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私はこう考える【教育問題について】

 事業名 組織運営と事業開発に関する調査研究
 団体名 日本財団(The Nippon Foundation  


1986/09/13 朝日新聞朝刊
日教組は内部抗争をやめよ(社説)
 
 13日から定期大会を開く予定だった日教組が、組織内の主導権争いで大きく揺れている。役員改選期を迎え、田中委員長の続投か、中小路書記長の昇格かで、主流派内のいわゆる右派と左派が対立を激化させているからだ。
 これまで右派が多数派だった勢力比は、ここにきて逆転し、あらたに多数をにぎった左派が田中委員長の退任を迫った。予想外の苦境に立たされた右派は、大会に先立つ中央委員会に欠席戦術で抵抗し、事態は行き詰まりを見せている。
 政党や労組の組織内で、路線上の主張の違いが生まれ、いわゆる派閥的な対立になってゆくのは避けられない生理現象といえるかもしれない。日教組の場合、結成の初めから社会党系、共産党系の流れがあり、その対立をはらんで発足した組織である。あわや分裂かというところまで、それが激しく表面化するのも初めてではない。
 とはいえ、こんどの事態には、過去の紛争とは同列に論じられない深刻さがあるように見える。同じ社会党系の主流派の中での対立が主因であることも1つだが、それ以上に日教組をとり囲む社会情勢が切迫しているからだ。自分たちの置かれている状況を考えれば、内輪の抗争などに血道をあげていられるはずはないのに、それをしている。
 学校教育のあり方を根本から考え直すことなしに、子ども・青年の悩みにこたえる方策は生み出せまい。そのことが、いまだれの目にも見えてきている。臨教審による改革案づくりが注目されているのもそのためである。これには抵抗しながら、文部省もかなり精力的に手直しに動き始めている。
 日教組は、こうした上からの改革に反対して、子どもや父母の側に立つ下からの改革を進めることを主張し、表明してきた。現場で学校の実情を最も知る教師の組織としては、いわば当然の姿勢であり、共感と期待を寄せる人々は少なくなかったと思われる。
 だが、実際には何ほどのことをなし得たのだろうか。各県教組、そのまた末端の現場で努力した組合員はいたにせよ、日教組全体としての活動の熱気は感じられなかった。組織内の妥協を図るために、臨教審による改革への評価・対応もあいまいにしたまま、結局、「一切の改革に反対」であるかのような印象に終始してきた。
 現状の打開を望む父母からすれば、それは「いまのままでいい」といっているに等しかったといえよう。自分たちの生活の基礎である学校制度の擁護を第一にし、その現実に苦しむ子ども・青年を救うことに消極的と見なされてしまっては、日教組が唱え続けている「父母・国民との連携」など絶望といわなければならない。
 子ども・青年の現実を最もよく知る教師の声が、教育政策に反映するのは必要なことである。その意味で教師がまとまって声をあげられる組織の存在は、貴重である。結成40年を迎えようという組織には、過去の行きがかりも積み重なっているだろう。組織人であれば、主導権を握って全体をリードしたいと考えるのも自然な欲求だろうと思う。
 しかし、それに心を奪われて、大局を見失ってはなるまい。労働運動の座標軸が揺らぎ混迷が深まっている中で、日教組には「子どもの側に立つ教師の集団」という、他の労組にはない性格がある。もともと各都道府県教組の連合体である。子ども中心の一点につながって、なすべき役割を考えてほしい。小異を残しながらも大同につく理知が大会を支えるのを期待して、見守りたい。


 
 
 
 
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