二十五日の総選挙で当選した新議員四百八十人のうち、五二%にあたる二百五十一人が「憲法を改正すべきだ」と考えていることが、朝日新聞社が実施したアンケートで明らかになった。憲法改正の発議には、衆参両院で三分の二以上の賛成が必要だが、新議員の意見集約から見る限り、衆院ではその水準には達していない。各党内の憲法論議も深まっていない。しかし、明確な態度を示していない当選者のなかにも、「論議したうえで将来の改正を」と改憲を視野に入れた議員が少なくなく、新しい顔触れも交えて再開される国会の憲法調査会の論議が注目されそうだ。
アンケートに答えたのは、全議員の九五%を超えた。主要政党別に分析すると、与党では総選挙の公約で「自主憲法制定」を復活させた自民党は七四%が改憲派。保守党も八六%と高い。しかし、同じ与党でも「九条堅持」を掲げる公明党ではっきり「改正すべきだ」と回答したのは四二%。与党内の考え方の違いが浮かんだ。
これに対し、選挙で躍進した民主党は「論憲」を掲げつつ、明確な態度を示していない議員が五九%にのぼる。改憲派は二八%で、一三%は「改正しなくてよい」と答えた。自由党は改憲派が八五%を占めた。共産党は全員、社民党は「天皇に関する条項を削除する」とした一人を除き全員が、それぞれ護憲を表明した。
改憲派の議員が想定する「改正すべき分野」では、戦争放棄を定めた九条のほか、環境権やプライバシー権などの「新しい人権」、首相公選制の導入、私学助成問題などが目立った。
一方、護憲派の議員があげる「改正しなくてよい理由」では、「国民主権、基本的人権の尊重、平和主義を基本原理とする憲法は国民に定着している」「改正しなくても法律で対応できる」などが多かった。
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