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私はこう考える【教育問題について】

 事業名 組織運営と事業開発に関する調査研究
 団体名 日本財団(The Nippon Foundation  


2002/08/03 朝日新聞朝刊
「低下」否定、文科省に焦り(ニッポンの学力 転機の教育:13)
 
 ――新しい学習指導要領になり、基礎基本の学力は確実に上がる。習熟度別指導などで、各自に合った進度で教える。下がる理由がない。
 「学力低下」にいきり立つ人たちのデータは相手にしていない。彼らが必要と思う学力のデータだけの各論だ。
 「低下」論者は「むちの打ち方が弱いから子どもが勉強しない。もっと強く打て」と言う。だが、むちで打つ詰め込み教育に戻すことを、世論は求めていないはずだ。
 日本特有の受験学力は近く化石化する。これまでの入試では、グローバル化した社会に通用しない――。
 7月下旬、文部科学省の寺脇研・前官房審議官(現文化庁文化部長)は朝日新聞のインタビューに、明快に話した。
 学力問題について積極的に発言し、「ミスター文科省」とも言われる。この人の言葉通りなら、日本の学力は明るいはずだ。だが、学校現場の表情とは落差がみえる。
 東京の公立中学校長は実感として、「学力低下」を感じる。九九ができない入学生が目立つのが気になる。親の「学力不安」も膨らんだと思う。
 今春から土曜日に補習を始めた埼玉県の公立中校長。「学力低下の危惧(きぐ)があるからこそ始めた」
 広島県の公立小校長。「授業数が減った分、点数化できる学力は明らかに落ちてしまう」
 寺脇氏のいる文科省も揺れた。今年1月には遠山敦子・文科相が宿題や補習の充実を促す「学びのすすめ」を出した。
 遠山文科相は5月下旬、東京都であった全日本中学校長会の総会でも、約1200人を前に学力問題に言及した。
 祝辞に続けての、予定外の演説だった。「公立中学校で学力の低下が起こるというようなことは、決してあってはなりません」
 「学力は下がらない」との表看板とは裏腹の焦りが見える文科省。学力実態を正確につかむため、今年から約49万人の小中学生を対象に学力調査も始めた。「低下」論の台頭以降、最大規模の調査結果は秋に出る。
 どんな結果が出るのか、それをどう分析し、どう生かすのか。学力問題に揺れる社会全体が注視している。(おわり)
    ◇
 この連載は池田敦彦、井上久男、尾崎文康、佐々木亮、友野賀世、堀江隆、松井潤、山中季広が担当しました。
 「転機の教育」の次シリーズは、秋に掲載する予定です。競争原理の加速する学校現場とその周辺の実情を取り上げます。
 
 <データでみる学力>
 最近の学力データには、さまざまなものがある。まず、相次いで示された代表的な低下データは次のような内容だ。
 98年。京大の西村和雄教授らの調査。トップクラスの私大で文系学生の2割が、小学校の計算問題ができなかった。
 00年。東京理科大の澤田利夫教授らの調査。分数・小数の問題で、11都道府県の小6の正答率が82年の8割から6割に。
 01年。東大の苅谷剛彦教授らの調査。大阪の小学生の算数平均点が、100点満点で89年より12点ほど下がった。
 一方、日教組の委託で、「学力低下」問題を研究した学者グループは、経年比較ができるおもな調査を検証した。結論は「やや低下しているといえる場合もある」。
 小中学生の学力調査をしてきた地方自治体も少なくない。
 72年度から続ける栃木県。小5では、容積を求める算数の問題の正答率は下がったが、理科では向上が目立つ。沖縄県は学力向上策と同時に88年度に開始。「確実に上がった」(県教委)。京都市は約20年続く調査の結果を分析中だ。中3の5教科平均の正答率はほぼ50%台で推移し、大きな変化は見られないという。
 
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 〒104・8011
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