女生徒の前で下着を脱がせたり、授業中、大声で「先生のバカ」と叫ぶことを強要したりする「弱い者いじめ」が全国の学校に広がっている実態が、十一日から札幌市で開かれている日教組、日高教の教育研究全国集会で報告された。「いじめられっ子同士を無理やり殴らせあう」という報告もあり、生徒の八割が「いじめの現場を見たことがある」と答えながら、それを「とめた」子は一割強、というアンケート結果もある。さらに教師の中途半端な対応がよけいに子供を追い込んでいることなどについての反省も、率直に報告された。
リポートは「女生徒のいる前で、パンツを脱がされた」(大阪府、新潟県・中学校)、「授業中に、大声で『先生のバカ』といわせたり、歌を歌わせる。しょうゆをかけたご飯を食べさせる」(三重県・高校)、「プロレスごっこを強要して、四、五人でなぐりつける」(大分県・小学校など)、「下級生にけんかを仕掛けさせ、その助太刀の名目で暴行する」(千葉県・中学校)など、陰湿そのものだ。
大阪府堺市の中学校からは、生徒会の「いじめ実態アンケート結果」として、「いじめられるのを見たことがある」(80%)、「そのとき黙って見ていた」(56%)、「いじめをとめた」(13%)、「いじめられたことがある」(43%)、「いじめたことがある」(45%)というデータが出された。千葉県の中学校からも「いじめたことがある」(52%)、「いじめられたことがある」(49%)という校内の調査結果が報告された。その中に、いじめる理由として「気分晴らしのため」(13%)、「自分がいじめられるから」(8%)という答えがあった。「とめたら仕返しされる」「かかわりあいになるのはイヤ」という、子供の声も紹介され、問題の複雑さをうかがわせた。香川県の中学校からも似たデータの報告があった。
こうした現実に取り組んだ報告の中で、教師たちは申し合わせたように、自分の指導の弱点を語った。「いじめる側の生徒に、赤点をつけるぞ、とか処分するぞ、とかいっておとなしくさせていた。その子らの不満はいじめられる生徒にふりかかり、いじめられた生徒は精神的苦痛から入院した。そこまでひどいいじめをする子供に怒りを覚えると同時に、そうした結果を招くことを知らずに生徒を抑え込んでいた自分自身に腹だたしくなった」(三重県・高校)
香川県の中学校教師は、リポートを次のように結んだ。「子供たちは気付かないまま人権侵害を行っているのではないか、正義と人権の大切さを教える努力が足りなかったのではないか。いまこそ、子供たちに民主主義をきちんと教えていきたい」
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