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私はこう考える【自衛隊について】

 事業名 組織運営と事業開発に関する調査研究
 団体名 日本財団(The Nippon Foundation  


1990/06/14 朝日新聞朝刊
変質する安保体制 軍事・経済包括狙う米(安保30年・日米新時代)
 
 「ゴルバチョフ・ソ連大統領は、北方領土返還で日本と何らかの取り決めを結ぶだろう。日本は対米依存を減らそうと望んでおり、日米の経済緊張は日本の対ソ投資を促す。日ソ関係の緊密化は日本の米国離れをもたらし、アジア全体に災いとなる。日本の軍備増強論にも弾みがつくだろう」。米共和党保守派のシンクタンク、ヘリテージ財団で先ごろ行われた日ソ関係セミナーでの基調報告の一節である。ワシントンでは、日本の今後の進路をめぐるさまざまなテーマで、政府、民間を巻き込んだ論議が真っ盛りだ。いわく「危険な依存・日米関係の新たな課題」あるいは「新しい不安定要因・ドイツと日本」・・・。
 冷戦の一方の担い手だったワルシャワ条約機構の実質的な解体とソ連経済社会の疲弊と混乱は、たった1年で米国の外交、軍事政策から草の根の空気までを変えた。日米安全保障条約にも全く新たな光が当てられ始めている。安保体制の変質である。
 条約の運用責任者であるハーデスティ太平洋軍司令官はこの2月、上院軍事委員会での証言で「将来の世界の権力中枢」として米国、ソ連、インド、中国、欧州、そして日本の6つを名指しし、従来の米ソ「2極」から、こうした新しい「多極的世界」に向けた米国の包括的な目標が、「関係国に受け入れられる唯一の均衡維持者」である「米国の国益を守りつつ、アジア・太平洋地域に安全保障の傘を提供する」ことにあると位置付けた。
 国防総省の議会提出文書は、ここでいう米国の「国益」として「米経済の健全な成長、世界の平和に対する脅威の除去、人権擁護、民主主義への支持、自由市場体制の発展」と並んで、「特定の国がその地域全体を支配することを阻むことのできるような、強力な同盟関係の維持」の計6項目を掲げている。極東ソ連軍が今のところ、欧州ほどの劇的削減を見せていないという分析にもかかわらず、米国は軍事戦略のレベルですでに決定的なかじを切り、これに見合った同盟国の政策変更を迫っている、といっていい。
 そうした新しい同盟関係の位置付けの下で、ブッシュ政権の中長期的な対日戦略の3本柱が明確になってきた。(1)経済・技術大国として巨大な潜在能力を持つ日本の過剰な軍備拡張の阻止(2)政治的には日米欧の3極協議や国際機関の枠組みを通じた世界的な安定のための経済力による責任分担要請(3)経済的には構造問題協議に象徴される日本社会の国際的開放、がそれである。
 ブッシュ大統領は、3月の日米首脳会談後の声明で「日本との安全保障および政治的な同盟関係に、最大の重きを置く」と繰り返し強調した。国務省当局者は「安保条約を堅持しようという意思がこれほど堅かったことは、過去にないほどだ」とし、この方針がブッシュ政権の発足以来続けられてきた対日政策の再検討作業の結論であることを指摘した。
 今後のアジア政策の展開のうえで、在日米軍への強力な支援、自衛隊との緊密な協力関係といった他に求められない有利さがあることはいうまでもない。が、同時に、米政府の構想からは、この条約を、軍事から経済まで世界史的にも類例のない幅広いつながりを持つ日米関係全体の「基本法」的存在としてとらえ直すことによって、将来世界の新しい不安定要因になりかねない日本を米国と同じ軌道に乗せ続けよう、という決意が感じとれる。
 「レーガン軍拡」を背景に、共同声明に初めて「同盟関係」を明記し、これに「軍事的側面」が含まれるかどうかで政権が危機に立った鈴木首相(当時)訪米は、わずか9年前の出来事だった。
 この間、西側先進国中、群を抜く速度で軍事支出を増やし、冷戦時代の「優等生」となった日本は、世界の秩序が音を立てて変わる中で、当時よりはるかに難しい岐路に立っているといえよう。
 歴史的な韓ソ関係正常化に踏み出した盧韓国大統領の訪日をめぐる「謝罪」問題は、米国内でも大きく報道され、「友人のいない日本」を改めて印象づけた。日本の外交、軍事政策に対する「外」の目と、与野党が絡んだ防衛費の決定過程をはじめとする国内の論理との乖離(かいり)。みずからの判断でこれを埋める努力をしない限り、近隣諸国はもとより、繁栄を分かち合う米国の理解も得にくい状況になりつつある。
 (ワシントン・村松泰雄特派員)
●日米関係は将来も重要であり続ける
 「私は日本に圧力をかけて、さらにより大きな軍事力を持たせるべきだという意見にくみしない。日本は歴史的にも、憲法上の考慮からも、軍事力の規模について自分なりの懸念を持っていると思う。良い同盟国はこの種の懸念に敏感でなければならない。日米関係は非常に重要だ。3、40年先の将来までを考えてみても、日米関係は、世界の中の最も重要な2国間関係であり続けるだろう」
 (チェイニー米国防長官=今年2月9日、アジア歴訪前の記者団との会見で)
 
 
 
 
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