日本財団 図書館

共通ヘッダを読みとばす


Top > 社会科学 > 政治 > 成果物情報

私はこう考える【教育問題について】

 事業名 組織運営と事業開発に関する調査研究
 団体名 日本財団(The Nippon Foundation  


2002/04/19 朝日新聞朝刊
真に「新しい公共」を 奉仕活動(社説)
 
 青少年の奉仕活動や体験活動の推進策について、文部科学相の諮問機関の中央教育審議会が中間報告をまとめた。
 小中学生にボランティア活動シールを配る。実績をポイントにして公共施設の利用料を割り引く。あの手この手の誘導策が並んでいる。
 「やってみようかな」という気持ちを起こさせる小さなきっかけをつくるのは、悪いことではない。しかし、呼び水のはずが、活動目的自体になりかねないプランがあるのには、いささか首をかしげる。
 たとえば、活動を記録する「ヤングボランティアパスポート」をつくり、高校の単位認定や入試、就職などに活用する、という提案である。
 内申書でボランティアが評価され、あちこちの中学校で「にわかボランティア」がはやったのは記憶に新しい。感性の鋭い子は「点数ほしさと思われたくない」と遠ざかってしまったという。
 それに、入試や就職で使うには、活動をしたという確認が必要になる。となると、「パスポート」に書かれるボランティアは、老人ホームの訪問など、相手先から証明がもらえる活動が中心になる。
 証明ほしさのボランティアでは、施設にも迷惑がかかりかねない。心がこもらなければ、お年寄りも傷つくだろう。
 大切なのは、カウントできる実績だけではない。人と人とが支え合うとはどんなことか、体を動かし、知恵を絞って、実感することである。
 何も「お手伝い型」に限らない。薬害エイズ問題を訴えた若者たちのように、自分で問題を見つけ、事態を改善するために動く「アクション型」がもっと重視されるべきだ。自分の手で状況を少しでも変えられたとき、喜びがわいてくる。
 この中間報告も、「新しい公共」の大切さをうたいあげている。その点は評価したい。行政任せではなく、個人が「良き市民」として連帯し、より良い社会をつくっていくという考え方といえよう。
 一方で気になるのは、中間報告が「奉仕活動」という言葉を前面に掲げていることだ。自発的な「ボランティア活動」もそこに含め、意味する範囲を幅広く考える、と述べている。
 そもそも今回の論議の発端は、教育改革国民会議(首相の私的諮問機関)で、作家の曽野綾子さんが「奉仕活動の義務づけ」を提唱したことである。曽野さんは、奉仕活動を国家から義務教育や健康保険などを受け取る反対給付と位置づけていた。
 「奉仕」は広く使われる言葉だが、昨今それをことさら強調する人の中には、「個人は国に尽くすべきだ」という思想の持ち主が少なくない。
 「新しい公共を」と言いながら、「古い公共」が透けて見える言葉を好むのはなぜだろうか。


 
 
 
 
※ この記事は、著者と発行元の許諾を得て転載したものです。著者と発行元に無断で複製、翻案、送信、頒布するなど、著者と発行元の著作権を侵害する一切の行為は禁止されています。





サイトに関するご意見・ご質問・お問合せ   サイトマップ   個人情報保護

日本財団会長笹川陽平ブログはこちら



ランキング
注目度とは?
成果物アクセスランキング
11位
(28,647成果物中)

成果物アクセス数
493,444

集計期間:成果物公開〜現在
更新日: 2017年3月25日

関連する他の成果物

1.私はこう考える【北朝鮮について】
2.私はこう考える【中国について】
3.私はこう考える【ダム建設について】
4.私はこう考える【死刑廃止について】
5.私はこう考える【公営競技・ギャンブル】
6.私はこう考える【天皇制について】
7.私はこう考える【国連について】
8.私はこう考える【自衛隊について】
9.私はこう考える【憲法改正について】
10.私はこう考える【イラク戦争について】
  [ 同じカテゴリの成果物 ]


アンケートにご協力
御願いします

この成果物は
お役に立ちましたか?


とても役に立った
まあまあ
普通
いまいち
全く役に立たなかった


この成果物をどのような
目的でご覧になりましたか?


レポート等の作成の
参考資料として
研究の一助として
関係者として参照した
興味があったので
間違って辿り着いただけ


ご意見・ご感想

ここで入力されたご質問・資料請求には、ご回答できません。






その他・お問い合わせ
ご質問は こちら から