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私はこう考える【教育問題について】

 事業名 組織運営と事業開発に関する調査研究
 団体名 日本財団(The Nippon Foundation  


1986/01/23 朝日新聞朝刊
臨教審が第2次答申素案 教育の規制緩和を提言
 
 臨時教育審議会(首相の諮問機関、岡本道雄会長)は22日、総理府で第43回総会を開き、昨年の第1次答申以降の論議をまとめた「審議経過の概要(その3)」を決定、公表した。4月の第2次答申(基本答申)の素案となるもので、改革の基本方向として制度・運用の大幅な弾力化・多様化、教育界での規制緩和、地方分権の推進を打ち出し、第1次答申で掲げた「個性重視」の改革の肉付けを狙った。具体策としては、学習指導要領の大綱化、大学設置基準の簡素化、教育委員会活性化などを盛り、とくに大学関係では、ユニバーシティ・カウンシル(仮称、大学審議会)の創設、修業年限の弾力化、9月入学を可能にする春秋2回入学の実施など大学の自主性を生かす多様化策を提起した。また、教育荒廃克服を念頭に教員の資質向上を大きな柱の1つとし、新任教員に1年間、指導教官をつける初任者長期研修制度の導入を目玉に、採用の早期化、社会人の積極的活用などを提案した。
 「概要」は、4つの部会と国際化、情報化両委員会の審議内容を「21世紀に向けての教育の基本的あり方」「教員資質の向上」など8つの重点課題ごとに整理したもので、2部構成。全文約21万字。
 改革の方向については、第1次答申でうたった「教育基本法の精神の尊重」に沿って「幅広い国民的合意を基礎に基本法の精神をさらに深く根づかせる」などの姿勢を示し、教育の目的は「人格の完成」にあるとの立場を明らかにした。また、教育の具体的目標として、「ひろい心とゆたかな創造力」「自主・自律の精神」「世界の中の日本人」の3つを掲げた。
 改革のあり方については、とくに教育行財政の見直しに関連して詳しく触れ、「個性重視」の考え方を基本にすえた上で、(1)教育現場の創意工夫による教育の活性化と許認可、助言、指導など行政の大胆かつ細心な規制緩和(2)学校、教委、自治体の自主性強化と自己責任体制の確立(3)選択の機会の拡大、の3点を強調している。
 具体的改革策としては、初等中等教育で、「指導要領」の大綱化、重点の明確化のほか、中学校以上では選択教科の拡大を求めたほか、学校の判断で必修科目でも扱いを選択できるようにしたり、資格取得のため高校の修業年限を延長できるようにする改革策も検討課題とした。一方で、徳育重視を強調し「道徳」の見直しも提起した。
 「ユニバーシティ・カウンシル」は、大学設置審議会と私大審議会の一部を統合し、大学政策を検討するもので、文相に対する勧告権限を持つ。このほか、大学では単位制を重視し修業年限の短縮化を「考慮すべきだ」とし、また複数の学校で取得した単位の累積で大学卒業を認定する新制度の創設にも前向きの姿勢を示した。大学への編入拡大、18歳以上となっている大学入学制限の撤廃の検討など、大学の開放化、柔軟化策も盛った。
 教育行政では、国、都道府県、市町村の権限を「委譲できるものは委譲する」との考えを示した。教委の活性化は「最も重要な課題の1つ」と位置づけ、(1)市町村教委の共同設置による事務広域化(2)都道府県、市町村教育長任命の際の文相、都道府県教委の承認制の再検討(3)市町村教育長の専門家による専任化などを提示した。
 一方、教員の資質向上については、「教育改革の成否は究極のところ教員の力にまつ」として重要性を強調した上で、初任者長期研修などを示した。初任者の条件付き採用期間を現行の半年から1年に延長、その間、現在は計20日である新任研修を、退職校長など力のある指導教官の下での長期の実地研修とする。社会人活用では、都道府県ごとに出せる「特別免許」制度の創設も求めている。
 問題教師排除のための「教職適性審議会」(仮称)については、賛否両論があることを明記、教委活性化策と絡めてさらに検討する、としている。
 大学を中心とした秋季(9月)入学問題は行財政の見直し、国際化など計5カ所でとりあげられ、引き続き検討課題としている。大学に関しては、これまで一部大学で留学生や帰国子女を対象に行っていた秋季(9月)入学を一般にも適用できるようにする春秋2回入学制度導入が提起された。
 臨教審は29日の総会から「概要」をもとに答申に盛るべき課題の精選作業に入る。また、東京(2月8日)、名古屋(3月20日)で公聴会を開き、国民各層の反応を見極めたい、としており、3月中旬には答申原案を、4月23日をめどに答申をまとめる方針だ。
 
●臨教審「審議経過の概要(その3)」の主な内容●
   (重点課題と改革の方向・具体的提案)
 
 教育のあり方▽改革の方向=教育基本法の精神の創造的発展・実践的具体化▽21世紀への教育の目標=(1)ひろい心とゆたかな創造力(2)自主・自律の精神(3)世界の中の日本人
 生涯学習機会拡大
 ▽家庭、地域の教育力の活性化=親となるための教育重視▽学校週5日制の検討▽放送大学の広域化▽有給教育訓練休暇制度▽学校施設の開放▽大学への社会人受け入れ
 高等教育の改革
 ▽大学の設置基準の大綱化・簡素化▽単位制重視で修業年限の弾力化、単位の累積加算で卒業認定検討▽高専の拡大と専科大学化▽各種審議会の再編で大学審議会を設置
 初中教育の多様化
 ▽学習指導要領の大綱化▽中学の選択教科の拡大▽小学校高学年の教科担任制拡大▽小学低学年の教科の総合化▽徳育の充実、道徳の内容の見直し▽高校修業年限の弾力化
 教員の資質向上
 ▽採用手続きの早期化▽初任者の1年間の長期研修制度導入▽現職研修の体系化▽社会人活用の拡大、特別免許状の創設▽教育実習の見直し▽教職適性審議会設置の検討
 国際化への対応
 ▽海外・帰国子女教育の充実▽大学入学特別枠の拡大▽留学生受け入れの官民一体の体制づくり▽秋季(9月)入学の導入検討
 情報化への対応
 ▽情報化対応の3原則=(1)情報化教育の本格化(2)情報手段の潜在力の活用(3)技術のマイナス面の克服▽教育用ソフトウエアの開発▽教員に対する情報教育の拡充
 教育行財政見直し
 ▽行政の規制緩和▽私学設置の自由の拡大▽地方分権の推進=地方への権限委譲▽教育委員会の活性化=教育長任期制、任命承認制度見直しの検討▽校長権限の明確化


 
 
 
 
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