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私はこう考える【教育問題について】

 事業名 組織運営と事業開発に関する調査研究
 団体名 日本財団(The Nippon Foundation  


1986/01/20 朝日新聞朝刊
教研集会の先生たちに反発と悩み 臨教審は許し難く、荒廃厳し
 
 19日に大阪で始まった日教組、日高教の教育研究全国集会は、22日に審議経過概要の発表を予定している臨教審への対決姿勢をはっきり打ち出した。しかし、学校ではいじめや体罰に象徴される荒廃が、いっこうにおさまる気配をみせていない。厳しい現実の矢面に立たされる教師たち。全国から集まった1万3000人は、何を考え、どう行動しようとしているのか。全体集会会場で、臨教審と教育荒廃について、教師たちの声を集めた。
 
○臨教審
 教員の初任者長期研修制度の導入、学習指導要領の大綱化、大学設置基準の簡素化など、次々に打ち出される改革案。臨教審については教師たちがこうした改革案の中で何に最も関心を持っているか、を中心にたずねた。多かった答えは、初任者長期研修制度の根底にある教師の資質向上問題についてだった。また臨教審そのものについて、現場の実情を抜きに性急な結論を急ぐあり方に、疑問の声が強かった。
 「質の向上を上からやっても、意欲ある教師は育たない。これは教師も子どもも同じだ」(大阪・高校・男・34歳)
 「すでに、千葉では初任者研修を先取りしている。研修で、例えば『職員会議は個人的な意見を述べる場ではなく、連絡調整の機関』といったことを教えているらしい。教育は創造的な仕事だと思うが、これではいわれた通りのことを一生懸命にやる先生ばかりできてしまう」(千葉・小学校・男・37歳)
 「いい先生、悪い先生といっても、最終的には子どもが決めることでしょ。臨教審のいう教職適性審議会は、いったいだれが、どのような基準で適性を判断するのか疑問だ」(東京・小学校・男・32歳)
 「父母の間には教師の当たりはずれ論が根強くある。臨教審が資質問題を出してきたのは、そのへんをねらっている。父母とどう連帯を深めて臨教審に対するか。油断は出来ない」(青森・高校・男・44歳)
 「臨教審に反対、反対とだけいっても仕方がない。いま、僕らの側から教育改革案を出す番なのだと思う。まだ、模索の状態だけど」(神奈川・小学校・男・28歳)
 
○教育荒廃
 いじめや体罰に象徴される教育の荒廃に対しては「教師の責任」を自ら指弾する声があった。だが、学校という一種の「閉鎖社会」には、いろんな障害が立ちはだかる。その中で苦悩する教師の姿を見せつけられた。
 「教師になりたてのころ、自転車を盗んだ子をたたいた。以来、二度と子どもには手をあげまいと心に誓い、子どもたちにこう訴えている。『ぼくは教師だが、君たちの敵ではない。君たちがどんな悪いことをしても、最後まで君たちの味方だ』と」(千葉・小学校・男・37歳)
 「進路指導を担当しているが、輪切りをしている自分に、本音とタテマエを使い分ける醜さを感じる」(沖縄・高校・女・39歳)
 「例えば同僚教師が体罰をしているのを見ても、生徒のいるその場でどうこう言えない雰囲気がある。先生同士の相互批判ができない」(奈良・中学校・女・45歳)
 「朝、校門で遅刻調べをしては、廊下に長時間正座させていたが、職員会議で、体罰だ、と問題にして、やめさせた。今いわれてる体罰は、教師と生徒の間でいい合いになって、つい手が出たものまで大きく問題にしているようだ」(静岡・高校・女・32歳)
 「人間だから間違いはあるし、すべてうまくいくとは限らない。しかし、問題はむしろ、学校の名誉を大切にして、恥部を隠ぺいする管理職にある」(東京・大学・男・53歳)
 「いまの学校は、父母や地域社会が知らないうちにグロテスクなものになりつつある。校則や生徒手帳がその象徴だ。この学校の息苦しさがいじめや体罰の原因だ。ぼくら教師としては、自信を持って居直ることですよ」(兵庫・高校・男・38歳)
 「確かにいろんな先生がいる。しかしそれは主要な問題ではない。学力偏重の知識主義を生んだ文部行政のツケが、荒廃となって現れている」(大阪・高校・女・39歳)
 「教師の責任も当然あると思うけど、いじめや体罰の問題が意図的に取り上げられてる気がする。マスコミも含めことさらセンセーショナルに報じられてることに疑問をもってる訳です」(岩手・小学校・男・35歳)
 「教師は文教行政の被害者であると同時に、生徒への加害者になっているのが現状だ。私たちは少しでもわかる授業、楽しい学校にするよう工夫していく責任がある。そういう現場の悪戦苦闘の姿を父母に見てもらうことが信頼を取りもどす第一歩になるのではないか」(大阪・高校・男・34歳)


 
 
 
 
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