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私はこう考える【自衛隊について】

 事業名 組織運営と事業開発に関する調査研究
 団体名 日本財団(The Nippon Foundation  


1990/08/22 朝日新聞朝刊
中東貢献策の検討急ピッチ 迫る米、乗る日本
 
 政府が緊迫する中東の和平と秩序回復に向けた貢献策の検討を急いでいる背景には、米政府からの極めて強い要請があった。サウジアラビアへの米兵5万人派遣などで財政がひっ迫し、日本に一部の負担肩代わりを求めたい米国。対日世論の悪化を恐れ、むしろ「米国の要請」を推進力に、思いきった貢献策に踏み切ろうとする日本。中東問題でも「日米関係」のキーワードが重要な役割を果たしそうな気配だ。日米双方の動きを点検してみた。
○米側
 「各国からはきわめて協調的な方針が示されている。昨日、海部首相と楽しい会話を交わしたが、日本は、そうした線に沿った申し入れを単に受け入れるという以上の姿勢だ。ある国は財政、ある国は軍事面でというふうな協力が始まった」
 米艦艇によるイラク海上封鎖が緊迫の度を加えつつあった今月14日のブッシュ米大統領の記者会見での発言だ。
 前日の両首脳の電話の詳しい内容は日米間の合意によって、なお明らかにされていない。しかし、首相の回答が、満足すべきものであったことだけは十分うかがわれる。
 米政府の最大の関心は、在日米軍の駐留経費の負担拡大による財政的な米国支援にある。国防総省はサウジアラビアへの派兵開始から来月末までの米軍展開費用を12億ドルと見込んだ公式試算を発表したばかりだが、駐留の長期化、全面衝突といった事態になればこの額は大きく膨張する。10月からの1991会計年度の財政赤字が約1700億ドルと見込まれ、削減をめぐる政府、議会の調整がままならない異常な状況下で、この財源の一部を在日米軍への支出という形で日本に「肩代わり」させることは、議会の空気でもある。
 次期中期防衛計画の中に日本側負担を50%まで引き上げる枠組みを組み込むことが米国の基本的主張だが、「日本にとって今必要なのは、とにかくその実施を急ぐこと」(同)という要請が一段と強まろう。湾岸地域への要員派遣や機材の提供についても、とくにホワイトハウス内に期待がある。
 しかし、自衛隊艦艇のペルシャ湾への派遣に対しては「米国でなく、あくまで日本政府が自主的に判断すべきこと」というのが、米政府部内の支配的な見解。この問題が海部内閣にとって政治的リスクになること、いまのところ現地はとくに掃海艇を必要とする状況にないことなどが指摘されている。
 不透明な要因は9月初旬に予算と湾岸危機を焦点に再開される議会内の動向だ。国防総省は、日本に空中警戒管制機(AWACS)などの導入を求める方針をすでに伝えているが、これも貿易問題をにらむ議会の声と無縁でない。
(ワシントン=村松特派員)
○日本側
 日本政府が、中東の秩序回復への貢献策について、米国から強く要請され、検討のピッチを急に速めたのは14日だった。
 この日(ワシントン時間の13日)、ブッシュ米大統領が海部首相に電話をかけて、「日本も国際的努力にできるだけ貢献してほしい」と要請し、首相は「日本としてどんな効果的な協力ができるかを検討している」と答えた。これを皮切りに、多数の米国政府関係者が様々なルートを使って、日本側に協力を要請してきた。「米国は、明確な貢献をしないと、国際社会で取り残されるぞ、という極めて強いメッセージを送ってきた」(外務省筋)という。
 同時にこうした米国政府関係者は、日本の貢献策についても、それぞれ具体的な提案を示唆してきた。それらを合わせると、10項目近くのリストになるという。その中には、在日米軍駐留経費の負担増、サウジアラビアなどに派遣されている多国籍軍への財政援助、輸送などの要員派遣、輸送用車両や医薬品などの物資提供、中東諸国への援助なども含まれていた。
 外務省幹部をつき動かした問題意識は、(1)米国を先頭に西側先進国諸国だけでなくソ連まで軍事面である程度協力的なのに、日本が何もしないと国際社会で孤立しかねない(2)米国は犠牲を覚悟して軍隊を派遣し、その費用が1カ月に約10億ドルにも達しており、一方で中東の原油に依存している日本の貢献がかんばしくないと、今後米国の対日世論が厳しくなり、日米関係が危機に陥る――というもの。
 特に、9月になって米国議会の動きが本格化した時に、コメ市場自由化など他の経済摩擦問題も絡んで、日本が非難の矢面に立たされるのではないか、との恐れが出てきている。1987年の東芝機械ココム違反事件の時のジャパン・バッシングの記憶もよみがえっているようで、「日本がなにもしないと、マグニチュード7.5くらいの激震に見舞われる」といった言葉が交わされるようになった。
 もっともその裏には、「米国世論の悪化」や「国際的孤立」を前面に出して、この機会に懸案の政策変更を一気に果たしたいとの思惑も見え隠れしており、政府・自民党内の動きは単純なものではない。こうした中で政府は、9月の海部首相訪米までには具体的な貢献策の全容を決め、秋の臨時国会で可能な範囲で決着をつけようとの構えだ。
 
 
 
 
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