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私はこう考える【教育問題について】

 事業名 組織運営と事業開発に関する調査研究
 団体名 日本財団(The Nippon Foundation  


1987/07/31 朝日新聞朝刊
旗手(臨教審の1000日・最終答申を前に:5)
 
 香山健一氏(54) 学習院大学教授
 「自由化消えていない」 堅い壁にも衰えぬ熱弁
 「一番勉強したのは、文部省の役人。現場を取り締まる官庁から政策官庁へ脱皮する糸口はできたのではないでしょうか」
 臨教審のスタート早々、「文部省改革論」を雑誌に発表、「画一的な教育の元凶は文部行政と日教組」と痛論した人が、3年間を経ていささか言い方が変わってきた。「まず褒めないと人は動きませんから」
 
○文字は消えたが
 臨教審が設置される半年前、「教育改革推進のための基本的な考え方」なる秘密めいたメモが出回った。筆者はこの人。その中で、改革の基本を「自由化、多様化、国際化、情報化、人間化」と規定した。
 その「自由化」は、文部省、自民党、教育界、日教組にこぞって反対され、「自由化の旗手」は孤立無援となった。一時は「個性主義」と名を変えたが、有田第3部会長の「あれは自由化の世を忍ぶ仮の姿」という追い打ちに遭い、答申では「個性重視の原則」に。「自由化」の字はすべて消えた。改革の行き先に不安を抱いていた文部省は息を吹き返した。
 が、本人は言う。「自由化が消えたとは、事情を知らない人の言うこと。自由化は、答申を重ねるごとに考え方が拡大、深化し、具体化されている」
 
○対立解消の主張
 第2次答申に、「戦後教育界の不幸な対立に終止符を打たなければならない」と書いた。日教組対文部省の対立を、これを機に解消しようとする主張だった。
 だが、日教組の臨教審批判は厳しく、「自由化は公教育を破壊する安上がりの教育政策」とののしられた。自民党の中には、元全学連委員長の経歴をあげつらって不信の目を向ける向きもあった。
 「日教組はこの3年間、少しも変わらなかった。日教組が変われば、文部省も変わりやすかったのに。そうなれば、答申に盛り込めなかった高校教科書の検定廃止が、もう少し進んだかもしれない。だが、もはやこれまで。(対立解消の)チャンスは消えましたね」
 
○基本法は変えぬ
 中曽根ブレーンといわれる、タカ派の論客。が、臨教審では教育基本法を変える必要はないという立場を通した。「新憲法は日本の繁栄に役立ったし、教育基本法は、戦前の国体の本義、教育勅語を否定するために必要だった」。独自の立場は、結局“オール教育族”の堅固なカベにぶつかって、急速に力を失ったようにも見える。が、答申の起草に終始立ち会った内田委員は、「香山さんがいなかったら、臨教審の答申は、気の抜けたサイダーみたいなものになっていたと思う」と言った。
 
<教育の自由化論>
 塾を学校にするとか学区制をなくすとか、極端な議論で注目された。自由化論者の多い第1部会と、学校関係の委員が多い第3部会が対立。有田第3部会長は「だれでも自由に学校をつくれることになれば、公教育は破壊され、学区制をなくし、好きな学校に行けるようにすれば、経済的に恵まれた者だけが有利になる」と反発。極端な「自由化」は答申の中から姿を消したが、行政による規制の緩和という考え方は、答申の各所に出ている。
 
●私はこう思う 変わらぬ基調 教育の商品化
 臨教審批判を展開してきた東大教育学部教授の堀尾輝久氏(54)
 臨教審は単に中曽根内閣とともに消えていくものではない。答申に盛りこまれた初任者研修、大学審議会など、問題の多い改革案が、そのまま文部省の手で実行に移されようとしているのを見れば分かる。
 「自由化」も一部で、思うように書き込めなかった部分があったにせよ、臨教審の基調は「自由化」だったと見ていい。公費を削減し、その部分を民間の活力でまかなうという考え方は、財界の主張であり、私たちが主張する「教育の自由」とは何の関係もない。教育を商品化し、その中から選ばせるというやり方は、選択の自由を与えたようで、実は高い買い物をさせられることになる。国鉄の民営化と同じようなものだ。
 塾を学校にするとか学区制をなくすとか、極端な議論で注目された。自由化論者の多い第1部会と、学校関係の委員が多い第3部会が対立。有田第3部会長は「だれでも自由に学校をつくれることになれば、公教育は破壊され、学区制をなくし、好きな学校に行けるようにすれば、経済的に恵まれた者だけが有利になる」と反発。極端な「自由化」は答申の中から姿を消したが、行政による規制の緩和という考え方は、答申の各所に出ている。


 
 
 
 
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