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私はこう考える【自衛隊について】

 事業名 組織運営と事業開発に関する調査研究
 団体名 日本財団(The Nippon Foundation  


1990/06/14 朝日新聞朝刊
米太平洋軍の削減計画 薄れる「封じ込め」(安保30年・日米新時代)
 
 東西冷戦終結へのうねりは、韓ソ首脳が会談して国交樹立に原則合意、ソ連大統領がアジア・太平洋での新秩序確立の決意を表明するなどアジアにも及び始めた。
 今年に入って、米国防費削減の動きと合わせ、西暦2000年に向けた米太平洋軍の削減計画がしだいに具体化しつつある。同軍兵力の「再配置」や「調整」を、国防総省や軍幹部がしきりに口にするようになったのは、在外米軍の削減が欧州に限らず、全世界規模で進められる可能性を示唆するものだ。
 1991年を展望した今年の米国防報告は、対外戦略の基本として(1)通常および核戦力による抑止力の維持(2)強力な同盟関係(3)米軍事力の世界規模での展開、を従来と同様に続けなければならないと指摘。ソ連との協力関係を推進する一方で、そうした関係が失敗した時に備え、米国防力は一定の制約のもとで最大限に抑止効果を上げる必要がある、と述べている。
 パウエル統合参謀本部議長は最近の米紙とのインタビューで、冷戦後の米の世界戦略を根本的に練り直す必要が出てきたとして、国防費の20―25%削減も可能であると述べ、米軍関係者に衝撃を与えた。同議長はまた、将来の米戦力を構成する要素として(1)欧州での「中高強度紛争」に対応できる大規模戦力(2)アジア・太平洋での「低強度紛争」対応の小規模戦力(3)パナマ侵攻にみられたような限定的な緊急展開戦力(4)超大国間の紛争を抑止する戦略核戦力、の4つを挙げている。
 こうした発言の根底にあるのは、米太平洋軍の主要任務が、もはや冷戦思考に基づいた対ソ封じ込め戦略ではなくなりつつある、という現実認識である。
 国防総省は4月、今世紀末までの軍事戦略を展望した報告書「アジア・太平洋地域の戦略的枠組み(東アジア戦略構想)」を公表、今後3年間に日本、韓国、フィリピンの駐留米軍を約10%削減する計画を明らかにしている。だが、その後については、削減の方向を示しただけで、具体的な数字はあげていない。
 同報告は、財政赤字問題と取り組む米議会の要求に基づくもので、冷戦後のアジア戦略を必ずしも展望したものではない。このため、議会からは「削減計画は不十分」との不満が流れた。また、国防総省筋も同報告は暫定案で、今後、さらに大幅な削減を迫られる可能性を指摘している。
 とはいえ、兵力削減が各国で均等に行われるという保証はない。国防総省内ではさまざまな構想が検討されている。すでに伝えられたフィリピンのクラーク空軍基地からの撤退、陸軍1個旅団を残した在韓米軍の撤退、沖縄の海兵隊撤退案などもそうした構想の一部だ。ワシントンでの米ソ首脳会談では、両超大国が冷戦後の安定した国際社会づくりを共同責務とすることがうたわれた。欧州では米ソを巻き込んだ通常戦力削減合意が年内にも実現する見通しで、アジアの戦力構造変化にも弾みがつくことが予想される。
 (ワシントン・定森大治特派員)
◆米太平洋軍の2000年までの削減計画−米国防総省報告書から
【包括的構想】
 1990−92年
 現有戦力を次第に縮小し、安全保障関係の見直しを開始。安全保障上の義務を損なわないかたちで戦力を再構築、削減。実戦部隊の調整は最小限に抑えアジアに前方展開している兵力135,000人を14,000ないし15,000人削減。
 1993−95年
 戦力を削減、再構成。
 潜在的な敵対国、組織が米の抑止力や意図を誤解しない範囲で、徐々に実戦部隊の削減を拡大。
 1996−2000年
 戦力をさらに削減し、情勢の許すかぎり、より縮小された規模で固定化。
【各国別構想】
 1990−92年
 <韓国>国連軍司令部を基本的には現在のまま維持。可能な範囲で韓国軍に任務を移譲し、米軍第2歩兵師団を合理化。空軍2,000と地上兵力5,000の合わせて7,000人を削減。
 <日本>日本の在日米軍への支援拡大を求めつつ、米軍の規模を徐々に縮小。沖縄を含め、兵員を5,000ないし6,000人削減。余分な施設のうち、特に沖縄の米軍施設を既存の取り決めに基づいて返還。
 1993−95年
 <韓国>北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)の脅威を再検討したうえで、第2歩兵師団の再編を含めた新たな目標を設定。
 <日本>日本の防衛責任分担の拡大と地域安定度に応じ、さらに米軍を合理化し削減。自衛隊には新鋭兵器の調達などを通じて、戦力を量よりも質的に向上させるよう要望。
 1996−2000年
 <韓国>95年までの成果を前提に、韓国が自国防衛で指導的役割を果たすことを期待。それと同時に、抑止力に必要なだけの米軍戦力レベルに縮小。
 <日本>東西関係の情勢変化に応じて米軍をさらに削減することも可能。だが、日本を母港とする空母、戦略空輸能力、空軍戦闘能力などは、米軍の地域および世界戦略、日米安保条約上の義務からも保持。
 1990−2000年
 <フィリピン>当面は現有兵力の大部分を維持するが、近い将来、兵員約2,000人の削減が可能。少なくとも中期的には在比米軍基地の存続を望むが、フィリピン政府が撤退を求めることもありうる。戦略的重要性と各種機能の面から単独の代替基地を探すのは不可能だが、代替案は存在。
◆米太平洋軍の規模−米国防総省資料から
 陸軍−−5万人(韓国、ハワイに各1個師団)
 海軍−−空母6隻など艦艇265隻
 (第3艦隊=東太平洋、ベーリング海、第7艦隊=西太平洋、インド洋)
 海兵隊−−2個海兵機動展開部隊など7万5000人
 (米西海岸、日本に各1個部隊)作戦航空機680機
 空軍−−戦闘機など300機
 (第5空軍=日本、第7空軍=韓国、第13空軍=フィリピン)
●再び好戦的な国に日本をしたくない
 「(大多数の米国人が日本の経済力をソ連の軍事力よりも脅威と感じていることについて)いやなことだ。誤解があると思う。日本とは競争しなければならないし、それができないなら、市場を開放させるべきだ。しかし、日本は友好国だ。我々は太平洋地域で利益を共有している。私は日本を再び好戦的な国にしたくない。それには日本が自由で、開放的な国々の仲間であり続けるようにすることだ。米国民は寛容であり、差別的な衝動に訴えるのは慎むことができるはずだ」
 (ブッシュ米大統領=昨年9月、PBS放送との会見で)
 
 
 
 
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