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私はこう考える【憲法改正について】

 事業名 組織運営と事業開発に関する調査研究
 団体名 日本財団(The Nippon Foundation  


2000/05/03 毎日新聞朝刊
[ニュースキー2000]憲法調査会(その1) 退潮際立つ護憲勢力
 
◇冷戦終えん、安保「米国任せ」に批判
 衆参両院で憲法調査会の審議が着々と進んでいる。まだ序盤戦だが、憲法改正をめぐる各政党のスタンスは一部を除いて既にはっきりしている。自民、自由、保守の3党が「改憲」、共産、社民両党は「護憲」である。民主党は国旗・国歌法の時と同様、議員ごとに主張が異なり、党内は「改憲」「護憲」のモザイク模様になっている。態度保留の公明党は「論憲」。「論憲」の先には「改憲」があるというのが、まず、一般的な見方だ。この流れを決めたものは、やはり護憲勢力の退潮である。
 
■発議権
 衆院憲法調査会はこれまでに32時間、参院の方は14時間にわたって審議した。参院は議員同士の自由討議を先行させているが、衆院は参考人の意見聴取に重点を置き、先月27日に初めて議員討論を行った。主要政党のうちで明確に「護憲」を表明したのは共産、社民両党だけ。民主党の半分を護憲と仮定して加算しても、護憲勢力は衆院で2割弱、参院で3割弱しかない。
 憲法96条は憲法改正について「各議院の総議員の3分の2以上の賛成で国会が発議し、国民に提案してその承認を経なければならない」と定めている。
 両院議席の現状を見る限り、憲法改正議案の発議は十分可能な情勢にある。にもかかわらず共産、社民両党が土俵に上がったのは、両院の調査会には「議案提出権がない」ことを、あらかじめ議院運営委の理事会で確認したからだ。
 自民、自由両党は当初、議案提出権のある両院の常任委員会として設置しようとし、共産、社民両党と対立した。公明党が与党化して「論憲」に踏み込む中、常任委ではなく、調査会とすることで与野党間の妥協がまとまり、今国会からスタートした。
 
■前例
 現行憲法制定以来、改憲機運が高まったのは今回が初めてではない。1952年、サンフランシスコ講和条約が発効して米軍の占領が終わると再軍備論が台頭し、改憲ムードが盛り上がった。冷戦の進行を背景に55年、左右両派に分かれていた社会党が統一され、保守の側では自由、民主両党が合同して自民党が発足した。「55年体制」である。
 57年、内閣に憲法調査会が設置された。しかし、同年の参院選では社会党を中心とする革新勢力が3分の1を突破、衆参両院ともに総保守が3分の2を大きく割り込む状態が定着し、改憲ムードは冷えていった。以後の衆院選で社会党は、69年(90議席)と86年(85議席)に2ケタ台に落ち込んだものの、おおむね100議席以上を保ち、他の野党とスクラムを組んで改憲の動きに歯止めをかけた。
 
■冷戦後
 89年のベルリンの壁崩壊などで冷戦体制が終わると、自社55年体制も崩れ出す。91年の湾岸戦争は、改憲勢力が反転攻勢に出る契機となった。当時の自民、公明、民社3党が自衛隊の海外派遣を探り始めたあたりから、護憲の旗手・社会党の孤立化が顕著になる。
 93年の衆院選で自民党は下野したが、社会党は70議席まで落ち込みながらも細川連立政権に参加した。
 しかし、小沢一郎氏(当時、新生党代表幹事、現・自由党党首)と市川雄一氏(当時、公明党書記長、現・同党常任顧問)の一・一ラインに押され、社会党は埋没してしまう。94年、自民、社会、さきがけ3党連立の村山政権が誕生し、村山富市首相は「自衛隊合憲」と「日米安保体制堅持」を表明した。
 
■15議席
 96年1月、村山首相は退陣し、自民党の橋本龍太郎首相が誕生する。社会党は社会民主党に党名を変えて同年10月の衆院選に臨んだが、当選わずか15人という大惨敗を喫した。自社さ連立は解消に向かう。ここは節目だった。
 この間、日米両国首脳は安保共同宣言を発表し、橋本自民党政権は日米防衛指針(ガイドライン)法の成立へと動いた。
 護憲勢力の後退をもたらした要因についてはいろいろな見方があるだろうが、背景としては、やはり、国際的な安全保障環境の変化を指摘しなければならないだろう。
 ソ連の崩壊は日米安保体制の根底を揺さぶった。極東における超大国の軍事バランスは崩れ、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の核開発疑惑、テポドン・ミサイル発射、不審船の領海侵犯といった問題が相次いでクローズアップされた。
 国際紛争、地域紛争を問わず、安全保障政策上の判断はすべて米国まかせという日本政府の姿勢に海外からも批判が集まる中で、憲法をめぐる国民世論は揺れている。
 (この記事にはグラフ「衆院選に見る護憲勢力の当選比率」があります)


 
 
 
 
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