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私はこう考える【自衛隊について】

 事業名 組織運営と事業開発に関する調査研究
 団体名 日本財団(The Nippon Foundation  


1991/05/25 朝日新聞朝刊
自衛隊論議を避けるな(社説)
 
 社会党の改革論議がようやく軌道にのり6月20日をめどに改革案をまとめる作業スケジュールが決まった。
 広く党外の人たちの意見を聴くため、地方公聴会や東京での国民公聴会を計画するなど、再建にかけるそれなりの決意がうかがわれる。しかし、安保・自衛隊問題を「当面棚上げする」という党改革委員会の方針は、どうかと思う。
 同委員会では「自衛隊の憲法上の位置付けを含め、基本政策の見直しをしっかり論議すべきだ」という意見が出たのに対し、党幹部から「深入りすると収拾がつかなくなり、改革そのものがおかしくなる」との懸念が示されたという。
 党内運営という面からみれば、その懸念もわからないではない。だが、自衛隊の海外での活動をめぐる論議は、当面の焦点の問題である。国民がいま社会党に期待するのは、憲法の平和主義と国際貢献を両立させる積極的な政策を提示することだ。その期待に背くことになりはしないか。
 政府・自民党は掃海艇派遣が予想以上にスムーズに実現したことから、国連の平和維持活動(PKO)への協力に自衛隊を活用する案を検討するなど、早くも次の一手を準備している。ここで社会党が党内論議を見送ったら、また、原則論によりかかったまま何もしないことになる。
 朝日新聞が4月に実施した掃海艇派遣問題に関する全国電話世論調査によると、派遣に賛成の人は56%を占めたが、「憲法上問題がある」という意見が46%(問題なしは33%)、現行自衛隊法で派遣可能とする政府の法解釈を支持する人は40%で、不支持が42%だった。
 この結果は、一口でいえば、多くの国民が国際社会の中で占める日本の地位と責任の大きさを自覚しながらも、政府の手法は戦後40余年曲がりなりにも貫いてきた平和路線をなし崩しにしかねないとの不安を感じている、といえよう。
 こうした国民の意識を十分くみ取って実行可能な政策にまとめ上げることは、全政党の使命というべきだが、とくに社会党は「護憲・平和の党」として戦後政治の一方の極を形作ってきた政党である。ぜひとも徹底的な論議をしてもらいたい。
 すでに党内では、最大の議員グループの水曜会が「日米安保条約を承認する。自衛隊は装備・戦略が専守防衛的である限り合憲とする」といった大胆な転換を提言するなど、さまざまな論議が渦巻いている。その背景には「冷戦構造を前提にした外交防衛政策では対応しきれない」という認識が一般化している事実がある。
 土井委員長はさきの全国代表者会議の席上、「憲法を守るという言葉だけで、護憲の岸辺に立ち尽くすことは許されない」と述べた。その通りである。党内の論議にふたをするのではなく、新しい時代に立ち向かう新しい論理をつくるべきだ。
 その点で、社民連が24日の社会党との定期協議の中で示した「安全保障問題の基本政策」は参考になるかもしれない。この構想は自衛隊のPKO参加を積極的に認める一方、「防衛基本法」を新たに制定し専守防衛の原則や海外派兵の禁止など、自衛隊が暴走しないための歯止めとなる基本原則を盛り込むとしている。
 非核3原則や武器輸出の禁止なども含め社会党を中心とする野党が、40年に及ぶ国会の防衛論議でかち取ってきた成果は少なくない。それを基本法という形で明確な歯止めにするという発想は、積極的に検討されてよいことではないか。
 
 
 
 
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