日本財団 図書館

共通ヘッダを読みとばす


Top > 社会科学 > 政治 > 成果物情報

私はこう考える【自衛隊について】

 事業名 組織運営と事業開発に関する調査研究
 団体名 日本財団(The Nippon Foundation  


1985/12/19 朝日新聞朝刊
新鋭化のたびに値上がり(検証・税 防衛費の断面:4)
○アップ「4倍ゲーム」
 沖縄・航空自衛隊那覇基地の第207飛行隊は15日、最後のアラート(緊急発進待機任務)を終えた。航空自衛隊に残っていた唯一のF104J戦闘機実戦部隊。米軍で「スターファイター」、日本で「栄光」の愛称をつけられ、かつては世界最強を誇ったこの戦闘機が緊急発進で飛び立つことは、もうない。
 航空自衛隊でのF104Jの歴史は、20余年に及ぶ。だから、この戦闘機の退役には多くのパイロットに、それぞれの感慨がある。
 「いま思えば、マルヨン(F104)は安かったなあ」との声も、その1つである。
 航空自衛隊が初めて持った主力戦闘機は、朝鮮戦争で活躍したノースアメリカンF86Fセイバー。以来、37年からのロッキードF104、46年からのマクドネル・ダグラスF4ファントム、55年からの同F15イーグルと、次々に新鋭機を導入してきた。
 新鋭機導入のたびに、価格は「4倍ゲーム」で上がっている。導入当初の価格で比較してみると、F86約1億6000万円、F104約4億円、F4約17億円、F15は69億円。F15の価格はその後も上がり続け、18機の調達を予定している61年度概算要求では、1機当たり約109億円となっている。
○進む電子化も要因
 新鋭化のたびに値上がりするのは、戦闘機に限らない。陸上自衛隊の61式戦車は、36年度の導入当初、1両約9400万円。これが49年度導入の74式戦車では、1両約2億9300万円になり、61年度の概算要求価格では約4億円だ。64年度から導入予定の新戦車は、約7億円と見込まれている。61年度概算要求に、4機の調達を盛り込んでいる海上自衛隊の新掃海ヘリコプターMH53Eは、1機当たり約57億円である。
 このような主要兵器の値上がりが、防衛費を押し上げる大きな要因になっている。なぜこんなに上がるのか。「兵器に大幅に採り入れられている電子装備がきわめて高価になっているし、高度な材料の使用も増えている」と防衛庁の担当者は解説する。
 たとえば、特殊鋼に匹敵する強度を持ち、しかもアルミニウムに迫るほど軽い金属チタン。航空自衛隊の戦闘機ではF4からチタンを使っている。F4では機体の5%にしか使っていなかったが、F15では25%になった。最近の市況でアルミニウムの値段は1キロ当たり1500円だが、チタンは3万2000円もする。
 世界の兵器は、日進月歩で高度化している。金を惜しんで二流の装備にすれば、有事にたちまち壊滅、費やした金がむだになる――とは防衛庁の内局、制服組共通の主張である。
 現状に問題点はないのか。ある制服幹部は、「日本が兵器面でもほとんど米国一辺倒を続けているため、高い兵器を買わざるをえない状況もある」と指摘する。
○購入、米の言いなり
 米国は、たしかに世界で第一流の兵器を日本に提供している。だが、ヘリコプターなど同程度の水準のものが他国から、より安く買える場合でも、米国製を選ぶ場合が多い、という。米国が「共通運用性」を理由に、米国製兵器の使用を勧めることも、その背景にある。
 米国は最近、F15に搭載している主コンピューターを新型に換えた。「ライセンス国産でもコンピューターは米国から買わねばならない。こちらは従来のものでもいいが、もう旧型は製造しないといわれ、換えざるをえない。これで、また億近い値上がり。国産品だったら高い安いの交渉もできるが、米国から買い入れるものは、ほとんど向こうの言いなりです」と、ある担当者が打ち明けた。
 防衛庁は、兵器価格の問題にふれられるのをいやがる。完成品の価格は出しても、部品の値段は「一切発表しないことになっております」。こんな姿勢が、納税者である国民の目から、価格システムについての正しい理解を阻んでいる。
 
 
 
 
※ この記事は、著者と発行元の許諾を得て転載したものです。著者と発行元に無断で複製、翻案、送信、頒布するなど、著者と発行元の著作権を侵害する一切の行為は禁止されています。








サイトに関するご意見・ご質問・お問合せ   サイトマップ   個人情報保護

日本財団会長笹川陽平ブログはこちら



ランキング
注目度とは?
成果物アクセスランキング
14位
(28,647成果物中)

成果物アクセス数
431,167

集計期間:成果物公開〜現在
更新日: 2017年3月25日

関連する他の成果物

1.私はこう考える【北朝鮮について】
2.私はこう考える【中国について】
3.私はこう考える【ダム建設について】
4.私はこう考える【死刑廃止について】
5.私はこう考える【公営競技・ギャンブル】
6.私はこう考える【天皇制について】
7.私はこう考える【国連について】
8.私はこう考える【憲法改正について】
9.私はこう考える【教育問題について】
10.私はこう考える【イラク戦争について】
  [ 同じカテゴリの成果物 ]


アンケートにご協力
御願いします

この成果物は
お役に立ちましたか?


とても役に立った
まあまあ
普通
いまいち
全く役に立たなかった


この成果物をどのような
目的でご覧になりましたか?


レポート等の作成の
参考資料として
研究の一助として
関係者として参照した
興味があったので
間違って辿り着いただけ


ご意見・ご感想

ここで入力されたご質問・資料請求には、ご回答できません。






その他・お問い合わせ
ご質問は こちら から