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私はこう考える【憲法改正について】

 事業名 組織運営と事業開発に関する調査研究
 団体名 日本財団(The Nippon Foundation  


1992/12/10 読売新聞朝刊
読売新聞社「憲法問題調査会」第1次提言 タブー挑戦に評価 各界・各国の反応
 
 読売新聞社の憲法問題調査会(猪木正道会長)が九日にまとめた第一次提言に、与野党、財界から反応が寄せられた。本社はこれと合わせ、わが国と同様、国連の平和維持活動(PKO)協力のあり方をめぐり、憲法論議が活発になっているドイツでの提言の受け止め方や、わが国の憲法論議の動向に大きな関心を払う米国、東南アジアの有識者らの反応を探った。
 
◆基本姿勢を支持
 〈自民〉憲法問題調査会の提言に対し、自民党では、「憲法制定から五十周年を機に憲法の原点に立って見直し、国民的な論議を高めていくべきだとの提言の趣旨には賛成だ」(栗原祐幸・党憲法調査会長)「読売新聞がタブーを破って、このような提言を行ったことを高く評価する。私も基本的な考え方は同感だ」(小沢一郎・党国際社会における日本の役割特別調査会=小沢調査会=会長)など、提言の基本姿勢を高く評価していた。
 このうち、元防衛庁長官でもある栗原氏は、いわゆる解釈改憲に批判的な立場から、提言が「憲法の精神を条文を超えて強引な解釈をするような、いわゆる解釈改憲はわれわれの目指すところではない」としている点に、「腰の据わった態度で評価できる」と強調している。ただ、憲法九条二項に関しては、「様々な解釈がある。その点も含めて国民的な論議を興すべきだ」とし、その取り扱いは、今後の幅広い論議にゆだねるべきだとしている。
 一方、栗原氏とは異なり、「国際的安全保障」の概念を導入することで、九条を変えずに新たな解釈によって国連軍への自衛隊参加が可能としている小沢調査会の船田元・事務局長は、九条の解釈や問題点に対する指摘には同感とする一方、「個別自衛権」「集団自衛権」の問題にとどまらず、「集団的安全保障」の概念にまで踏み込んでいない、として不満を表明している。
 
◆国民的合意が課題
 〈財界〉今回の提言について、経済界では日商の石川六郎会頭が九日、「憲法に関しては、国民の論議を盛り上げ、コンセンサスの形成に努力することが緊急の課題であり、今回の提言が、今後の憲法論議の活性化に貢献することを期待する」とのコメントを発表した。
 石川会頭は、現在の日本と、それを取り巻く国際情勢について「憲法制定時とは大きく異なり、国際社会で果たすべき(日本の)役割は著しく増大している」との基本認識を示し、日本の積極的な国際貢献の必要性を強調している。
 そのうえで、国民の意識として「憲法が時代に適合しなくなっているのでは、との疑問を多くの国民が抱いている」ことを指摘。憲法改正の方向性については、国民のコンセンサスはまだ得られていない、としながらも「(日本の国際貢献に)障害となるものがあれば、国民的な論議のなかで、これを取り除く努力を払うべきだ」としている。
 
◆「憲法、現状とズレ」認識も
 〈野党〉第一次提言について、社会党の山花書記長は九日、「大国主義意識が基調にあるように見えるが、憲法論議は将来に目を向けるばかりでなく、まず今の憲法でここまでの平和と繁栄の国を築いてきたことを重視し、この憲法の約五十年間を検証することから議論をはじめるべきだ」と指摘した。また、具体的な問題点として提言の「国際法優位」の考え方を取り上げ、「憲法と条約の改正の手続きを考えると問題が出てくる可能性がある」と懸念を示した。
 一方、公明党の市川書記長は、基本的な手順として「冷戦後の国際社会の中で日本が今後、どう生きていくのかという議論を先に行い、その結果として憲法を論議すべきだ」と強調。そのうえで、「平和主義や基本的人権の尊重など普遍的な原則を堅持しながら、時代の変化の中で今の憲法が適切かどうかを検討する価値は十分にある」と述べた。
 米沢・民社党書記長も「憲法が現状にそぐわない一面もでており、憲法論を勉強する時期に来ている」との認識を示した。
 しかし、市川氏は、今回の提言が集団的自衛権について「その制限は法律ないし政策判断によるべきだ」としている点に関しては、「集団的自衛権の行使を禁じているのは国家の方針であり、政策判断で変更できるというような認識は甘い」と批判。米沢氏は安全保障基本法について「作る意味合いがはっきりしない」と疑問を投げかけた。
 
◆域内貢献に歓迎と懸念と
〈東南アジア〉
 東南アジアでは、冷戦構造崩壊に伴う米軍軍事プレゼンスの後退と中国の覇権主義的動向が域内安保の再構築を困難なものとしており、日本の政治的役割への期待感が一部に生まれつつある。プノンペン大学のポウ・サミー教授は「域内で果たすべき役割を見失ってはいけない」と語る。
 だが、アジア諸国との信頼醸成が不十分な段階で憲法改正を行うのは、いたずらに日本の軍事大国化に対する脅威論を勢いづかせる結果になるとの懸念も強い。タイ・タマサート大学のプラサート・チティワタナポン教授は「国連PKOへの参加と多国籍軍参加は全くの別もの。多国籍軍への参加は危険な要素が多く、何らかの歯止めが必要」と慎重な対応を求めている。(バンコク・当間敏雄)
 
◆国際責任意思評価の声多く
〈ドイツ〉
 ドイツでは現在、ドイツ軍の北大西洋条約機構(NATO)域外への派兵に道を開くための基本法(憲法)改正について、派兵の範囲をどこまでにするかで与野党間の最後の綱引きが行われている。与野党とも、国連平和維持活動(PKO)への本格参加に限っては合意しており、その点で、国連の平和活動への積極参加をめざして憲法の見直しをしようという憲法問題調査会の提言は、ドイツの歩みと軌を一にするものといえる。したがって、提言内容に、日本の「ドイツ同様に国際責任を担う意思」を見取り、評価する声は多い。(ボン支局)
 
◆「現憲法の理想保持し修正を」
〈アメリカ〉
 第一次提言について、チャルマーズ・ジョンソン・カリフォルニア大教授は、「日本が国際責任を明確に表明する意味で、歓迎すべき提案」と高く評価する。
 また、戦後日本の憲政史に詳しいジョン・ダワー・マサチューセッツ工科大教授は、「日本国民が、世界平和のために集団安全保障の道を目指すのは、権利でもある。その場合は、九条第二項は修正されるべきだ」とし、「修正の際に、現在の憲法の基本的な理想が失われないよう細心の注意が必要だ」と述べている。  (ワシントン・鬼頭誠)


 
 
 
 
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