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私はこう考える【教育問題について】

 事業名 組織運営と事業開発に関する調査研究
 団体名 日本財団(The Nippon Foundation  


1986/12/26 朝日新聞朝刊
日教組が自滅を免れる道(社説)
 
 委員長人事をめぐる内部抗争で動きがとれなくなっている日教組が、ようやく年明けに定期大会を開くことになった。もっとも、そこで扱うのは当座の収拾策だけともいうから、事態の深刻さは変わらない。
 しかし、開催があやぶまれていた全国教育研究集会を、時期は遅れるものの開くことにしたのは、一歩前進といえよう。これを開くのは、いわば日教組が現場教師の団体であることのあかしである。一部の役員・活動家以外の多くの一般教師が子どもたちの現実と取り組んでいる真剣で誠実な気持ちが、そこでは確かに感じられてきた。
 長年、激しい政治的批判・攻撃にさらされながら、日教組が存続しえたのも、そうした教師たちが属している組織だという信頼が、父母・国民の間に残っていたからだと見てよい。執行部のイデオロギーに支持が多かったからでもなければ、大衆に対する指導性が優れていたからでもない。
 秋以来の対立抗争は、この事実を忘れた主導権争いとしか、外部の目には映らないものであった。それぞれに言い分はあるだろう。だが、子ども・青年が置かれている困難な現状よりも、そちらの方が大事だといえるのだろうか。とうてい、そうは思えない。
 臨時教育審議会が発足して2年以上たち、かつてない活発な教育改革の論議が進んでいる。政治主導で生まれた機関の制約はあるにせよ、そこに現れている議論には教育界が真剣に受け止めなければならない要素が数多くある。端的にいえば、学校教育制度そのものまでが問い直されようとしている。
 そうせざるをえない子ども・青年の現実があるからである。「臨教審路線反対」を唱えるだけでは、政府に対する態度表明にはなっても、父母・国民への答えにはならない。日教組は、子どもたちの苦しみを代弁し、それを解消するためなら自分たちも痛みに耐える覚悟のあることを明らかにすべきだ。
 本来なら、それは大会での運動方針論議でなされねばならないのだが、その機能は失われている。可能性を見いだすとすれば、まず教研集会に集う教師たちが「子どものために」という思いで一致結束している事実を示すこと。それによって、父母・国民の間の信頼と期待をつなぎ留めることであろう。
 いまや、執行部自体に対立解消の当事者能力がなく、労働団体や政党にも調停の力がないように見える。だとしたら、例えば、そうした父母・国民を代表する形の第三者に集まってもらい、その声を問い、その意見に依拠して「再生」するしかないのではないか。半年後、かりに派閥間の取引で体裁は整えられても、それでは、しょせん自滅の道につながるように思われる。


 
 
 
 
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