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私はこう考える【憲法改正について】

 事業名 組織運営と事業開発に関する調査研究
 団体名 日本財団(The Nippon Foundation  


1994/05/03 朝日新聞朝刊
憲法論議に「再編」の波 小沢氏ら攻勢続く 構想力問われる護憲派
 
 三日は憲法記念日。連立政権の中枢を占めてきた小沢一郎新生党代表幹事が、国際貢献に関連して憲法の見直しを提起し、新党さきがけの武村正義代表らが護憲の立場を明確にするなど、政界再編の波は憲法論議にも押し寄せている。連立政権が少数与党に転落したなかでも、小沢氏らは自民党の一部の同調も見込んで、憲法論議での攻勢を強めていくだろう。こうした動きに、「護憲」を掲げてきた自民党の河野洋平総裁や野党に転じた社会党などがどう対峙(たいじ)していくのか。その構想力が問われている。(政治部・星浩)
 小沢氏は政界再編に向けた基本姿勢をまとめた著書「日本改造計画」で、戦争放棄を定めた憲法第九条に、自衛隊や国連待機軍の保有を認める条項を加えるなどの改正を検討すべきだと主張した。国際貢献面での制約をできる限り解消し、「普通の国」をめざす政策を政界再編のひとつの軸としたいというのがその狙いだった。「改憲=改革派、護憲=守旧派」という構図をつくりあげようという思惑もうかがえる。
 この動きに呼応したのが渡辺美智雄元副総理・外相だった。細川護煕前首相の辞意表明前後から小沢氏との連携に動いた渡辺氏は、この四月に出版した「新保守革命」で、国連協力に関連して憲法改正の検討を提言している。渡辺氏の離党は封じられた格好になったが、自民党内では憲法論議を軸とした政界再編の火種は消えていない。
 これに対して、護憲の側はどうか。自民党の河野総裁はかつて、党政綱にある「憲法の自主的改正」を改めるよう訴えていた。だが、いまこの問題を提起すれば党内に亀裂を生みかねないとの判断もあって、「護憲」の立場を明確にしようとはしていない。
 社会党では昨年、当時の山花貞夫委員長が「創憲論」を打ち出した。防衛問題を中心に解釈改憲がなし崩し的に進むなか、積極的に憲法のあるべき姿を考えようという発議だったが、その後、立ち消えとなっている。そればかりか、社会党は連立政権に参加したことで「現状の自衛隊は違憲だが、閣僚としては(合憲という)政府の見解に従う」といった苦しい見解の表明を強いられてきた。
 野党に戻った社会党が、従来通りの「護憲」を掲げるのか、「創憲論」に沿って憲法論議に正面から取り組むのか、村山富市委員長らの戦略は定まっていない。
 新党さきがけの武村代表は、著書「小さくともキラリと光る国・日本」の中で「軍事的な貢献に関して憲法を改める必要はない」と明言。「護憲」をひとつの軸として「社民・リベラル」勢力の結集を探る動きが、政界再編のひとつの焦点となる可能性も出てきた。
 こうした憲法をめぐる状況について、護憲の立場をとる宮沢喜一元首相は「二大政党ができた場合、それを分けるのが憲法を改正するかどうかという話になるなら不幸だ。憲法改正の論議は大いにやったらいいが、それで二つの大きな政党が争うという構図は好ましいとは思わない」と語る。小沢氏らの政治的意図を見据え、いま憲法論議に入ることへの懸念を表明したものだ。
 だが、憲法問題での小沢氏らの攻勢は激しく、周到である。護憲の側が論議の土俵に乗ることを避けているだけでいいのか。
 自民党の改憲志向を社会党が「阻止する」と唱え続けてきた五五年体制は幕を下ろした。「二大政党」か「穏健な多党制」か、どちらにつながるにせよ、政界再編の動きは衆院の小選挙区比例代表並立制選挙に向けて走り始めている。その中で憲法を単なる「再編ゲーム」の材料におとしめるのではなく、政治にどう位置付けていくのか――政党、政治家の役割は重い。


 
 
 
 
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