日本財団 図書館

共通ヘッダを読みとばす


Top > 社会科学 > 政治 > 成果物情報

私はこう考える【自衛隊について】

 事業名 組織運営と事業開発に関する調査研究
 団体名 日本財団(The Nippon Foundation  


1985/12/21 朝日新聞朝刊
在日米軍経費は“聖域” (検証・税 防衛費の断面:5)
 
 大蔵省との予算折衝で、しぶい財布のひもをなんとか緩めさせようと秘術を尽くす防衛庁の各部局が、「あそこは楽だよ。なにしろ聖域だから」とうらやむ「戦線」がある。防衛施設庁の在日米軍関係経費だ。対米配慮で、ほぼ要求通りつけられる、と同庁幹部も認める。
 安保条約に基づく地位協定により、日本は国内に駐留する米軍のために、さまざまな経費を負担している。60年度予算で計約2000億円、防衛施設庁予算総額の約61%を占めている。その額は年々増え続け、10年前の2倍近くにもなって、防衛費を押し上げる大きな要因の1つになっている。
○住宅や隊舎も提供
 駐留米軍関係費の中で、目立って増え続けているのが、いわゆる「思いやり予算」。金丸信自民党幹事長が防衛庁長官時代に、「本国を遠く離れて勤務する米軍人の労苦を思いやって」支出を打ち出し、54年度からつきはじめた。初年度は約140億円。これが、61年度概算要求では約650億円に膨れ上がっている。
 その主な使途は、米軍人の家族住宅と隊舎だ。住宅の延べ面積は最低でも約90平方メートル。軍曹クラスだと約120―130平方メートルの家に住む。建築費は、土地代抜きで1900万円から3000万円。こんな住宅を、これまでに約2000戸米軍に無償提供し、さらに約900戸を建設中だ。
 隊舎も、自衛隊に比べれば格段の差がある。1棟で約130室。各室は約30平方メートルでシャワー、トイレ付き。一室の収容者数は多くて3人。現在71棟が引き渡され、4棟が建設中である。
○10年で1兆5300億円
 「こんなものまで、とひっかかる金も、けっこうありますよ」と、防衛施設庁の幹部は打ち明ける。
 米軍の車両は、高速道路通行料が無料。もちろん公務の場合に限るが、その料金は防衛施設庁が払う。59年度では総額約2億1000万円になった。
 在日米大使館内にある相互防衛援助事務所(MDAO)。日本に対する米国の武器援助を担当するが、「発足当初はともかく、いまでは実質的には米国の武器を日本に売り込むための事務所」といわれる。この事務所の維持費や米人担当者の宿舎費用も日本側の負担。60年度は約1億5000万円。「お得意さんの方が、セールスマンにいろいろサービスしている」と評する関係者もいる。
 米軍に提供している基地や演習場の地代は、もちろん無料。米軍に雇用されている「駐留軍労務者」の給与の一部も負担している。「在日米軍の存在は大きな抑止力。だが、これだけ尽くして、米国内で日本の安保条約タダ乗り論があるのは心外、との思いもある」と、ある防衛庁幹部はいう。この10年間に支出した米軍関係費は総計約1兆5300億円に上る。
○日本の懐をアテに
 もともと、軍人の住宅や雇用者の人件費などは米軍負担が原則だったという。が、50年代初めのドル安で音を上げた米側が「民間の借家を借りる家賃が高くなりすぎた」などと協力を要請、日本側がこれに「思いやり」を示した、といういきさつがある。その後、ドル高に転じても、米側の要求は増える一方で、「概算要求前の米側との協議で、向こうの要望事項のうち半分は削っている。それでも、これだけ増えてきた」と担当者。
 最近のドル安で、また米側の要求が強まりかねない、と日本側は見ている。
 横浜市にある米軍上瀬谷通信施設の艦隊作戦統制センターの建設費約50億円を、日本側の予算で、と米側から非公式な打診もあった。
 米側は「金持ち日本」からなるべく金を引き出そう、としているように見える。施設関係だけではない。武器の価格にも、しっかり開発・研究費を割り掛けており、購入数が増えてもその分の値引きはしない。現在のF1支援戦闘機の後継機に、国産開発が有力視されているが、米軍需産業・政府の一部には「米国の市場が脅かされる。米国製戦闘機を買わせるべきだ」との声が高まりはじめている。
 
 
 
 
※ この記事は、著者と発行元の許諾を得て転載したものです。著者と発行元に無断で複製、翻案、送信、頒布するなど、著者と発行元の著作権を侵害する一切の行為は禁止されています。








サイトに関するご意見・ご質問・お問合せ   サイトマップ   個人情報保護

日本財団会長笹川陽平ブログはこちら



ランキング
注目度とは?
成果物アクセスランキング
14位
(28,844成果物中)

成果物アクセス数
432,030

集計期間:成果物公開〜現在
更新日: 2017年5月20日

関連する他の成果物

1.私はこう考える【北朝鮮について】
2.私はこう考える【中国について】
3.私はこう考える【ダム建設について】
4.私はこう考える【死刑廃止について】
5.私はこう考える【公営競技・ギャンブル】
6.私はこう考える【天皇制について】
7.私はこう考える【国連について】
8.私はこう考える【憲法改正について】
9.私はこう考える【教育問題について】
10.私はこう考える【イラク戦争について】
  [ 同じカテゴリの成果物 ]


アンケートにご協力
御願いします

この成果物は
お役に立ちましたか?


とても役に立った
まあまあ
普通
いまいち
全く役に立たなかった


この成果物をどのような
目的でご覧になりましたか?


レポート等の作成の
参考資料として
研究の一助として
関係者として参照した
興味があったので
間違って辿り着いただけ


ご意見・ご感想

ここで入力されたご質問・資料請求には、ご回答できません。






その他・お問い合わせ
ご質問は こちら から