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私はこう考える【教育問題について】

 事業名 組織運営と事業開発に関する調査研究
 団体名 日本財団(The Nippon Foundation  


1985/07/23 朝日新聞朝刊
マル秘報告書 独り悩み自殺未遂(「いじめ」が問うもの:1)
 
○「死んで楽になる」
 「An attempted suicide 事件について」と題する文書がある。
    事件4日前 A「お父さん、転勤ないの」
    母「何を考えてるの」
    父「転勤なんてないぞ」
    3日前 Aが母にメモを残す。「おかあさん、絶対読んでね…
    …転校したい。転校しなければ死にたい」
    2日前 A、母にメモ。「死ぬ かくごはできているの……」
    1日前 朝、学校へ出かけるとき、Aがポケットに小さなカミソ
    リを入れるのを見つけて、
    母「何をするの!」
    A「私は どうせわかってもらえないの。(死ねば)楽になるか
    ら……」
    母「そんなことで逃げるのはひきょうです。みんなにわかっても
    らいなさい」
    事件当夜 夕食後、母「どうだったの」
    A「まだ許してもらえないの」と自室へ。
    父「さっぱりしろよ」と声をかけ、ふろに入る。
    A、カミソリを持って洗面所へ。
    母「どうしてカミソリ持ってるの」
    A、玄関の方に行きながら、「私、こわくないもん」。直後、
    手首を切る。血がポタポタと落ちる。
    母「お父さん、変なことやってる。出てきて!」
    父、ふろから飛び出し、「どうして、自分で逃げるんだ」
    母、カミソリをとり上げ、「そんなことするの、どういうことか
    わかるの!」
    父「死ぬ気だったら、先生に相談しろ。学校に言う」
    A「知らせないで、言わないで」。父、Aをなぐる。
    父「自分が死ぬ気だったら、他人に知れてもいいじゃないか。
    自分だけ逃げるのか」
 
○10日間も執ように
 「自殺未遂」を、あえて英語に置きかえたプリント1枚のこのマル秘報告書は、最近、関西のある中学校の女子生徒Aが起こした事件についてのいきさつを学校がまとめたものである。
 スポーツクラブに所属するこの女子生徒が、7人のクラブ仲間から過去10日間にわたって、連日、学校内で執ような「いじめ」を受けていたことを、先生たちはだれ1人知らなかった。事件の翌朝、母親が学校に駆け込んで来て、初めて知った。生徒指導部の先生たちは、まる1日かけて事件を調べ上げる。文書は、こうも書いている。
    1人がAに何か言う。全員「そやそや」
    Aが反論する。全員「チガウ、チガウ」
    Aが何か言う。全員「ウソばっかり」
    Aが弁解する。全員「開き直って……」
    A、沈黙。全員で唱和「しんきくさい」「ウジウジしてんね」
    A「クラブやめます」。全員「逃げるのか」
   A、助けを求めようとする。全員「チクッタ(告げ口した)のか」
 ――文書を前にして、学年の先生たち約20人が緊急会議を開いた。年配の先生は「まかり間違えばマスコミものだった。そうならなくてよかった」といった。しかし、事件を先生たちが全くキャッチできなかったことへの反省では一致した。1人の生徒が逃げ場のないところへ追い込まれていく、いじめのすさまじさに、全員がショックを受けた。さらにひどいいじめを受けないために、事件は生徒たちにはいっさい伏せておくことにした。文書が英語のタイトルになっているのも、そのためだ。
 女子生徒は、治療のため4、5日学校を休んだ。「学校に来られないほどショックを受けているぞ」と先生に注意されて、クラブ仲間のいじめは、ひとまずやんだ。
 
○「扱いは専門家に」
 女子生徒は学校に再び通い始めた。だが、本当に立ち直ったのか。先生たちは全員一致で1つの結論を出した。「一度、自殺未遂を起こした子どもの扱いは、しろうと(教師)には危険だ。専門家に任せよう」
 その日のうちに母親が呼ばれ、自殺防止センターへの相談をすすめられる。
 その自殺防止センターの責任者はこういった。「学校の先生たちは表面的なことだけで事を処理する傾向があり、死にたいほどになった生徒の気持ちをしっかり受け止めてやることはできない。いまの学校に、それを期待しても無理です」
 警察庁のまとめでは去年、いじめを苦にした小中学生の自殺は7件。同未遂の件数、不明。
 学校内のいじめに、先生たちは気付かず、心に傷を負った子への対応が学校にはもはやできない、という。
 6月29日、文部省が緊急通知を出した。「いじめられっ子に転校の道を開く」。そして、いじめの「相談窓口」を開け。


 
 
 
 
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