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私はこう考える【憲法改正について】

 事業名 組織運営と事業開発に関する調査研究
 団体名 日本財団(The Nippon Foundation  


1996/10/28 朝日新聞朝刊
平和意識は変わったか 「憲法公布50年」(社説)
 
 近年、憲法改正に関する世論調査の結果に変化が表れている。
 例えば、一九九三年三月に行われたNHKの世論調査で、今の憲法を改正する必要があるかを問うた質問に対し、「あると思う」が三八・四%で、「ないと思う」の三四・一%を超えた。同月の読売新聞世論調査でも、憲法を「改正する方がよい」五〇・四%、「改正しない方がよい」三三・〇%と、八一年に始まった調査で初めて、改正派が非改正派を上回った。
 その後の各調査でも、改憲「賛成」が「反対」をやや上回る傾向が続いている。
 戦後、五〇年代の前半までは、多くの世論調査で改憲「賛成」が「反対」を上回っていたが、五〇年代後半ごろに逆転。以来、冷戦崩壊の直後までは、ほぼ改憲「反対」が「賛成」を上回ってきた。
 最近の変化の直接的な要因は、九一年の湾岸戦争を契機に、「国際貢献」などを掲げた新たな改憲論が、政界や財界、マスコミなどの一部に高まり、さまざまな議論が展開されたことであろう。小沢一郎氏の「普通の国」論に代表されるように、その主張の中心は戦争放棄・戦力不保持を定めた憲法九条の見直しにあった。
 冷戦が終わり、国際社会における国のあり方や針路を改めて考える際、憲法にも関心が向くのは当然である。時代の変動期の中で、憲法意識に揺れが生じるのは、むしろ自然なことといえよう。
 ところで、先の九三年NHK調査では、「憲法改正の必要がある」と答えた人に、さらに九条にしぼった質問をしている。その結果は、九条改正の「必要はない」とする人が「必要」を上回っている。
 九五年十二月の毎日新聞の世論調査でも「改憲する方がよい」が三七%、「改憲しない方がよい」二二%、「わからない」三七%だったが、「改憲する方がよい」と答えた人に改憲すべき点を聞いてみると、「重要な政策課題は国民投票できるようにする」がトップだった。
 見落としてはならないのは、憲法自体の評価については、ほとんどの調査が高い数字を示し続けていることだ。
 九五年春の東京新聞(中日新聞)の読者アンケートでは、八五・九%が、憲法が果たした役割を評価している。九四年十二月の朝日新聞世論調査でも、「日本が戦後、平和だった理由」として挙げられたのは「平和憲法」がトップ、次が「悲惨な戦争体験」だった。
 このように、世論調査に表れた意識はさまざまである。一部だけを取りあげて、国民の平和憲法への支持の様変わりととらえるのは、早計であろう。
 憲法九条は、多くの戦争が「自衛のため」といった名のもとに起きた歴史を踏まえ、国民に定着してきた。戦争自体を悪だとする戦争観や日本人の平和意識は、あまり変わっていないのではないか。
 北海道新聞が九五年四月に道内で行った調査によると、「憲法をよく知っている」と答えた人では、七七・三%が憲法は「このまま存続すべきだ」との意見なのに対し、「憲法をあまり知らない」と答えた人の七四・〇%が改正を支持している。気分的な改正願望、ということだろうか。
 憲法については大いに議論すべきである。その際に基盤となるのは、国民意識のありようだ。そこをないがしろにした憲法論争は不毛である。
 日本国憲法が公布されて、来月で五十年。半世紀を迎えた憲法を取り巻く状況を、何回かに分けて検証したい。


 
 
 
 
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