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私はこう考える【憲法改正について】

 事業名 組織運営と事業開発に関する調査研究
 団体名 日本財団(The Nippon Foundation  


1992/02/21 毎日新聞朝刊
小沢調査会の提言の要旨――答申原案
 
 二十日発表された自民党「国際社会における日本の役割に関する特別調査会(小沢調査会)」の提言の要旨は次の通り。
 
◇はじめに
 第二次大戦に至った日本の歴史をみると日本は国際連盟から脱退し国際協調を放棄して、日本だけの「正義」を掲げ、結局、無謀な戦争に入った。過去の歴史を真摯(し)に反省し、二度と同様の行為を繰り返してはならないことは当然であり、恒久の平和は日本国民の念願である。
 これまでの日本の平和国家としての在り方は、他国の安全と平和には関与しないという受動的、消極的な姿勢につながり、全世界の国民が等しく恐怖と欠乏から免れ、平和のうちに生存し得るよう能動的、積極的に対応する姿勢に欠けがちであった。
 長い戦後体制の中で国民の多くは「平和イコール非軍事」という考え方に慣れ、その中で「一国平和主義」に陥りがちであり、一部ではあるが「非武装中立」といった議論すら行われてきた。
 「平和イコール非軍事」という図式から抜け出そうとしない態度は、歴史を正面から受け止めて反省し、日本がかつて抱えていた問題点を克服することから逃避することにつながってしまっていたのではないだろうか。
 新しい世界秩序が構築されつつある中にあって、わが国は世界有数の経済大国としての地位を確固たるものとするとともに、世界最大の債権国・援助国として世界経済の運営に大きな責任を有するに至っている。新しい世界秩序において、わが国がその地位にふさわしい役割を果たしていくことは、世界の平和と繁栄にとって望ましいことであるとともに、わが国自身の平和と繁栄、ひいては将来にわたる発展を確保する上で必要不可欠なことであり、わが国にとって緊要な課題となっている。
 
◇国際情勢認識と日本の立場
(一)冷戦の終結と国際秩序の行方
 (1)冷戦の終結=略
 (2)不透明な国際秩序の行方=略
 (3)集団指導体制の強化
 今後の「新世界秩序」は、これまでの西側陣営の秩序であった米国・EC・日本の三極構造、あるいは、これら三極を構成する米・加・英・仏・独・伊・日の七主要国による集団指導体制(いわゆるG7主導体制)の強化によって形成されると考えるべきであろう。
 (4)国連の機能の重要性
 安全保障の分野においては、国連の場で国際社会の総意として安全保障に係る諸活動に対し正当性が与えられ実現されていくという意味で、国連の安全保障機能は重要な意味をもってくると思われる。
(二)日本の立場
 (1)安全保障に対するより広範な責任分担
 新しい国際情勢の中で、日本は経済的役割のみでなく、さまざまな国際的役割の強化が求められており、同時に自ら求めるべき立場にある。この中には、当然のことながら、安全保障面の役割の強化が含まれよう。わが国に対しても、特にその巨大な経済力を背景に、従来のような「世界システムを主として享受する立場」から、「より積極的に世界秩序の形成にかかわる立場」への転換が求められている。
 (2)新たな役割のための四原則
 日米の基軸的関係▽G7での連携・強化▽国連への積極的参加・協力▽アジアの一員としての努力
(三)湾岸戦争の教訓
 (1)湾岸危機と国際社会の未来像=略
 (2)日本の対応の問題点
 一昨年秋の「国連平和協力法」廃案以来、湾岸危機・戦争への対応が後手々々にまわってしまった。資金的協力では国民に新たな負担を求めて総額百三十億ドルに及ぶ、多国籍軍等への財政支援を決断したが、人的協力については、輸送や医療等で取り組む意欲はあったものの、国内の政治上・制度上の制約から結果として十分に実現できず、内外で批判を招く結果となった。
 (3)掃海部隊派遣の残された課題
 この派遣決定は、自衛隊法第九九条の「機雷等の除去」に基づき、公海の船舶航行の安全を確保するとの目的で行われたが、今後の自衛隊の海外での平和的活動に当たっては、法制面でのより積極的な整備が求められると考えられる。
 
◇安全保障に関する日本の持つべき理念
(一)積極的・能動的平和主義
 憲法の平和主義については、消極的な平和主義としてとらえられ、一国平和主義的な考え方につながりがちであった。今、日本に対して安全保障の分野においても、より一層の寄与を求める国際世論が高まっている。憲法全体の立法の趣旨を示すものは、憲法の前文である。これは国際社会と協調し、世界の平和秩序維持と世界経済の繁栄のために努力する、という精神を示すものだ。憲法九条第一項で「正義と秩序を基調とする国際社会を誠実に希求」すると宣言しているのも、自国の利益のために世界の平和秩序を破壊するような「国権の発動たる戦争」を放棄しているのである。
 消極的平和主義や一国平和主義とは全く異なる積極的、能動的な平和主義の精神である。専制と隷従、圧迫と偏狭の除去という人類の恒久的な課題は必ずしも平和裏に実現できるとは限らない。正義と秩序を基調とする国際平和を守り抜くために、時として、国際社会が一丸となって専制を黙認しようとすることは、決して日本に名誉ある地位をもたらすものではない。
(二)憲法九条と国際平和の維持・回復
 国際協調の下で行われる国際平和の維持・回復のための実力行使は否定すべきものとは考えない。具体的には、国連憲章第四三条に基づく国連軍のように、国際的な合意に基づき国際的に協調して行われる場合には、当該実力行使が「国際平和の維持・回復」という目的に沿ったものとなることは疑うべくもないと考えられる。わが国が海外で実力を行使したとしても、それは憲法第九条には抵触しないと考えられる。これまでの政府解釈はもはや妥当性を失っていると考えられる。
(三)経済的寄与の重要性=略
(四)人的協力の推進=略
 
