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私はこう考える【教育問題について】

 事業名 組織運営と事業開発に関する調査研究
 団体名 日本財団(The Nippon Foundation  


1986/08/27 朝日新聞朝刊
噴き出す学校不信の声 PTA問題研全国大会(時々刻々)
 
 全国PTA問題研究会(代表=室俊司立教大教授)は25、26両日、東京・一ツ橋の日本教育会館で、いじめ、体罰を中心にした「子どもの人権を守るPTA」というテーマの全国大会を開いた。大会は15回目。昨年までは「子どもの未来のために」といったテーマが多く、「学校との連携」が語られたが、今年は「学校・先生批判が出るだろうが、わが子が直面する問題を考えると、避けては通れない」として、子どもの人権をテーマに選んだという。計約400人が参加した第2日の8分科会のうち「『体罰』『いじめ』とPTA」「子どもたちが学校を変える」の2分科会を傍聴した。一般参加者たちから、批判の域を超え、学校と教師に対する不信の声が次々に噴き出した。
 
◆「『体罰』『いじめ』とPTA」分科会
 「娘が中2の夏休み、面白半分にバイクで自宅近くを走ったが、9月の始業式のあと、担任が級友に『規則を破ると、どうなるか、見ておけ』といって、娘を殴る、ける。さらに午後、指導室に呼び出し、2年の担任11人が代わる代わる殴る、こづく。娘は夜7時半、帰宅するなり、吐き始めた」
 「4日後、私が呼び出され、校長室で学年主任ら8教諭に囲まれ『学校の名誉と伝統を傷つけた。親が悪いからだ』と延々としかられた。最後に『分かりましたが、なぜ、殴るける以外の指導ができないのですか』といったら、娘は学年末まで、学年の先生全員にいじめられた。担任は教室で『親も子もしぶとい女だ』といい、数学の先生は席順に指して娘の番になると、『そいつを抜かせ』。3年から私立に転校させたが、激しい腹痛で入院。精神科の治療もカウンセリングも効果がない」(母親=静岡県)
 「対外試合の前、顧問教諭が気合を入れるため、選手全員にビンタを張った。息子はふっ飛ばされ、コンクリート壁で頭を強打。当時、体罰が目立ち、私はPTA役員として、学校側に改善を求めていた。そうした親の声を集めたPTA広報紙の原稿はボツになった。やがて、息子についても『生徒が悪かった』『顧問の先生が気の毒だ』といったうわさが広がった。息子はいま中学浪人。いまだに首、腰、手足がしびれ、首の骨がずれている、と診断された」(母親=埼玉県)
 「中学生の息子が万引きグループに入っていることが分かった時、他の親たちと店を回って謝り、息子たちに注意した。先生に連絡せずによかった、と思う」(父親=埼玉県)
 「私の子も万引きをしたが、先生には黙って処理した。同じ中学校の生徒が暴力事件を起こしたあと、担任が家庭訪問もしたがらなかったのを、知っていたからだ」(母親=神奈川県)
 「私の勤務校の運動部内で、上級生たちがある下級生をいじめ、新品の所持品を壊した。母親が部顧問、生徒指導主任、校長に訴えたが、取り合ってもらえず、担任に繰り返し長電話した。職員室に『あの母子は変わり者だ』という空気が広がった」(高校教師=埼玉県)
 「中学入学時から、生徒のほとんどが体罰を受けていたが、先生はその都度『親に言ったら、てめえの内申書がどうなるか、分かっているな』といった。3年になり、生徒が『やめて下さい』と叫んだら、しばらく待たせて『父親の職場に電話したら、死なない程度にビシビシやってくれ、といわれた』といって、また殴った。父親は『堪忍袋の緒が切れて、殴ってしまった』と聞き『済んだことは仕方ない』といっただけで、先生の話はウソだった」(母親=神奈川県)
 「娘が小学校入学直後、担任が『落ち着きがないから、いすに縛る。腰ひもを持たせてくれ』という。『私がよく言って聞かせます』といったが、『学校のことは私に任せなさい』といわれ、一番柔らかい腰ひもを持たせた。それをいまだに悔いている」(母親=東京都)
 
◆「子どもたちが学校を変える」分科会
 「私は以前から問題児だった。ある時、先生にビニールテープで手足をぐるぐるに巻かれ、段ボール箱にぶち込まれた」(14歳の少女=千葉県)
 「体罰を受けた。本で頭を何度もたたかれた。廊下で腕立て伏せを幾度もやらされた」(中2男子=東京都)
 「学校に何を感じるか、のテーマで友だちの意見を載せた校内報を作ったら、すぐ発禁になった」(女子高校生=千葉県)
 「子どもの管理は別に学校に始まるものではない。保育園、幼稚園を見ても管理、管理。完全にカゴの鳥だ」(保育園長=東京都)
 「私はきょう、学校にはっきりモノを言えた子どもたちに会えて感激した。その姿勢こそ大切だと思うからだ」(女性市議=東京都)
 「父母会で疑問があると、私ははっきり発言する。子どもに『やめてくれ』と言われるが、私はやめない。発言する。それこそが、学校を変える姿勢だと考えるからだ」(母親=東京都)
 「70年代、子どもは学校で力があった。発言すれば影響があった。先生も父母も、同じ問題で考えた。それが、いまはない。学校がどうしてもいやなら、早く見切りをつけ、その子どもたちが連帯して何かするのもいいのではないか」(父親=千葉県)
 室俊司全P研代表の話 全P研は、発足時はPTA運営の民主化、次に学級懇談会のあり方や地域運動との連携などを考えてきた。しかし、いま、子どもをめぐる教育環境の問題を考える時、教師と親の本音の相互批判を経なければ、解決への展望が開けないと思う。深刻な状況に対して、正面から素朴に取り組んでいきたい。
 <全国PTA問題研究会(略称、全P研)> 46年、日教組全国教育研究集会の分科会「PTAの民主化・地域住民との連携」に参加した親たちの勉強会として発足。現会員は教員を含め約800人。各校PTAが加盟する日本PTA全国協議会(会員約1500万人)よりはるかに小さいが、「意識的な親の集まり」といわれる。


 
 
 
 
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