日本財団 図書館

共通ヘッダを読みとばす


Top > 社会科学 > 政治 > 成果物情報

私はこう考える【自衛隊について】

 事業名 組織運営と事業開発に関する調査研究
 団体名 日本財団(The Nippon Foundation  


1985/04/28 朝日新聞朝刊
F15を65機増強 防衛費、5年で19兆円 59中業主要装備案
 
 61年度から5カ年の防衛力整備計画である59中期業務見積もり(59中業)の作成作業を進めている防衛庁は、27日までに主要装備についての同庁案を固めた。(1)陸上自衛隊は師団を改編・近代化し、地対艦ミサイル部隊を新設する(2)海上自衛隊はP3C対潜哨戒機を100機体制に増強、護衛艦も60隻を超える体制とする(3)航空自衛隊はF15戦闘機を1個飛行隊増やして7個飛行隊にし、地対空ミサイル部隊をすべて旧式のナイキから新型のパトリオットに替える、という内容。連休明けから大蔵省との調整作業に入るが、防衛庁案では人件費などを含めた5年間の防衛費は19兆円―19兆5000億円(60年度価格)になると見られ、同期間中の国民総生産(GNP)見込みの1%に当たる17兆7000億円を突破するのは確実だ。
 防衛庁案は、量的には「防衛計画の大綱」(51年閣議決定)の別表で示された防衛力水準をほぼ達成し、質的には中曽根首相から指示されている「海空重視、洋上撃破」の方針に対応した内容となっている。
 まず、陸上自衛隊では62年度に開発が完了する地対艦巡航ミサイルSSM1を導入、3.5個隊(0.5個隊は教育訓練隊)を新設する。SSM1は精巧な慣性誘導装置やレーダーホーミング装置を備え、射程は約150キロ。1個隊は6連装の発射機16台を持つ。
 また、北方重視の立場から昭和36年以来の師団の改編にも着手し、北海道以外の8個師団、1混成団は戦車部隊各1中隊(計約140両)を削減、かわりに北海道に戦車群を増設する。対戦車ヘリコプター隊もこれまでの3.5個隊(1個隊16機)構想を4.5個隊に増強し、不足分約40機を導入、有事の部隊移動のため輸送ヘリコプターも増強する。
 海上自衛隊では護衛艦12隻を建造する計画。現在、護衛艦は49隻、60年度までに発注済みの艦が14隻あるが、老朽化して退役予定の艦が12隻程度あり、差し引き63隻体制になる予定だ。
 海上幕僚監部はこのうち対空ミサイル護衛艦(DDG)2隻を、米国が導入しているエイジス艦(飛行機、ミサイルなど多目標への同時対処が可能)にしたいと希望しているが、価格が普通のDDGの2倍以上するため、調整中だ。
 潜水艦は5隻を建造し、15―16隻体制にする。シーレーン防衛の主力となるP3C対潜哨戒機は100機体制に拡充、すでに入手、発注済みの50機に加え約55機(予備機を含む)を上積みする。
 航空自衛隊はF15戦闘機を従来計画の6飛行隊から7飛行隊に増やし、このうち3飛行隊はスクランブル回数の増加などに対応して編成定数を18機から22機に増やす。従来計画ではF15は155機体制が考えられていたが、新編成では約190機が必要となり、未発注分も含め約65機が59中業で導入されることになる。半面、4飛行隊構想だったF4EJ戦闘機は、改修期を迎えることもあって、3飛行隊に縮小する。E2C早期警戒機は4機増やし12機体制に。
 地対空ミサイルは60年度から旧式のナイキに替えてパトリオットの採用が決まったが、59中業で6高射群すべてを入れ替える方針だ。
 F1支援戦闘機の後継(FSX)は、56中業(58―62年度)で24機導入が計画されていたが、F1の飛行可能時間が延びたため59中業での導入は見送り、国産を含めて検討することになった。
 59中業の所要経費は、正面装備だけで6兆円―6兆5000億円といわれる。このうち後年度負担を除いた61―65年度の必要予算は5兆5000億円前後とされ、人件費(7兆円以上)、燃料や施設など後方支援費(6兆5000億円前後)などを合わせた防衛費は19兆円―19兆5000億円程度と見られる。同期間中のGNPは、経済企画庁の「80年代経済社会の展望と指針」で見込んだ実質4%成長で試算すると約1770兆円。試算の防衛費はその1.07―1.10%に当たり、1%枠突破は確実のようだ。
1%枠突破へ地ならし
《解説》
 防衛費はすでに今年度予算でGNPの0.997%に迫り、夏の人事院勧告に伴う自衛隊員の給与ベアによって今年末の補正予算編成では1%枠を突破するのは必至だ。そうした情勢の中で、7月ごろまとまる59中業が必要経費の積み上げという形で61年度以降は1%突破やむなしという数字を出すことは、補正予算編成時の1%突破へ向けての地ならしにもなる。
 しかも、59中業自体は、たとえ1%枠突破という数字が出ても「防衛庁の概算要求の基準となる内部資料にすぎず、1%枠とは直接関係ない」(加藤防衛庁長官の国会答弁)という逃げ道も用意されている。防衛庁は世論や野党との正面衝突は避けつつ、1%枠突破に向けて既成事実をまた1歩重ねようとしているわけだ。
 
 
 
 
※ この記事は、著者と発行元の許諾を得て転載したものです。著者と発行元に無断で複製、翻案、送信、頒布するなど、著者と発行元の著作権を侵害する一切の行為は禁止されています。








サイトに関するご意見・ご質問・お問合せ   サイトマップ   個人情報保護

日本財団会長笹川陽平ブログはこちら



ランキング
注目度とは?
成果物アクセスランキング
14位
(28,694成果物中)

成果物アクセス数
431,585

集計期間:成果物公開〜現在
更新日: 2017年4月22日

関連する他の成果物

1.私はこう考える【北朝鮮について】
2.私はこう考える【中国について】
3.私はこう考える【ダム建設について】
4.私はこう考える【死刑廃止について】
5.私はこう考える【公営競技・ギャンブル】
6.私はこう考える【天皇制について】
7.私はこう考える【国連について】
8.私はこう考える【憲法改正について】
9.私はこう考える【教育問題について】
10.私はこう考える【イラク戦争について】
  [ 同じカテゴリの成果物 ]


アンケートにご協力
御願いします

この成果物は
お役に立ちましたか?


とても役に立った
まあまあ
普通
いまいち
全く役に立たなかった


この成果物をどのような
目的でご覧になりましたか?


レポート等の作成の
参考資料として
研究の一助として
関係者として参照した
興味があったので
間違って辿り着いただけ


ご意見・ご感想

ここで入力されたご質問・資料請求には、ご回答できません。






その他・お問い合わせ
ご質問は こちら から