◇安全保障に関する日本の果たすべき役割
(一)世界の平和秩序維持のための活動
 (1)国際的軍縮への寄与=略
 (2)国連平和維持活動への協力
 わが国は一日も早く自衛隊も含めて平和維持活動に参加できるよう準備を整えなければならない。
 (3)国連における地位の強化と国連自身の体制強化
 国連は基本的に戦勝国側による第二次世界大戦後の世界秩序体制を前提としている。わが国はまずなによりも、わが国を敵国として差別的な取り扱いを認めているこの敵国条項の削除を加盟各国の理解の下でなんとしても実現し、わが国の地位の強化の出発点とするとともに、国連自身の体制変革の端緒としなければならない。
 (4)「国際的安全保障」への参加の検討
 国連平和維持活動への参加の実績を踏まえて、次の段階としては、いわゆる国連軍に対して積極的な協力さらには参加を検討する必要がある。憲法の前文の精神を実現するには、同条の規定を誠実に履行する必要があるからである。
 政府の憲法第九条の解釈においては、自衛以外の実力行使、あるいは集団的自衛権に基づく実力行使は認められていない。しかし、我々は同時に国連の設立の趣旨や国連憲章第六章、第七章、さらには日本国憲法前文にすでに内包されている、集団的自衛権とは別の概念、即ち、国連が国際社会の平和秩序の維持のために、実力行使を含めた措置を担保する集団的安全保障という概念(集団的自衛権との混同を避けるために、むしろ「国際的安全保障」という名称の方が適切と考えられる)が、国際社会で広く認められていることを承知している。憲法第九条に関し、この概念に従えば、新たな政府解釈を行うことにより、国連軍への参加が可能になるものと考える。国連軍の活動は、国際的な合意に基づき、国際的に協調して行われる国際平和の維持・回復のための実力行使であって、憲法第九条の禁止するわが国の「国際紛争解決手段としての戦争・武力行使」には該当せず、そのための実力行使は、憲法第九条には抵触しないと考えられるからである。
(二)人的協力のための条件整備
 (1)国内政治システムの強化
 (2)自衛隊の任務の明確化と人的協力に従事する者に対する保障
 今後の人的協力の中で、自衛隊にはわが国の防衛という主たる任務(自衛隊法第三条)に加えて、国連平和維持活動や緊急援助活動への参加などの新たな任務が付与されることになる。自衛隊本来の任務であるわが国の防衛を的確に行いうるような国内法の整備、有事法制の整備を検討することと並行して、上記の新たな任務を明記すべく自衛隊法を改正する必要がある。
 (3)諸外国の理解醸成
(三)日米安保条約の堅持=略
(四)アジア地域の平和への寄与=略
 
◇自衛隊の国連軍参加に関する政府の憲法解釈◇
1961年2月 衆院予算委
 林修三内閣法制局長官
 純粋な憲法論として考えれば、将来理想的な国連ができて国家間のいろいろな紛争を国内警察活動と同じような形で国連が解決をつける形になった場合、それに(自衛隊が)参加することを今の憲法が全く認めておらないかといえば、必ずしもそうは言ってない
80年10月
 質問主意書への答弁書
 いわゆる「国連軍」は、個々の事例によりその目的、任務が異なるので、それへの参加の可否を一律に論ずることはできないが、当該「国連軍」の目的、任務が武力行使を伴うものであれば、自衛隊がこれに参加することは憲法上許されないと考えている。これに対し目的、任務が武力行使を伴わないものであれば、自衛隊がこれに参加することは許されないわけではないが、現行自衛隊法上は自衛隊にそのような任務を与えていないので、参加することは許されない
81年5月
 質問主意書への答弁書
 国際法上、国家は集団自衛権、すなわち、自国と密接な関係にある外国に対する武力攻撃を、自国が直接攻撃されていないにもかかわらず実力をもって阻止する権利を有しているものとされる。わが国が国際法上このような集団自衛権を有していることは、主権国家である以上当然であるが、憲法9条の下において許容されている自衛権の行使は、わが国を防衛するため必要最小限の範囲にとどまるべきものであると解しており、集団的自衛権を行使することは、その範囲を超えるものであって、憲法上許されない
90年10月 衆院予算委
 工藤内閣法制局長官
 国連憲章に基づく正規の国連軍にどのように関与するかは研究中で、明確には言えない。海外派兵は自衛の最小限の範囲を超えるから許されないなど、いわゆる憲法9条の解釈の積み重ねから推論すると、その任務がわが国を防衛するものとは言い切れない。国連軍に自衛隊が参加するのでは憲法上問題が残るのではないか


 
 
 
 
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