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私はこう考える【自衛隊について】

 事業名 組織運営と事業開発に関する調査研究
 団体名 日本財団(The Nippon Foundation  


1990/06/14 朝日新聞朝刊
自衛隊の現状と問題点(安保30年・日米新時代)
 
 「米ソが冷戦の発想を乗り越えて軍備管理・軍縮の方向に動きつつあるというのは好ましい動きですが、日本はまことに節度あるつつましやかな防衛力で今日まで平和を守って来たわけですから、日本も同様にすっと下げなければならないということに直ちにつながるものではない」
(4月23日衆院予算委員会で海部首相答弁)
 今国会では米ソを中心とした世界的な緊張緩和の流れを受けて、日本の防衛力整備も見直すべきではないかという質問が野党側から相次いで出され、防衛問題が久しぶりに論議の中心となった。答弁に立った海部首相は「つつましやかな防衛力」という表現を繰り返し、自衛隊の規模は緊張緩和に向かいつつある今の時期としても決して大きすぎるものではない、との判断を強調した。
 現在の日本の防衛力整備の指針になっているのは1976年に国防会議と閣議で決定された「防衛計画の大綱」、いわゆる「大綱」だ。そこで定められている防衛構想はまず、自らの防衛力と日米安保体制によって侵略を未然に防止、核の脅威に対しては米国の核抑止力に依存するとしている。さらに万一侵略があった場合には(1)限定的かつ小規模な侵略は独力で排除し(2)独力排除が困難な場合には米国の協力を待つ――という二段構えになっている。
 そのために必要とされる具体的な主要装備の整備目標をいわゆる「別表」で定めている。陸上自衛隊が13個師団18万人、海上自衛隊が4個護衛隊群、航空自衛隊がF15戦闘機など約430機となっている。現行の中期防衛力整備計画(中期防)が始まった86年度からは、毎年度5%台の予算の伸びを確保しながら着実な整備が進められ、最終年度の今年度でこの大綱水準が「ほぼ達成」される見通しとなっている。
 自衛隊の整備が進められるのと並行して、米軍との共同訓練の充実も図られてきた。特に、78年に日米両国間で「日米防衛協力のための指針」(ガイドライン)が了承されてからは内容が本格化、回数も増えており急速な緊密化が図られていることがうかがえる。
 その最も際だった例が、米第3艦隊の主催で実施されている環太平洋合同演習(リムパック)だ。リムパックは、ベトナム戦争末期の71年に米、加、豪、ニュージーランドの4カ国が参加して始まり、70年代のソ連海軍の急速な増強に対抗して、太平洋の海上交通路確保を旗印に規模を拡大してきた。日本は80年から参加し、今年4月から6月にかけて行われた「リムパック90」への参加で、6回目。
 海上自衛隊は、相互運用性の向上に努めるなど、米海軍の忠実なパートナーとして、米国の前方展開戦略の維持に貢献してきた。しかし、初参加した当時から「多国間演習への参加は憲法が禁じている集団自衛権の行使にあたる」との批判が野党などに根強いほか、今回の参加についても、核兵器が搭載可能な米艦船との共同訓練は、「非核3原則の精神に反するのでは」といった論議が国会で起きている。
 政府は公式的には「仮想敵国はない」との立場をとっており、ソ連についても「潜在的脅威」という表現にとどめている。しかし、防衛庁・自衛隊がソ連を「敵」として防衛力の整備をすすめ、訓練を重ねてきたことは事実。陸上自衛隊が「北方重視」として唯一の機甲師団である第7師団を含め合計4個師団を北海道に配備していることや海上自衛隊の「1000カイリシーレーン防衛」もソ連の侵略・攻撃を前提としたものであることは言うまでもない。国民に対しても極東ソ連軍の増強を防衛白書などでことあるごとに説明し、その脅威をテコに、防衛力整備に対する理解を求めてきた。
 それが昨年末からの東欧の急速な民主化と米ソの緊張緩和によって「脅威」が低下してきたため、野党から防衛費の削減を求められる結果となったわけだ。これに対し防衛庁は「最近の欧州の変化によってアジア・太平洋地域の軍事情勢に変化が起こると考えるのは時期尚早」(石川防衛庁長官)との認識を示す一方で、自衛隊が目標としているのはあくまで「平時に持つべき基盤的防衛力」であって、「周辺の軍事的脅威に直接対応するものではない」ことを繰り返し強調。たとえ国際環境に変化が見えたとしても、従来の防衛力整備計画を変更する必要はない、と防戦に必死だ。
●密接に絡み合った産業競争力と安保
 「日本の次期支援戦闘機(FSX)問題は、産業競争力が安全保障と密接に絡み合っているという教訓を残した。・・・FSXのような計画は、外国との競争を妨げるだけでなく、日本が必要とするはずの同盟国との友好的で率直な関係を阻む壁を、日本自身の周囲に築いているに等しい」
 (ベンツェン米上院財政委員長、民主=昨年5月、上院本会議で)
 
 
 
 
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