日本財団 図書館

共通ヘッダを読みとばす


Top > 社会科学 > 政治 > 成果物情報

私はこう考える【憲法改正について】

 事業名 組織運営と事業開発に関する調査研究
 団体名 日本財団(The Nippon Foundation  


1995/09/30 朝日新聞朝刊
再軍備の意図うかがえず 秘密議事録公開 憲法9条「芦田修正」
 
 衆議院は二十九日、一九四六年に日本国憲法の政府案を審議した「帝国憲法改正案委員小委員会」(芦田均委員長、通称芦田小委員会)の秘密議事録を公開した。同小委員会では「戦争放棄」を定めた九条が修正され、後に、自衛戦力保持に道を開くものとして「芦田修正」と呼ばれたが、芦田氏の最初の修正試案にはそうした明確な意図は見えず、むしろ非武装論に強く傾いていたことがわかった。また、社会福祉の原点となった憲法二五条の制定過程や、国民主権の導入に伴う、天皇の権限の制限や皇室財産をめぐるやりとりなど戦後政治の枠組みをめぐる生々しい議論も明らかになった。
 議事録公開は、「開かれた国会」を目指す改革の一環で、六月の帝国議会貴族院の秘密議事録公開に続くもの。この議事録の内容は、連合国軍総司令部(GHQ)に英語で報告され、米国ですでに公開されているが、今回の公開で、九条や皇室に関するGHQ側との具体的な交渉や論議の一部が、報告文で削除されていたこともわかった。
 芦田小委員会は、新憲法の政府案に与野党で共同修正を加えるために設けられた。委員は計十四人で、四六年七月二十五日から八月二十日まで計十三回、約三十時間、審議が行われた。
 焦点となった九条修正は、四回にわたり論議された。軍備放棄の規定の仕方が消極的だなどの意見が相次いだのを受けて、芦田氏が「試案」を提出。政府案一項の「戦争放棄」と、二項の「戦力不保持」を入れ替えたうえで、その一項冒頭に「日本国民は、正義と秩序とを基調とする国際平和を誠実に希求し」、二項冒頭に「前掲の目的を達するため」を、それぞれ挿入した。
 この修正について、芦田氏は自発的に戦力不保持を打ち出す点に力点をおいた説明をしているが、金森徳次郎憲法問題担当国務相が「将来国際連合等トノ関係ニ於キマシテ、戦力保持ナドト云フコトニ付キマシテハ色々考フベキ点ガ残ツテ居ル」などと消極論を述べたため、最終的に一、二項の順番は元に戻すことになった。
 議事録によると、最終文案に残った「前項の目的」について、芦田氏は「国際平和を念願」という一項冒頭の文言との重複を避ける表現だと明言している。
 しかし、その後、この議事録が秘密扱いされるなかで、芦田氏が、「前項の目的」を挿入した狙いを、自衛のための戦力保持まで禁じられることのないようにしたと説明したことから、この修正が「芦田修正」と呼ばれ、長く再軍備論の有力な根拠とされてきた。
 しかし、議事録を見る限り、芦田氏がそうした意図で修正を提案したとは見えず、むしろ軍備をめぐる芦田氏の心の揺れを浮き彫りにした格好だ。
 一方、GHQへの報告では削られていた金森氏の答弁からは、国連加盟時に軍事的な貢献を求められる可能性もにらみ、二項の「戦力不保持」に解釈や改正の余地を残すことを政府が考えていたことをうかがわせる。
 芦田小委員会では、九条修正のほか、「国民主権」を明記したり、社会党の主張で、二五条に「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」という、いわゆる「生存権」の規定を加えるなど、いくつかの重要な修正が行われた。


 
 
 
 
※ この記事は、著者と発行元の許諾を得て転載したものです。著者と発行元に無断で複製、翻案、送信、頒布するなど、著者と発行元の著作権を侵害する一切の行為は禁止されています。





サイトに関するご意見・ご質問・お問合せ   サイトマップ   個人情報保護

日本財団会長笹川陽平ブログはこちら



ランキング
注目度とは?
成果物アクセスランキング
25位
(28,647成果物中)

成果物アクセス数
271,352

集計期間:成果物公開〜現在
更新日: 2017年3月25日

関連する他の成果物

1.私はこう考える【北朝鮮について】
2.私はこう考える【中国について】
3.私はこう考える【ダム建設について】
4.私はこう考える【死刑廃止について】
5.私はこう考える【公営競技・ギャンブル】
6.私はこう考える【天皇制について】
7.私はこう考える【国連について】
8.私はこう考える【自衛隊について】
9.私はこう考える【教育問題について】
10.私はこう考える【イラク戦争について】
  [ 同じカテゴリの成果物 ]


アンケートにご協力
御願いします

この成果物は
お役に立ちましたか?


とても役に立った
まあまあ
普通
いまいち
全く役に立たなかった


この成果物をどのような
目的でご覧になりましたか?


レポート等の作成の
参考資料として
研究の一助として
関係者として参照した
興味があったので
間違って辿り着いただけ


ご意見・ご感想

ここで入力されたご質問・資料請求には、ご回答できません。






その他・お問い合わせ
ご質問は こちら から