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私はこう考える【教育問題について】

 事業名 組織運営と事業開発に関する調査研究
 団体名 日本財団(The Nippon Foundation  


2002/04/11 朝日新聞朝刊
民の力 外部の目意識し創意(転機の教育:5)
 
 鉛筆で好きな絵を描く。温度計づくりに熱中する。公園のリスを観察する子もいる。何をするかは自分で考える。学年の区分けもない。6日、神奈川県藤沢市で始まった「土曜学校」だ。
 フリースクールに似ているが違う。運営する小学校の先生や親は、日本初の「民営の公立小学校」開設を目指している。土曜学校はその日に備えた予行練習だ。「湘南小」と名前も決めている。
 「公立だから授業料はかからない。民営なので、柔軟な発想で学校をつくることができる」とメンバーは言う。
 米国で過去10年間に2千校以上も誕生した公設民営型の「チャータースクール」を下敷きにしている。先生や親が計画を作り、教育委員会などと契約して設立、税金で運営する学校だ。
 3月下旬、米国のチャータースクール運動の指導者ジョー・ネイサンさん(53)が来日し、各地で「下からの創意と工夫を生かす改革で、学校と社会の結びつきが強まった」と力説した。米国では学力向上を目的にしている学校が多いという。
 日本では、いますぐ公認される状況にはないが、全くの夢物語というわけではなさそうだ。
 文部科学省は今年、全国のモデル校でコミュニティ・スクールの研究に乗り出す。保護者や地域の意向に沿って運営する公立校だ。チャータースクールと共通点がある。
 
 ■
 
 明治以来、一貫して「官」が支配してきた公立学校で不登校、学級崩壊、学力などの問題が山積する中、「民」の活用は、すでに始まっている。
 公募などによる民間人校長登用はその一つだ。
 現在、6都府県に20人いる。東京都立高島高の内田睦夫校長(56)は日立製作所の関連会社取締役から転じて1年だ。
 「学校は一つ一つの教室が、おのおのの方針を持った株式会社のよう。校長は企業の管理職とは違う」と感じた。
 基本は生徒の満足度の向上だ。「企業のCS(顧客満足度)と同じ」という。「部活参加率80%」「希望校への進学率82%」などの達成目標を挙げる。
 マツダでマーケティングや広報を担当した了安峻(りょうあんたかし)さん(55)は1年前から広島県黒瀬町の町立黒瀬中校長だ。
 売り上げなど数値目標で鍛えられたビジネスマンにとって、学校の目標はつかみどころがなかった。「学校の目標は『すばらしい人間をつくろう』とか高邁(こうまい)すぎる」。新年度の重点課題の一つはずばり「学力をつける」だ。
 
 ■
 
 そんな民間人校長が口をそろえるのが「外部の視点」だ。
 入学する小中学校を選べる制度で知られる東京都品川区は、全校で間もなく外部評価制を始める。「基礎学力が付いたか」などを保護者や地域の人が4段階で採点する。
 高知の県立高でも外部の視点を入れた学校評価が近く一斉に始まる。仙台市で発行されている雑誌は昨年、約70の市立小を経営努力など九つの観点で3段階評価する「通信簿」を掲載した。
 国から地方や学校現場に権限が移り、学校の情報公開、説明責任が求められている。それに伴い外部評価も広がる。
 わずか4年前、長野県小海町が実施していた少人数学級をめぐり、県教委は「教育の機会均等の原則を損ねる」と撤回を強く求めた。県の背後には文部省がいた。
 いま、文科省の「規制緩和」で少人数学級は珍しくなくなった。各地で実情をにらみ、学級の基準人数を決めている。
 
 ■
 
 「ゆとり」で揺らぐ教育行政のなか、規制緩和を受け、均質から多様へ自ら改革へと走り始めた学校現場。さまざまに変化する子どもたちがいる。変わらざるを得ない社会がある。
 教育の基準はお上(かみ)がつくるという常識に疑問符がつき、下から新しい教育を築き上げようとする時代が始まっている。(おわり)
 (高橋庄太郎、友野賀世、堀篭俊材、本多昭彦、村上宣雄、森北喜久馬が担当しました)


 
 
 
 
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