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私はこう考える【自衛隊について】

 事業名 組織運営と事業開発に関する調査研究
 団体名 日本財団(The Nippon Foundation  


1991/02/01 朝日新聞朝刊
日の丸の旗 「中東の空に自衛隊機を」(湾岸戦争と日本:15)
 
 自衛隊輸送機の中東への派遣に向けた防衛庁、外務省、警察庁の現地調査団は31日、エジプトのカイロからヨルダンのアンマンに入った。カイロから防衛庁に届いたファクスには「国際移住機構(IOM)カイロ事務所のスタッフは、避難民移送のための自衛隊機派遣を歓迎。同スタッフは『アンマンでもむろん歓迎されよう』と述べた」とあった。
 一方、やはり別に中東を訪問中の「自民党湾岸危機対策本部調査団」の山口敏夫団長は30日、カイロでの記者会見で「自衛隊機による避難民移送は安全を考えると、アンマン―カイロ間ではなく、ヨルダン南部のアカバ―カイロ間が妥当」と語った。
○思いもよらぬ言葉
 アンマン―カイロ間で自衛隊機が避難民をピストン輸送する――1月17日朝の開戦後の政府・自民党首脳協議で決まったこの構想は、そもそも、いつごろ、だれがいい出したのか。移送のための計画をつくるIOMからは今に至るまで、「自衛隊機を」という要請は来ていない。昨夏の湾岸危機ぼっ発からまもなく、海上自衛隊の掃海艇や給油艦の派遣を日本に打診してきた米国も、航空自衛隊については「米軍機が中東に出動するので、日本国内の米軍基地間の生活物資の運搬を手伝ってほしい」と頼んで来た程度だ。
 海部首相は――。国連平和協力法案が廃案になってからひと月後の昨年12月、外務省の高官にこうささやいた。「なんとか自衛隊機を中東に出せんか」。かねがね自衛隊の海外派遣に気乗り薄だった首相の思いもよらぬ言葉に、その高官は耳を疑い、即座に「そんなことはできません」と答えた。外務省側はだれかが首相にそんなアイデアを吹き込んだのかと推測したが、真相はわからない。
 ところが、それからまもなく、周辺に首相は「おれは自衛隊はもう使わんぞ」。自民党3役の強い要請で自衛隊機派遣を決断したあとも「民間機ではどうしてもアンマン―カイロ間を飛べんのかなあ・・・」と漏らした。
○目に見える貢献を
 一方、自民党内では、昨夏の協力法案作成に向かう過程で、小沢一郎幹事長が「中東地域の在留邦人救援のための自衛隊機派遣は、現行法制下でも可能」と口火をつけた。渡辺美智雄氏は9月21日の渡辺派研修会で自衛隊機や補給艦による輸送支援を提唱した。このころ、西広整輝前防衛事務次官は自民党幹部に「ベルギーはC130 3機をカイロに飛ばして避難民を移送している。日本も見習うべきだ」と説いていた。
 そして今回、小沢氏が「米国は目に見える貢献を求めている」と積極的なのはもちろん、西岡武夫総務会長もまた「自衛隊機が撃ち落とされる危険があるなら、別のマークをつけろ、という人もいるが、翼に日の丸をつけた飛行機が中東の空を飛ぶことが大事なんだ」。渡辺氏も30日の都内での講演で「90人を運べる自衛隊の輸送機が5機くらい行ったところで戦争に役立つ話にはならないかもしれないが、参加することに意義がある」と話した。
 29日、カイロのエジプト大統領官邸。自民党調査団の山口団長はムバラク大統領と会談した。
 山口氏 危険な地域では民間機が飛べない。避難民移送に限定して、カイロを基地に自衛隊機を使いたい。
 大統領 問題ない。結構だ(No problem. I agree)。全面的に協力する。
 ただ大統領はこのあと、「避難民移送にはエジプト航空機も使ってほしい」とつけ加えた。
○世論にPR求める
 ロイヤル・ヨルダン航空は開戦後も、アンマンから1日7、8便、欧州やアフリカなど各地に定期便を飛ばしている。東京・西新橋の同航空日本支社にはアンマンから「ヨルダン議会はイラクへの敵対行為となりかねない日本の自衛隊機乗り入れを認めないだろう」との情報が最近になって届いた。鈴木和男・日本地区支配人は「うちがチャーター機を飛ばしてもいい。別に自衛隊機でなくても、十分に日本のメンツは立つのでは・・・」。
 30日昼、戦火のイラクを逃れてきたベトナム人らをカイロからホーチミンまで送り届けた日航機に同乗した鈴木宗男外務政務次官が、報告のため国会内で首相に会った。首相は鈴木氏をねぎらい、「日本政府がこれだけのことを懸命にやっとると、君から記者会見で強調しておいてくれんか」と頼んだ。大島理森、石原信雄の両官房副長官も「避難民はみんな喜び、日本にたいへん感謝していたと世論にPRして下さい」と言った。
 
 
 
 
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