きもきちんと踏まないと。
 A 海外災害の救援には、外務省所管の国際緊急援助隊派遣法で今は対応しているが、自衛隊は対象外だ。自衛隊を派遣するには、この法律の関係省庁に防衛庁を加える改正が必要になるだろうね。もっとも防衛庁には、自衛隊法を改正して海外災害派遣任務を明記すれば、出動要請に応じられるという意見もある。
(政治部・斉藤悦也)
 
 
 
 
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