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私はこう考える【憲法改正について】

 事業名 組織運営と事業開発に関する調査研究
 団体名 日本財団(The Nippon Foundation  


1993/03/04 朝日新聞朝刊
ミスター改憲 憲法論議の背景:3 (なんでもQ&A)
 
Q:憲法改正といえば、中曽根康弘元首相はもう過去の人なんでしょうか。
A:過去の人どころか、ばりばりの現役ですよ。つい最近、自民党内に「首相公選制を考える国会議員の会」というのが発足し、現行憲法との兼ね合いで論議を呼んでいますが、その背後で中曽根氏の「影」がちらついています。
 
Q:また、どうして。
A:というのも、改憲とからめて首相公選制を最初に提唱したのは中曽根氏です。それに、今回の公選論の推進者は「NYKK」と呼ばれる中村喜四郎建設相、山崎拓前建設相、小泉純一郎郵政相、加藤紘一党幹事長代理らですが、事前に中曽根氏と接触、知恵を借りているからです。
 
Q:最近、テレビや雑誌でも中曽根氏が時々登場しますが。
A:おっしゃる通り。文芸春秋三月号「大きな政治と小さな政治」でもラッパを吹きまくっています。例えば「二大政党をつくれとか、政権交代可能な体制をつくれとか、よく言われるが、首相公選制の方が要請にこたえられると思う。小選挙区制も一つの解答ではあるが、小選挙区制の方が独裁の危険が強いと私は見ている」とね。
 
Q:「ラッパ」とは、また古い表現を。あの人のことですから音色は澄んでいるでしょう。
A:自己流に、はっきりした音色です。「社会党は政策的に破綻(はたん)した。自民党は長期政権の金属疲労で汚職が起きた。そこで、改革の目標は政治の指導力を作ること、汚職を追放すること、行政の大改革をすること、日本の国際的役割遂行のため国連憲章と憲法との関係を調整することの四つが必要である」とも言っています。要は、政界再編も大事だが、政治家の立脚点というものをもう一度洗い直して考える必要がある、ということのようです。
 
Q:なるほど。でも、リクルート事件など、ある意味で泥にまみれていて、よく言えますね。
A:今日は憲法問題の話なんだから、事件うんぬんは別の機会に譲ろう。なにしろ、中曽根氏の憲法問題への取り組みは年期が入っていて、改憲論者としては「本家本元」と言えるでしょう。その軌跡をたどることは、自民党の軌跡でもあるわけです。ちなみに、一九五六年には自主憲法期成連盟主催の「憲法改正の歌発表会」をやっています。この時に首相公選論を持ち出して「首相と恋人は私が選ぶ」と全国行脚までやりました。
 また、岸信介政権の時にできた憲法調査会委員として六四年に最終意見書「国民投票で、占領軍憲法から脱出して自主憲法をつくれ」を提出しています。
 
Q:約五年間の中曽根政権時代はどうしていました。
A:六〇年安保闘争で岸政権がつまずいた後、歴代政権は憲法改正には手をつけないという基本路線ができた。中曽根首相も、自分は改憲論者であるけれども現行憲法には手をつけない、との姿勢をとりました。
 
Q:本人は、さぞ、うずうずしていたことでしょう。
A:その“反動”ともいえるのが中曽根氏が目指した「大統領的総理大臣」だったわけです。
 
Q:本来、どんな思想の持ち主なのでしょう。
A:中曽根氏を観測し続けてきたある国会議員が「中曽根氏は、首相公選論は天皇制と矛盾するという反論に対して、そういうことをいう人たちは皇国史観に立っている、という。でも、中曽根的発想は天皇制をもっと上に位置づけるもので、天皇神格化論に通じる。皇国史観より恐ろしい」と指摘しています。そう言えば、中曽根氏は政権の座を去る直前に「(戦後)民族が団結し、社会の秩序を統一する時に考えたのは『天皇制』だった。総理大臣は、政治の渦中に生き抜く中でさまざまな飛まつを浴びる。しかし、天皇は、そういうものから超然としている。いっさいから離れているが故に、天空にさんぜんと輝く太陽のごとき存在だ」と強調したのを覚えています。
 
Q:首相退任後はどんな活躍をしたのでしょうか。
A:「世界平和研究所」を設立、九一年六月には「日本の国際社会への貢献と憲法」について提言しています。終着駅は、むろん、憲法改正につながります。
 
Q:なかなか「枯れない」ものですね。
A:今、なにかにつけて一番の「元気印」は、七十四歳のこの人ではないでしょうか。
(編集委員・国正武重)


 
 
 
 
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