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私はこう考える【憲法改正について】

 事業名 組織運営と事業開発に関する調査研究
 団体名 日本財団(The Nippon Foundation  


1994/10/09 朝日新聞朝刊
路線見直しは「聖域」なしに(社説)
 
 自民党の基本問題調査会(後藤田正晴会長)が、結党以来の基本路線と総裁選挙のあり方などの見直しを始めた。
 去年の夏、四十年近い長期政権の座を明け渡したため、党再生の道をさぐる目的で設けられた党改革本部が、この八月「次期定期党大会までに党の理念、綱領等基本方針を見直し、新しい時代の国家ビジョンを国民に提示せよ」と提言した。後藤田調査会の発足はこれを受けてのことだ。
 一九五五年十一月の結党大会で採択された綱領や「党の性格」「党の使命」「党の政綱」といった基本方針をあらためて読み直してみると、三項目の簡潔な綱領は別として、全体として社会主義革命に対する危機感と占領政策の是正に力を入れていることが際立っている内容だ。
 サンフランシスコ条約で独立を回復して四年、国際的には朝鮮戦争が休戦し、米ソ冷戦が本格化しつつあり、国内では左派社会党が急速に力を伸ばしていた。そんな時代の様相を色濃く反映した文書だが、ソ連、東欧の社会主義体制は崩壊し、東西冷戦も終結、社会党が基本政策を大転換した今となっては、ずればかり目立つ。
 立党宣言では「少なくとも十年後の世界を目標」にしていたのに、約四十年間も綱領や理念をそのままにしていたことの方がおかしい。遅きに失した感はあるが、思い切って全面的に書き換える気持ちで取り組むべき課題である。その際期待したいのは新時代の保守のあり方をわかりやすく、簡潔にまとめることだ。
 具体的な論点としては、「自主憲法の制定」をうたった「党の使命」や「党の政綱」の扱いが大きな問題になるだろう。六日の初会合でも、改憲論者の渡辺美智雄氏が「憲法改正は当たり前。(政綱などの見直しは)慎重に扱うべきだ」とくぎをさしたほか「調査会に護憲派ばかり起用されている」といった不満も出ている。
 基本方針の見直しに「聖域」を設ける必要はない。戦後五十年の歩みの中で現行憲法は広く国民の中に定着した。現在、憲法改正を望む声が多数とは思わないが、憲法は国政の基本ルールである。改正の是非を徹底的に論議し、内容をくわしく国民の前に明らかにしてもらいたい。
 自民党はこれまで、改憲の党是と時の内閣の方針を使いわけ、右から左まで何でも抱え込む「幅の広さ」を演出してきた。党内ではかつての押しつけ憲法論は力を失い、代わりに国際貢献を理由とする改憲論が台頭しつつある。論争をつきつめると、党が分裂するかもしれないが、思い切った論議の展開は「ねじれ」を解消し、政界再編を進める効果もある。
 自民党に対する国民の要求で、もっとも多いのは「体質の改革」である。連立与党の社会党が九月中旬全国の有権者二千人を対象に実施した世論調査によると、「連立維持のために自民党はどんな問題で転換をすべきか」という質問に、「族議員といわれる癒着体質」が三五・九%、「企業献金の肯定」二〇%、「侵略戦争と認めない歴史観」が一七%などとなっている。
 体質改革で重要なのは派閥政治の行方である。その点で調査会のもう一つのテーマである総裁選挙のあり方も、見逃せない問題だ。連立政治の時代になって、たしかに派閥の影は薄くなった。しかし、自民党の政権参加が常態化するようになれば、またかつてのような派閥政治が横行する可能性は否定できない。
 民主的で、派閥活動を激化させないような仕組みに知恵をしぼる必要がある。


 
 
 
 
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