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私はこう考える【憲法改正について】

 事業名 組織運営と事業開発に関する調査研究
 団体名 日本財団(The Nippon Foundation  


1993/01/15 毎日新聞大阪朝刊
[Why なぜ]今、憲法論議?
 
 公明党は十四日の中執委で憲法問題について論議し、憲法擁護の従来の立場を改め、「九条をタブー視せず」として改憲の可能性を党内で検討する方針を決めた。ただし国会に憲法見直しのための与野党協議機関を設けるという自民党案については、市川雄一書記長が記者会見で「政治改革論議を憲法問題にすり替え、国民の目をくらますやり方だ」として応じない方針を表明。自民党の一部から出ている首相公選論については「時期尚早」という見解で一致。さらに同党首脳は「憲法問題は中長期的課題であり、政界再編論議の前提にすべきではない」という考えを明らかにした。
 同党は憲法について一九七八年以来、(1)国民は総意の下に憲法改正の権利を持つ(2)「主権在民・基本的人権の保障・恒久平和主義」の三原理は将来も擁護し、発展させるべきだ(3)現行憲法は将来も擁護するべきだ――と主張してきた。
 中執委では(3)について、「現行憲法を“不磨の大典”ととらえる時代状況ではなくなった」という認識で一致。三原理を堅持しながらも「時代状況に合わない部分は(改憲を)検討するに値する。その場合、九条をタブー視する必要はない」という立場を確認した。具体的な検討項目としては、(1)国民投票制の導入(2)環境権の明記(3)地方分権の拡大、強化(4)国際貢献との兼ね合い(5)議会の権限強化――などがあがった。
 
「参加権」確保狙う
◆解説
 公明党は憲法問題について、自民党羽田派(小沢グループ)との連携も視野に入れた政界再編への道筋がつく前に論議を過熱させるのは得策でないという政治的判断から、これまで意図的に沈黙を守ってきた。急きょ戦術転換に踏み切った背景には、最近の政界の論議の高まりで「このままでは取り残されかねない」という焦りも働いたようだ。
 今回の方針決定は、とりあえず改憲論議への“参加権”だけは確保したうえで、中曽根康弘元首相や梶山静六幹事長ら自民党の実力者や執行部が狙う政治改革ぼかしをけん制するのが眼目と見られる。
 それだけに内容面では、目指す方向が必ずしも明確ではない。(政治部 伊藤智永)
◆憲法改正に関係する主な発言
 ◇渡辺美智雄副総理・外相 自衛隊法の任務規程に国際貢献を明記すべきだ。憲法がじゃまなら直したらいい。(1月2日の講演)
 三塚博自民党政調会長 前文と全条文を検討するため与野党の協議機関を作る。PKO参加を第9条との関連で議論の余地をなくす。国民投票制度も設ける。(12月25日、記者団に表明など)
 ◇梶山静六自民党幹事長 50年に1回は見直さなければならない。国連憲章と憲法のかかわり合いを中長期的に研究していかなければならない。(1月6日の講演)
 ◇中曽根康弘元首相 政界再編は憲法と国連憲章の調整を基軸に置くべきだ。首相公選には憲法改正が必要だが、堂々とやったらいい。(1月10日のフジテレビ)
 羽田孜羽田派(小沢グループ)代表 憲法をタブー視してはいけない。第9条だけでなく、私学振興とか私権制限とか幅広く議論していかなければならない。(1月12日記者会見)
 ◇山花貞夫社会党次期委員長 創憲とは、憲法と民主主義、平和主義、人権擁護の基本理念に立って、市民の手でより豊かにしていくという考え方。非武装、中立、憲法9条は、断固かかげることを大前提としながらも、現実的対応として、タブーを持たないで考える。(1月6日付本紙インタビュー)
 ◇山岸章連合会長 国際平和主義、主権在民、基本的人権の保障とかを生かしつつ、今の憲法でいいのかということは、将来において議論する。不明確な点は安全保障、政治腐敗防止、環境、国民投票制実施などの各基本法でカバーする。自衛権は存在するという(認識の)上に立って自衛隊は容認する。(1月9日のNHK録画撮り)
 ◇市川雄一公明党書記長 主権在民、基本的人権の保障、恒久平和主義の3原則は堅持しつつ、時代状況に必ずしもフィットしていない部分は検討に値する。(1月14日の記者会見)
 大内啓伍民社党委員長 国際貢献を考えると、常に自衛隊をどうするかということで憲法の問題が起こる。混乱の原因に憲法があるとすれば、だれが読んでもこういう意味だということをはっきりさせることが政治の責任だ。(12月28日のNHK録画撮り)
 ◇民社党と語る会(関嘉彦会長) 国連軍、朝鮮戦争型の国連軍、湾岸戦争型の多国籍軍は憲法上許される。解釈上異論が出る余地のないように憲法9条を大改正すべきだ。その場合、9条1項は残す。(12月17日の提言)
 ◇日本新党(細川護代表) 憲法改正が必要だと考えられる条項は、国連平和維持活動への積極的参加の明文化、立法府の主体性確立と内閣のリーダーシップ強化を目指した立法府と行政府との関係の明確化、国民投票拡大など。(12月16日発表の政策大綱)
 ◇平成維新の会(大前研一代表) 新しい価値観の創造を。際限なき拡大解釈をやめ、自衛隊を軍隊と定義したうえで、シビリアン・コントロールの仕掛けを厳密に明文化する
 (11月25日の会見資料)
 
◆参院選の自民勝利が背景に
 小林良彰慶応大法学部教授(政治学)の話 憲法論議の背景は、PKOで憲法と自衛隊海外派遣のかかわりが問われた昨年の参院選挙で、自民党が負けなかったことだ。改憲の悪いイメージが変わり、各党は憲法論議がタブーではないことに気がついた。
 政治改革の大合唱の中で、みんな他党、他派閥とどう区別化するかを考える。小選挙区制はだれでも言うし、さらにそれが成立しないことはみんな気がついている。小選挙区制は手段であって目的ではなく、それに代わる改革の旗として憲法が出てきた。ただ、憲法改正ができる政治状況だとはだれも思わず、目立てばいいという空気もある。さらに注目点は中曽根康弘元首相の首相公選論だ。同氏は既存勢力のボスだ。小沢一郎、羽田孜両氏らの新興勢力に対して、時流に遅れまいという意識が強い。
 社会党の創憲論は内容が不明。しかし、ニューウェーブの会などの新しい動きや右派をにらんだもので、新しい波に乗り遅れてはいけないと、左派に基盤を置く山花貞夫次期委員長が党内の全方位外交を意識したものだ。(談)
 
◆「憲法見直し論議は慎重に」−−後藤田法相
 後藤田正晴法相は十四日、徳島市内で記者会見し、最近の憲法見直し論議について、「憲法改正を今、いきなり政治の場に取り上げることは、あくまで慎重でなければならないと思う」と述べた。


 
 
 
 
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