日本財団 図書館

共通ヘッダを読みとばす


Top > 社会科学 > 政治 > 成果物情報

私はこう考える【自衛隊について】

 事業名 組織運営と事業開発に関する調査研究
 団体名 日本財団(The Nippon Foundation  


1988/08/23 朝日新聞夕刊
63年版防衛白書、陸上重視打ち出す 「早期前方対処」盛る
 
 瓦防衛庁長官は23日の閣議で、63年版防衛白書「日本の防衛」を報告、了承された。白書は、米ソ間の中距離核戦力(INF)全廃条約の署名・発効などの動きにもかかわらず、世界の軍事情勢は「力の均衡に基づく抑止」によって支えられているとの認識を示した。そして、通常戦力による抑止の重要性が高まっていること、極東ソ連軍の増強が続いていることを挙げ、日本の防衛力を着実に整備する必要性を強調している。66年度以降の次期防衛力整備計画の策定に絡んで昨年の白書まで強調してきた「防衛計画の大綱」の見直しには言及していないものの、防衛力整備の重点として「陸上防衛で、着上陸侵攻に対する早期前方対処を研究している」と明記し、次期防もにらんで陸上重視の考えを打ち出した。
 防衛白書は今回が14回目。本文は4部構成で252ページ。昨年より8ページ少ない。
 白書はまず、INF全廃条約の署名・発効、アフガニスタンからのソ連軍の撤退開始に触れながらも、「国際社会の平和と安全が核兵器を含めた力の均衡により維持されている冷厳な事実に変わりはない」との認識を示している。軍事的対立の構造を「欧州、極東、中東方面におけるソ連の兵力集中に対する米国の兵力の前方展開」ととらえている。
 極東ソ連軍の軍事力については、昨年の白書の数字と比べ、水上艦艇5隻、作戦機40機が増えたことを紹介。「増強のすう勢と行動の活発化に変化はなく、日本に対する潜在的脅威は増大している」と分析している。その上で「自由主義諸国の一員として日本が防衛力向上に努めることは、結果的に自由主義諸国の安全保障に寄与する」との認識を示し、日本の防衛力整備が西側の抑止力の維持に役立つ側面を持つと位置付けた。
 自衛隊の課題については、陸上防衛で昨年に続いて「北方重視」をうたいつつ、新たに「早期前方対処の研究」を加えた。これまでの陸上の防衛構想は、侵攻を受けた場合に上陸部隊を内陸で迎え撃ち反撃に転ずることを基本にしていたが、「早期前方対処」は上陸する前の沖合や水際で食いとめることに重点を移す考え方だ。こうした考えは、すでに地対艦ミサイルSSM1などの導入に表れているが、それを鮮明にして今後の装備充実へと結び付ける狙いがあるとみられる。
 防衛庁は、相手の航空機が発射するミサイルの長射程化などに伴い遠方の空からの脅威が高まっているとして「洋上防空」の構想を検討してきた。白書では、輸送船舶を守るために(1)早期警戒監視機能は超水平線(OTH)レーダー(2)相手機への対処は、要撃機と早期警戒機の組み合わせ(3)発射されたミサイルに対してはイージス艦で対応する、という構想を明らかにした。
 先の通常国会で論議となった有事来援研究については、米軍の来援を確保することによって「通常兵器レベルでの抑止の信頼性」を高めるものととらえた。来援した米軍の行動に関する有事法制については「自衛隊の行動にかかわる有事法制の研究結果を踏まえ慎重に検討されるべきだ」と表明。これに伴って有事法制研究について、現在進められている自衛隊の行動に関する法制に加え、米軍の行動、国民の生命、財産の保護に関する法制があるとし、研究範囲を広げる可能性を示唆している。
 研究開発については、昨年の白書に比べて詳述し、日米防衛協力を強化する面からも重視していく考えを明らかにした。次期支援戦闘機(FSX)以外の装備も日米共同開発を推進する方針を示した。電子戦や対潜水艦戦などで高度技術を生かしていく必要性も強調している。
 防衛費の規模については「ミリタリー・バランス(1987―88)」の数字を使って、1985年は世界各国の中で第8位であることを引き合いに出しつつ「大幅な為替変動などにより、最近はより上位になっている可能性も考えられる」としている。その上で、6月26日付で発表された「自衛隊・防衛問題に関する世論調査」の結果について、防衛費の規模を「今の程度でよい」と答えた人が58%だったことを取り上げ「大半の国民が理解を示し、支持している」との評価を示した。
 今回の白書は、今年の6月末までの動きをもとに書かれているため、潜水艦と大型釣り船の衝突事故やイラン・イラク戦争の停戦などには触れていない。
<防衛白書の骨子>
 ◆世界の軍事情勢 INF全廃条約の署名・発効、ソ連軍のアフガニスタン撤退開始にもかかわらず、力の均衡に基づく抑止が平和と安定を支えている。
 ◆極東ソ連軍 増強のすう勢と行動の活発化に変化はなく、潜在的脅威は増大している。
 ◆防衛力整備 着実な整備の必要性は変わらない。国際社会における責任の増大を自覚し、自由主義諸国の一員として連帯意識を持つことが重要。
 ◆陸上防衛 北部日本を重視し、着上陸侵攻に対する早期前方対処を研究している。
 
 
 
 
※ この記事は、著者と発行元の許諾を得て転載したものです。著者と発行元に無断で複製、翻案、送信、頒布するなど、著者と発行元の著作権を侵害する一切の行為は禁止されています。








サイトに関するご意見・ご質問・お問合せ   サイトマップ   個人情報保護

日本財団会長笹川陽平ブログはこちら



ランキング
注目度とは?
成果物アクセスランキング
14位
(28,844成果物中)

成果物アクセス数
432,030

集計期間:成果物公開〜現在
更新日: 2017年5月20日

関連する他の成果物

1.私はこう考える【北朝鮮について】
2.私はこう考える【中国について】
3.私はこう考える【ダム建設について】
4.私はこう考える【死刑廃止について】
5.私はこう考える【公営競技・ギャンブル】
6.私はこう考える【天皇制について】
7.私はこう考える【国連について】
8.私はこう考える【憲法改正について】
9.私はこう考える【教育問題について】
10.私はこう考える【イラク戦争について】
  [ 同じカテゴリの成果物 ]


アンケートにご協力
御願いします

この成果物は
お役に立ちましたか?


とても役に立った
まあまあ
普通
いまいち
全く役に立たなかった


この成果物をどのような
目的でご覧になりましたか?


レポート等の作成の
参考資料として
研究の一助として
関係者として参照した
興味があったので
間違って辿り着いただけ


ご意見・ご感想

ここで入力されたご質問・資料請求には、ご回答できません。






その他・お問い合わせ
ご質問は こちら から