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私はこう考える【憲法改正について】

 事業名 組織運営と事業開発に関する調査研究
 団体名 日本財団(The Nippon Foundation  


1997/02/12 産経新聞朝刊
【教科書が教えない歴史】(224)日本国憲法(8)
 
 現在の日本国憲法は、アメリカ占領軍(GHQ)が英文で起草した草案(マッカーサー草案)が元になっています。しかし、この事実は占領が解除される一九五二年(昭和二十七年)の時点まで、多くの国民には全く知らされていませんでした。
 何故なら、占領軍は厳格な検閲体制を敷き、日本国憲法が米国製であることを少しでもにおわせるような記事があると、全て削除させたり掲載禁止にしたからです。
 ここでは、そうした数多くの事例から、実際に検閲された資料に基づいて少しだけ紹介します。
 内閣法制局で新憲法の制定作業に携(たずさ)わっていたある関係者が、一九四六年(昭和二十一年)九月、『法律時報』という専門雑誌に発表しようとした文章に次のようなくだりがありました。
 「・・・この『政府発表の日本国憲法』草案要綱が、幣原内閣の自主的な作成にかかるものでなく、マックアーサー司令部・・・の助言と促進とがなければ、この草案要綱の誕生は不可能であつたであろうとの印象を国民一般に与へたことは、故なきことではなかつたのである」
 この文章は、占領軍の検閲を恐れて多少ぼかした言い方をしていたのですが、それでも右に引用した部分は占領軍によって全て削除されてしまったのです。
 こんな例もありました。『時事英語通信』という雑誌が「クリスチャン・サイエンスモニター」というアメリカの新聞に載った日本国憲法についての記事を、対訳の形で紹介しようとしたときのことです。
 もともと、この憲法は占領軍がお膳立てをしたものであるのに、日本人があたかも自主的に定めたように見せかけていることに対して、この記事は鋭い批判を投げかけていたのです。
 「現在の日本の政府は豪華な新憲法を提案した。それは国家のピカピカ光る流線形の乗物であって、現代代議政治のあらゆる最新の付属品がついてゐる。しかも、これはまづ殆(ほとん)ど全く無価値である。・・・罪はこの草案にあるのではない。これが日本の憲法であるかの如き主張、これが日本を民主的平和愛好国たらしめるかの如き主張にあるのだ。これは日本の憲法ではない−日本向けアメリカ憲法だ」
 このように、日本国憲法が米国製憲法であることは、米国人自身も認めるところだったのです。しかし、占領軍はこの紹介記事を、全文掲載禁止にしました。
 こうして、占領下では真実はおおい隠され、真相を知る少数の日本人は日記等の中でしか本音を吐くことができませんでした。例えば小説家の永井荷風=写真=は日記に次のように記しています。「米人の作りし日本国憲法今日より実施の由(よし)。笑ふべし」
 当時占領軍の下で検閲に携わっていたある日本人検閲官も、最近出された本の中でこんな回想をしています。
 「あの憲法が、当時の国民の総意によって、自由意志によって、成立したなどというのはやはり詭弁(きべん)だと断定せずにはおれない。はっきり言ってアメリカの押しつけ憲法である」(甲斐弦『GHQ検閲官』)
 私たちはこれまで教科書で、日本国憲法は素晴らしいものだとばかり教えられてきました。しかし、その誕生の舞台裏には、日本人の自由な憲法批判を全く許さなかった、このような占領軍の強圧があったという事実を銘記しておく必要があります。


 
 
 
 
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