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私はこう考える【教育問題について】

 事業名 組織運営と事業開発に関する調査研究
 団体名 日本財団(The Nippon Foundation  


2002/01/12 朝日新聞朝刊
「できない子」こそ手厚く 習熟度別授業(社説)
 
 公立の小中学校で、子どもを習熟度に応じてグループに分ける「習熟度別授業」が増えている。算数や数学で、小学校高学年あたりから試みる学校が多い。
 「差別感を助長する」「競争をあおる」と批判されたころからすると、隔世の感がある。学級全員が一斉に同じ授業を受けるばかりだった風景は変わりつつある。
 今年度からの国の教職員定数改善計画で、小中学校の算数・数学や理科などで20人程度の授業が可能になった。文部科学省が「できる子」向けに、学習指導要領を超えた指導を求めだしたことも、学校の背中を押している。
 これらの動きの底にあるのは、「一律の教育」ではなく「個に応じた教育」をめざす、という教育改革の流れである。
 その方向は間違っていないと思う。
 子ども一人ひとりは学ぶ速度も関心の持ち方も違う。教師の指示で学級全員が動く、というのはあまりに画一的だ。
 国立教育政策研究所の研究者らの行った調査では、公立小学校の教員約7千人のうち「教科によっては習熟度の差が大きすぎる」と答えた人が8割近くを占めている。塾で先取り学習をする子としない子など、差がさらに広がっていると指摘する教師も多い。
 しかし、現実に習熟度別授業を始めるとなったら、いくつかの点に心を配らなければなるまい。
 「できる子」だけはどんどん伸びるが、「できない子」はなおざりにされ、差がいっそう開いていくというのでは困る。
 勉強の苦手な子は、ただでさえ「ダメな子」というレッテルをはられがちだ。授業がわからないまま耐えている子こそが、わかる楽しさを感じ、自信がつくようにしてほしい。教えるのが一番うまい先生が彼らを担当するのがいい。
 また、習熟度別に分けられることで子どもたちが意欲をそがれては元も子もない。自分でグループを選び教師が助言するなど、本人が納得することが大切だ。難しすぎたりやさしすぎたりしたら、コースを変更できる柔軟さがほしい。
 教科の成績だけが本人の能力を判断するものさしだ、という空気は社会になお根強い。習熟度別授業が保護者におかしな優越感や劣等感を与えないよう、趣旨をきちんと理解してもらわなければなるまい。
 文科省は新年度から「学力向上フロンティア事業」と銘打ち、800校を超える小中学校で習熟度に応じた授業を導入する構えだ。だが、習熟度別だけが「個に応じた教育」ではない。同じ教科でも好きな課題を選べるテーマ別や、自学自習、グループ学習を含めたスタイル別など、多様な授業方法を試してみることも必要だろう。
 ただ、そうした工夫だけで学力を向上させることは難しい。少人数学級や教師の増員など全体の条件整備が欠かせない。


 
 
 
 
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