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私はこう考える【自衛隊について】

 事業名 組織運営と事業開発に関する調査研究
 団体名 日本財団(The Nippon Foundation  


1991/04/25 朝日新聞朝刊
自衛隊初の海外派遣 「ペルシャ湾へ掃海艇」決定、あす出発
 
 政府は24日夜、安全保障会議、臨時閣議を首相官邸で相次いで開き、ペルシャ湾の機雷除去のため海上自衛隊の掃海艇を派遣することを正式に決めた。このあと海部首相は午後9時すぎから記者会見し、同湾の航行安全の回復は(1)国際社会の要請だ(2)湾岸戦争の被災国復興にも寄与する(3)国民生活に不可欠な原油確保のため日本にも必要――として派遣に理解を求める「政府声明」を発表。憲法の禁止する海外派兵ではないと強調した。決定を受けて池田防衛庁長官は、海上自衛隊に対し、掃海母艦、掃海艇など計6隻、約500人の掃海部隊を26日に出発させるよう命令した。軍事能力を用いるための自衛隊部隊の海外派遣は初めて。野党などには、派遣反対論のほか、国会での論議不足批判や今後の「歯止め」を求める声などが依然根強く、近隣アジア諸国の反応とあわせて波紋を広げそうだ。
 安保会議では、首相が「現在、ペルシャ湾に8カ国が掃海艇を出している。日本も派遣したい」と表明。中山外相が諸外国の対応などについて説明したほか、「ホルムズ海峡通過船舶の22%が日本船だ。石油連盟や全日本海員組合からも安全確保要請がある」(中尾通産相)、「船舶の運航に大きな支障が出ている」(村岡運輸相)などの意見が出た。池田防衛庁長官は「派遣には一切法律違反はない」と説明した。
 続いて開かれた閣議は、首相が政府声明の要点を説明した後、防衛庁長官が計6隻を派遣する方針を明らかにし、議論もなく派遣を決定した。
 「政府声明」は、5項目からなり、派遣決定の理由などを説明している。掃海艇の海外派遣については、自衛隊法99条に基づく措置とし、「平和時に、日本船舶の航行安全のため、海上に遺棄された機雷を除去する」ためだとし、「武力行使の目的をもつものでなく、憲法の禁じる海外派兵には当たらない」とした。
 さらに(1)湾岸戦争の停戦が確定し、米英仏など8カ国が機雷除去に当たっている(2)ペルシャ湾は世界の主要な原油輸送路のひとつであり、航行の安全回復は国際社会の要請であるほか、原油の相当部分を輸入するわが国にとっても、安全航行は喫緊の課題だ(3)できるだけ速やかに準備し、関係諸国の理解と協力を得て実行したい(4)今回の措置は船舶の安全確保、被災国の復興という平和的、人道的な人的貢献の1つだ――などと説明している。
 声明はまた、憲法9条を引用して、「平和国家の理念を将来にわたり堅持する決意」を強調したが、「派遣は、なし崩し的に海外派兵につながる」と野党の一部などが求めていた「歯止め」について、将来の自衛隊法改正など具体的な法的措置についての言及はなかった。
 掃海艇の海外派遣について、政府はイラン・イラク戦争時の1987年の政府答弁書で、機雷が公海上に遺棄されており、日本船舶の航行の障害になっている、との2つの条件付きで、初めて「自衛隊法上も問題はない」との見解を表明したが、「紛争中」を理由に実際の派遣には踏み込まなかった。
 今回は、停戦の実現で機雷が遺棄されたと認定できるほか、紛争に巻き込まれる恐れもなくなったとして、派遣を決めた形。政府は、近隣アジア諸国から予想される懸念についても、首相自身の27日からの東南アジア諸国連合(ASEAN)訪問や、外交ルートを通して、説明し理解を求めていくとしている。
 首相は、今月8日の統一地方選前半戦の投開票後、経済界などから掃海艇派遣要請の声が上がったのを機に、野党側に打診を始めた。23日には自民党内の手続きを経たうえで、社会、公明、共産、民社の野党4党党首と会談し、公式に派遣方針を表明、理解を求めた。その結果、「共産党以外は、条件付き賛成と言えなくはない」(政府筋)などと、野党から強い反対はないと判断、最終決定に踏み切った。
 しかし、野党などからは、専守防衛という自衛隊の本来の任務を変質しかねないなどの指摘のほか、法改正などの手続き抜きで派遣する手法に対し、自衛隊法の拡大解釈との反発も出ている。今回のケースが先例になって、今後海外邦人の救出などにも自衛隊派遣を拡大する論議も予想され、政府は、なし崩し的な海外派兵に道を開きかねないとの批判に明確な対応を迫られそうだ。
●政府声明の骨子
 ◇ペルシャ湾航行の安全回復は国際社会の要請で、被災国の復興に寄与し、日本にとっても緊急の課題。
 ◇自衛隊法99条に基づき、日本船舶の安全のため自衛隊の掃海艇を派遣。
 ◇平和時の遺棄機雷除去は武力行使ではなく、海外派兵に当たらない。平和国家の理念を将来にわたり堅持する。
 ◇派遣は平和的、人道的貢献策として意義を持つ。
 
 
 
 
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