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私はこう考える【憲法改正について】

 事業名 組織運営と事業開発に関する調査研究
 団体名 日本財団(The Nippon Foundation  


2001/11/27 毎日新聞朝刊
[クローズアップ2001]「教育基本法」見直し論議 “改憲”からみ展開不透明
 
◇自民、地ならし狙う−−文科省は振興計画優先
 1947年の公布・施行後、一度も改正されていない「教育基本法」の見直し論議が、中央教育審議会で本格的に始まる。26日に諮問された基本法の見直しは、これまでも何回となく浮上しては立ち消えになった。憲法改正とセットで語られてきたためだ。小泉政権発足後、基本法改正の動きは減速し、文部科学省も改憲論に結びつけられることを警戒するが、自民党の一部の積極姿勢は変わらない。こうした温度差を背景にして、「教育の憲法」改正をめぐる論議がどう展開するか。行方はまだ見えない。【澤圭一郎、川上克己】
 
■自民で論議再燃
 今回の中教審諮問をきっかけに、自民党内で教育基本法の改正論議が再燃するのは必至の情勢だ。中教審の議論をにらみながら、今後、独自の改正案づくりに向けた動きにも弾みがつくことになる。党内には論議を憲法改正の「地ならし」にしたいとの思惑も見え隠れしている。
 「憲法の心が教育基本法にはある。憲法改正というからには教育基本法を改正しなくてはならない」。26日、東京都内のホテルで開かれた自民党江藤・亀井派主催の講演会。改憲派の中曽根康弘元首相は、教育基本法の見直しが憲法改正にもつながるとの考えを強く訴えた。基本法はその前文で憲法の精神を踏まえて制定したことをうたっており、憲法と不即不離の関係にあるためだ。
 中曽根氏も首相時代、臨時教育審議会で基本法改正に取り組もうとしたが果たせなかった。森喜朗前首相も愛国心や日本文化・伝統の尊重を盛り込んだ改正案の国会提出に意欲を示したが、公明党の反発などで断念に追い込まれた。
 小泉政権発足後、改正論議が脇に追いやられたこともあり、自民党内の改正派は今回の諮問を「追い風」ととらえている。町村信孝幹事長代理ら文部(科学)相経験者の間には「党の正規の機関で(改正に)きちんと取り組むべきだ」(幹部)との意見が出ており、今後「文教族」を中心に独自案づくりに向けた動きが加速しそうだ。
 
■文科省の思惑
 文部科学省は教育基本法の改正を求めた教育改革国民会議の最終報告(昨年12月)を受け、町村前文科相のもと、条文案を作成し、これを示して中央教育審議会に諮問しようとした。
 しかし、町村氏から遠山敦子氏に文科相が代わり、条文案を示しての諮問は見送られた。「中教審の委員に初めから議論してもらうほうが国民にも理解を得やすい」というのが理由だ。さらに遠山氏は諮問にあたって「教育振興基本計画」の策定を最初に議論するよう求めた。
 こうした方針転換の背景について、同省幹部は「首相交代」を挙げる。「構造改革など、理念でなく具体的な政策を実行しようというのが、今の内閣の姿勢」と説明する。
 「振興基本計画を先に作って、それを法律に位置付けてしまえば、教員を増やしたり改革を進めるための教育予算を確保しやすくなる」(別の幹部)という思惑が、同省にはある。基本法の理念や条文を大幅に変えるよりも、振興基本計画に法的裏付けが欲しいというのが本音のようだ。
 常に一緒に語られる改憲に結び付けられることにも否定的で、「憲法が変われば、教育基本法が変わるというのが道理。その逆の発想はおかしい」と、暗に改憲論者を批判する幹部もいる。
 
◇「理念古くない」と反発
■日教組は書記長談話
 日教組は26日「憲法の改正手続きを事実上スタートさせることで重大な問題。諮問理由が、前文を含めて全条文について『改正ありき』という枠組みを設定していることには問題が多い」とする書記長談話を発表した。
 樋口浩副委員長は「教育基本法は、国民主権のもと民主国家をつくり、世界平和を実現するという憲法の理念を実現するために設けられたもので、その理念は50年たっても古くなるものではない」と話している。
 
◇制定から半世紀
 教育基本法は、戦後、国家至上主義的な思想を含んだそれまでの教育勅語を否定し、日本国憲法の平和理念をもとに、義務教育や教育の機会均等など民主的な教育の根本法として制定された。46年に首相所轄の「教育刷新委員会」が検討し、翌年3月に公布された。
 前文で「日本国憲法の精神に則(のっと)り、教育の目的を明示して、新しい日本の教育の基本を確立するため、この法律を制定する」と宣言した。
 しかし、50〜60年代にかけて、文相や自民党などが「愛国心が書かれていない」などと指摘し、再検討を求めた。
 故小渕恵三首相の肝いりで発足した「教育改革国民会議」は昨年12月、「新しい時代にふさわしい教育基本法の見直しが必要」と提言した。
 
◇公の視点が弱い−−新しい教育基本法の策定を求める岩手県立大の西澤潤一学長の話
 もっと早く諮問されるべきだったと思う。憲法も教育基本法も、個人の権利を主張する色合いが強い。しかし、個人の権利を守るためには、社会が良くならないといけない。ともに公の視点が弱いと思う。そのため、今の日本は悪い利己主義がまん延しているのではないか。個性を伸ばす視点も大事だ。改正に向けて議論を進めてほしい。
 
◇国益優先に見える−−基本法改正に慎重な大田堯・東京大名誉教授の話
 本来は、基本法がなくても良い教育ができることが望ましいが、基本法が目指す「人間らしい人間をつくる教育」というのが大事だ。これを実現するための改正はよいが、今、改正を主張する人は政治や経済の要求、国益を優先するために変えようとしているように見える。これには反対だ。今こそ基本法の理念を実現するために努力すべきではないか。


 
 
 
 
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