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私はこう考える【教育問題について】

 事業名 組織運営と事業開発に関する調査研究
 団体名 日本財団(The Nippon Foundation  


2003/07/07 朝日新聞朝刊
忙殺4カ月、重なる疲労 広島・尾道で教育次長自殺
 
 広島県尾道市教育次長の山岡将吉さん(55)が4日、自殺しているのが見つかった事件が、関係者の間に衝撃を広げている。民間から登用された同市立小の校長が、「たくさんの方に迷惑をかけた」という遺書を残して自殺したのは3月。山岡さんは校長の自殺の事後処理を担当し市議会や保護者、マスコミとの対応などにも追われていた。教育次長の4カ月を追った。
 山岡さんは、銀行マンから転身した市立高須小学校の慶徳(けいとく)和宏校長(当時56)から、学校運営の相談を受ける立場だった。慶徳校長が赴任して1カ月後の昨年5月、病気休暇を申し出た際に教育長らとともに対応したのも、山岡さんだった。
 
●保護者も心配
 慶徳校長が自殺したのは、今年3月9日。同夜開かれた保護者説明会で、山岡さんは不安を口にする親たちを前に、対応策の説明に追われた。「子どもへの影響を心配しており、心のケアをしていきたい」。春休みに入った後も、市教委に設けられた調査委員会で、教職員らからの聞き取りや報告書のとりまとめに忙殺された。山岡さんの疲労はかなり重なっていた、とみられる。
 報告書を発表する直前の4月末、同小PTAの役員宅に午後11時ごろ、山岡さんから「確認したいことがある」と電話があった。役員は驚いた。「こんな時間まで作業しているのか」
 6月初め、同小保護者から市教委に対し、校長自殺問題についての質問書が出された。だがその後、心配したPTA関係者らから「これ以上負担をかけるのは本意ではない」という声が出て、月末に質問書は撤回された。
 
●議会折衝続く
 校長の自殺問題の報告書作成と並行し、自殺した校長の遺族に対する遺族年金支給申請などの事務作業にも山岡さんはかかわった。遺族の相談相手として、5月末にかけて、広島市に近い遺族宅を数回訪れたという。
 翌6月は定例議会の開催時期だったこともあり、議会関係との折衝が続いた。県議に加え、国会議員や他県の地方議員の視察も相次ぎ、その都度山岡さんは同行。市議会では校長自殺問題で同小教職員の参考人招致が決まり、その協議の場にも呼ばれた。
 6月30日に市教育長が検査入院すると、山岡さんはマスコミ対応まで一手に引き受けることになった。今月1日には広島県教職員組合が報告書を発表し、自殺した校長が病気を理由に願い出た休暇を認めなかったとして、市教委の対応を批判。山岡さんは、朝日新聞記者に「病気に対する(市教委の)認識は甘かった」などと語った。
 同僚の一人は、山岡さんのことをこう評した。「(仕事が重なっても)周囲に弱音は吐かない人だった」
 
◇700人、冥福祈る
 広島県尾道市の教育次長だった山岡将吉さんの葬儀は6日午後1時から、同市内の葬儀場で営まれた。小雨が降る中、遺族をはじめ、市職員や学校関係者ら約700人が参列し、冥福を祈った。
 亀田良一・尾道市長は「どうして死という道を選んだのか理解に苦しんでいる。ほかに選択はなかったのか」などと弔辞を述べた。
 
○急激な教育改革、現場にストレス
 教師らの自助グループ「悩める教師を支える会」の代表を務める諸富祥彦・千葉大助教授の話 絶対評価や総合学習の導入など教育改革が急激に進み、現場は多忙を極めている。校長は教師の評価もせねばならず、教師との溝が深まりがちだ。自殺された尾道の民間人校長もこうしたストレスにさらされていたのではないか。
 市町村教委も、教育改革の成果を求める都道府県教委や文科省への報告書づくりに追われ、帰宅が深夜になる人も少なくない。失敗が許されない雰囲気のなか改革が強引に進められると弊害も出る。
 
■山岡教育次長の自殺までの経緯
01年4月
 広島県や東京都などで全国に先駆けて民間人校長が誕生
02年4月
 広島銀行東京支店副支店長から転身した慶徳和宏校長が尾道市立高須小学校に着任
02年5月
 慶徳校長が市教委に病気休暇を申し出る
03年3月
 慶徳校長が自殺
03年5月
 県教委などが「自殺原因の断定は困難」とする調査報告を発表。赴任前の研修が2日間しかなかったことや教頭が病気で不在になった際の支援が不十分だったこと、日の丸掲揚や君が代斉唱問題で教職員から反対意見が出たことに悩んでいた、などと指摘
03年7月1日
 県教職員組合が独自の調査結果を発表。慶徳校長は1日7時間の超過勤務でうつ病と診断されていたのに尾道市教委が病気休暇を認めなかったと批判
03年7月4日
 山岡将吉・市教育次長が自殺しているのが見つかる


 
 
 
 
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