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私はこう考える【教育問題について】

 事業名 組織運営と事業開発に関する調査研究
 団体名 日本財団(The Nippon Foundation  


1999/04/08 朝日新聞朝刊
ひとりで悩まないで 学級担任(社説)
 
 新しい学年が始まった。子どもたちも先生も、春のスタートラインに立つ。新任の教員も、教室に第一歩を踏み入れる。
 そんな折、気になる調査結果が出た。
 日本教職員組合が、小学校の学級担任を対象に行った意識調査だ。回答した約千八百人のうち三四・八%が、「学級担任をやめたいと思ったことがある」と答えた。
 最も多い理由は、「子どもたちとの関係がうまくいかない」ことだった。「担任をというより、教員をやめたいと思うことがある」と書いた人もいた。
 調査での記述回答には、そんな先生たちの内心の一端が、よく表れている。やめたいと思ったのは、どんな時か――。
 「持ち帰り仕事が多く、疲れたとき。子供が荒れ、授業がやりづらくなったとき。でも結局は担任次第ですヨと言われた」
 「自分には教師がむかないのでは……と思った。まだ新任だったころ、子どもたちに自分の想(おも)いだけで、へたくそな授業、考えの押しつけをしてしまい、学級が荒れてしまった時」
 「児童がうるさくなり、静かにさせるのに疲れる。自分で何とかしのいでいる」
 私語、立ち歩きなどを具体的に挙げる回答もあった。いわゆる「学級崩壊」、あるいはその前段的な状態が、相当数の学校に広がっていることをうかがわせる。
 学級崩壊の原因には、家庭のしつけや教師の力量、さらには少子化、消費社会化など多くの面から指摘がなされてきた。文部省もようやく実態把握に乗り出した。今後、事例や意見を広く交流し、議論を深めていくことが必要だ。
 一方で、教育現場は待ったなしである。回答にはこんな「ヒント」もあった。
 「学級崩壊に近い状態になった事があり、いじめ、不登校、教師に対する暴言などで悩んだが、学年全体で取り組んだ」
 「同学年の仲間に悩みを打ち明け、その話し合いが心の支えになった」
 昔はよく教師同士で集まっては教育談議をした、とベテラン教師はいう。今、そんな機会は減って、同じ学校の教員同士でさえ疎遠になってはいないだろうか。
 学級崩壊は決して担任だけの責任ではない、という理解は社会に広がっている。壁にぶつかったら一人で悩まず、教員仲間や父母にざっくばらんに相談してほしい。学校や地域でも、そうしやすい雰囲気を、意識してつくりたいものだ。
 調査では、「忙しさ」への悲鳴も目立った。指定研究や学校行事の準備など校務や会議、研修に追われ、児童との触れ合いもままならない、という声だ。
 工夫の余地もあろうが、本質的な解決の方向は、学級定員を現在の四十人以下から、三十人以下などに減らすことだ。それによって教師の人数が増え、負担が減り、子どもたちともじっくり向き合える。学級崩壊への重要な処方にもなるだろう。
 学級規模の縮小を求める世論は、各地で高まっている。財政とのかねあいだが、文部省など行政当局には、ぜひ実現に努力するよう、改めて求めたい。
 家庭でも、親は教育に悩む。
 同じように教師たちも悩みにぶつかる。
 それをお互いに理解し合うことが、まず何よりも大切に思われる。
 そのうえで、教師たちがもっと生き生きと教育に力を傾けられるような環境を、一歩ずつでも皆でつくっていきたい。


 
 
 
 
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