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私はこう考える【自衛隊について】

 事業名 組織運営と事業開発に関する調査研究
 団体名 日本財団(The Nippon Foundation  


1990/12/01 朝日新聞朝刊
在日米軍 海自に直接「掃海艇派遣を」(湾岸危機と日本:28)
 
 「自衛隊の掃海艇、補給艦を中東に出してもらえないか」
 東京・六本木の海上自衛隊の幕僚監部に、横須賀の在日米海軍司令部から電話があった。米国がペルシャ湾岸への派兵を決めてからまもなく、8月中旬のことだ。
 海幕幹部は耳を疑った。日米両政府間の外交ルートを通じてならともかく、在日米軍からの直接の要請は、いかにも唐突に思えたからだった。
 海幕幹部 我々にそんなことが可能か、そんな能力があるか、あなた方がいちばんよく知っているじゃないか。とてもイエスとは言えない。
 在日米海軍幹部 これはアマコスト大使、米第7艦隊司令官、在日米海軍首脳部が協議した結果なのだ。ぜひ検討してほしい。
○内局には報告せず
 非公式とはいえ、米軍から直接、出動要請があった事実が明らかになれば、シビリアンコントロール(文民統制)との関係で大きな論議を呼ぶことは疑いなかった。電話を受けた海幕幹部は、佐久間一海上幕僚長には事実を報告した。防衛庁の内局には伝えなかった。
 9月に入って、また在日米海軍から電話が入った。「空母ミッドウェーが中東に出撃することになった。その護衛に海上自衛隊の護衛艦を出してくれないか」。海幕幹部は、こんども即座に断った。
 とはいえ、自衛隊派遣論が政府部内で高まる中で、中東への展開を想定したケーススタディーを怠るわけにはいかなかった。9月の半ばから、海幕はひそかに、中東までの補給艦の航路、通信、修理、訓練、交代要員補充などの研究を始めた。
○海図なく研究も壁
 だが、思わぬ壁にぶつかった。肝心のペルシャ湾の詳細な海図を海上自衛隊は持っていなかったのだ。「海上保安庁から手に入れよう」「米軍に実情を話して提供してもらうか」「いや、みっともなさをさらけ出すだけだぞ」。ケーススタディーは暗礁に乗り上げる。
 多国籍軍が展開している現地の実情がさっぱり分からないのは、陸上、航空両自衛隊も同じだった。
 陸幕はサウジアラビアに防衛医官40人を派遣するための「衛生支援群」のプランを練った。医療、救護活動を支えるための補給、通信、輸送、化学防護などの要員が1460人、救急車8台、給水タンク車88台、輸送ヘリコプター5機、小銃1280丁・・・。だが、焦熱の砂漠がどういうものか、実感がつかめない。米軍の訓練教育司令部に照会し、「通信機のバッテリーがすぐに上がる」「ヘリコプターのプロペラに砂があたるため、摩耗よけのコーティングが必要」などと教えられた。
 「輸送機C130を邦人救出のため短期に10機投入。難民輸送のため長期に5機投入」。東京都府中市にある航空自衛隊航空支援集団は8月末、空幕に研究報告を提出した。気象庁から入手した中東の気象データを分析したり、砂漠に特有の天候をビデオで研究した。在日米空軍横田基地にも砂漠の状態を尋ねたが、「本国に照会しないと、我々もよくわからない」という返事だった。中東への途中、給油のために立ち寄るアジアの国々の「自衛隊機飛来」に対する視線も気がかりだった。
○切実な輸送依頼も
 その後、在日米軍から中東への出動要請や打診はない。「自衛隊に『行きたい』という気持ちがあるようなら、ワシントンに取りついで、上手に正式ルートで要請させようと、米軍は考えていたのではないか」と防衛庁幹部の1人は推測する。在日米軍から自衛隊には1つの切実な要請がいまだに続いている。それは航空自衛隊に対する次のような依頼である。
 「米軍のC130は中東に出払い、日本国内の各米軍基地に肉や野菜を運ぶのに困っている。航空自衛隊で何とかしてもらえないか」
 
 
 
 
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