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私はこう考える【教育問題について】

 事業名 組織運営と事業開発に関する調査研究
 団体名 日本財団(The Nippon Foundation  


1987/08/02 朝日新聞朝刊
高卒・大卒(臨教審の1000日・最終答申を前に:7)
 
 宮田義二氏(63) 鉄鋼労連最高顧問
 学歴偏重の脱皮を 生涯学習で個性を磨け
 「労組の会合より、やはり、マージャンをし、酒を飲む方が楽しい。これからの時代、趣味や娯楽の分野に活動を広げていくことが、組合が生き残る近道かもしれない。互いに趣味を披露し合うことも生涯学習だ」
 先月中旬、都内で開かれた同盟主催のシンポジウムにパネリストとして招かれた宮田氏は、こう話を締めくくった。隣の席で、やはり臨教審委員の金杉秀信前同盟副会長がうなずいた。
 
○苦学ゆえの反発
 労働界、それも総評系労組を代表する形で参加した。「私どものバックは、高卒までの人が大半。大学卒でないというだけで、能力が正しく評価されない。これを何とかしてくれ、という声を代弁してきた」
 15歳で溶接工として製鉄所に入った。仕事の後で学校や製鉄所内の養成所に通うなど、苦学を重ねた。だから学歴偏重への反発は強い。「キチンと勉強し、高卒より、確かに能力がある、というのなら文句はいいません。だが、現実はそうじゃない」
 入学が厳しく、卒業が易しいという、今の大学教育に問題があるのじゃないか。大卒、それも有名大卒の人に、肩書に頼ろうとする傾向がかなり見られる……。東大卒がズラリと並んだ委員を相手に、こうぶち上げた。
 第1次答申の審議経過の概要では、「諸外国に比べれば、わが国は学歴社会とは認めがたい」とあった。答申で「学歴社会の弊害の是正のために」の項目が立てられたのは、宮田メモがきっかけだった、という。
 急激に変化する現代では、学校教育だけでは対応できず、生涯、勉強を続けなければならない。「大学での勉強が役に立たない、ということになれば、学歴偏重の考えも改まってくるのじゃないか」。生涯学習をこう意味づけた。
 臨教審なきあとは、こうした提言を推進していく圧力団体が必要だ、という。「経済同友会なども教育に関心を寄せて取り組んでいるから、こうしたところとタイアップして……。日教組は対応能力を持ってない」。総評系とはいいながら“仲間”にはさめている。
 
○松下塾副塾長に
 昨年8月、松下政経塾の副塾長となった。「将来、為政者として、企業経営者として日本を背負う青年を育てる」という松下幸之助氏の意思によって設立された塾。「政経塾イコール保守系というイメージはある。ただ、今の革新政党に若者が魅力を見いだせない、というのは、残念ながら、私も同感」
 「豊かな個性を育て、肩書でなく、人間そのものを磨く。結局は、それが学歴偏重を正す近道になると思う」
 
 =おわり
 
 <学歴社会の是正>「学歴社会の弊害は、教育・学習システムのみならず、社会慣行や人々の行動様式に深く根ざしている。学校と企業・官公庁は、責任を転嫁することなく、連携しての是正が望まれる。組織の活性化を図るためにも、採用や人事管理にあたっては多様な能力評価を行うよう、積極的な努力を求めたい」(第1次答申より)
 
●私はこう思う 企業の人生、若者は多様化
 元「就職ジャーナル」編集長楢木望氏(39) 指定校のワクなど、取り払うのは簡単。ただ、競争社会の中で、企業が有能な人材を求めるのだから、結果として、そうした人がいる確率が高い大学卒、それも有名校に目が向くのが現実だろう。差別を糾弾する声の裏には、できれば差別する側に回りたい、という気持ちもある。だが、有名企業に入ること、出世することが本当に良いことなのか。生涯賃金、余暇時間、責任の重さなどを考えれば、どちらを選ぶか、若者の志向は多様化している。学歴社会の問題は、臨教審の答申など、上からの指図ではなく、こうした現実の中で変わっていくだろう。生涯学習を自己研さんとするなら、すでに技術革新の波についていけない人も出ている。学校教育の延長を生涯学習に求めるなら、その成果をどう評価し、待遇などに反映させるか、という課題が生じるだろう。


 
 
 
 
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