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私はこう考える【憲法改正について】

 事業名 組織運営と事業開発に関する調査研究
 団体名 日本財団(The Nippon Foundation  


2003/11/02 産経新聞東京朝刊
三島由紀夫の遺志「改憲案」判明 自決直前まで起草、「盾の会」完成
 
■天皇は「国体」/自衛権を明文化
 作家の三島由紀夫が昭和四十五年十一月、東京・市谷の陸上自衛隊東部方面総監部で自決する直前まで起草作業を進めていた現行憲法の改正案の内容が、初めて明らかになった。三島が亡くなってから三十三年たつが、産経新聞が入手した改正案「維新法案序」は、天皇を「国体」と位置づけるとともに、自衛権、戦力の保持を明記するなど三島の国家観や憲法問題に対する認識が鮮明に反映されている。
 改正案は、第一章第一条で「天皇は国体である」と規定。三島は天皇を日本民族の精神的よりどころであり、歴史の中で日本という国を伝達していく存在と考えていたといわれ、天皇を中心とする国家体制が国体だった。
 一方、天皇は政治に直接関与せず、統帥権(軍隊の指揮権)の運用および指揮についても有識者などからなる「顧問院」と呼ばれる天皇の諮問機関と内閣が責任を負うことを明確にしている。
 国防については「日本国民は祖国防衛の崇高な権利を有する」と定め、自衛権を明文化。そのうえで、「日本国軍隊は、天皇を中心とするわが国体、その歴史、伝統、文化を護持することを本義とし、国際社会の信倚(しんい)と日本国民の信頼の上に建軍される」と戦力の保持を規定している。
 また、軍隊とは別に民兵組織による国防制度を築くため、志願者から構成される「祖国防衛隊」の創設を条文化した。
 三島は四十四年十二月、自ら組織した「楯の会」の会員八十八人の中から十三人を選び、憲法研究会を発足。四十五年一月、現行憲法への「問題提起」として、「新憲法における『日本』の欠落」「『戦争の放棄』について」「『非常事態法』について」を執筆。研究会のメンバーはそれを指針とし、毎週一回、起草作業を進めていた。
 三島は決起の際、自衛隊員を前に「憲法改正」を訴えたが、結局、改正案は決起に間に合わなかった。
 研究会は三島の遺志を継いで四十六年二月、三島と研究会メンバーの議論の記録と改正案を内容とする原稿用紙二百枚の「維新法案序」を完成させた。楯の会は同月、「解散宣言」を発表。「維新法案序」の存在は、一部の研究者に知られているだけだった。
 三島を研究しているジャーナリスト、松藤竹二郎氏は、「改正案は、クーデター計画が成功した時点で宣布されるはずだったが、三島は計画を断念した。その後は自らの思いを改正案に込め、後世に遺(のこ)そうとした」という。
 三島が憲法改正、決起に向かう軌跡については、松藤氏が今月初旬出版予定の「血滾(たぎ)ル三島由紀夫 『憲法改正』」(毎日ワンズ刊、千四百円)に詳述されている。
 
≪三島事件≫
 昭和45年11月25日、三島由紀夫が楯の会会員4人とともに、陸上自衛隊東部方面総監に面会後、監禁。総監部のバルコニーから檄文(げきぶん)を配布、自衛隊の決起を促したが失敗、自決した。事件前、三島は会員らと自衛隊への体験入隊を繰り返すとともに陸自調査学校の幹部らからゲリラ戦などを想定した情報収集活動の訓練を受けていた。
 
≪三島由紀夫≫
 大正14(1925)年、東京生まれ。本名・平岡公威(きみたけ)。昭和22年、東大法学部卒業後、大蔵省入省。9カ月で退職し、執筆活動に専念。24年、最初の書き下ろし長編「仮面の告白」を刊行、作家としての地位を確立する。著書に「潮騒」「金閣寺」「午後の曳航」など。「豊饒の海」4部作が遺作となった。
 
≪文化性や精神的側面が強い 昭和史研究家・保阪正康氏≫
 「私は楯の会の元メンバー数人と面識があるだけだが、三島氏は帝国憲法の運用面での不備、特に統帥権に関する点に問題意識を抱いていたと思う。満州事変以降、軍部の暴走で変調をきたした戦前の歴史をナショナリズムの立場から反省しており、その考え方は『問題提起』にも反映されている。
 改正案は文化性や精神的側面が強く、近代的な社会構造の下で、現実の政治や官僚組織に適応できるかは疑問。顧問院にしてもその構成自体が、まず問題となる。当時の冷戦下の思想状況という背景から、三島氏の考えや行動をとらえるべきだ」


 
 
 
 
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