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私はこう考える【憲法改正について】

 事業名 組織運営と事業開発に関する調査研究
 団体名 日本財団(The Nippon Foundation  


1990/08/31 朝日新聞朝刊
中東支援策めぐり首相に積極策迫った小沢・西岡氏
 
 中東支援策をめぐって、自民党内では「中期的には憲法改正も検討課題」(西岡総務会長)という意見から「一時の興奮でものを言うべきでない」(河本派首脳)という意見まで、さまざまな声が渦巻いた。だが、「外交は政府の専権事項」(幹部)という建前の下で、この問題について党としての考え方をまとめることはなく、実際には小沢幹事長ら何人かの首脳が海部首相に個人的な意見を伝える形で進んだ。党内「論議」のあとをたどってみる。
 
 <突出>突出した言動で目を引いたのが、小沢幹事長と西岡総務会長の2人。小沢氏は27日の4役会議で「現行法制下でも自衛隊を派遣することは可能」との見解を表明。翌28日には西岡氏が「憲法改正」発言をした。
 西岡氏は22日に首相公邸に乗り込んだ際も、海部首相に「政府部内の意見調整を待たずに、首相の政治決断で思い切った支援策をまとめるべきだ」と直談判。自衛官の派遣についても進言したが、首相がこれを渋ると、28日朝の月例経済報告関係閣僚会議の席上、「殿、ご決断を」と書いたメモを首相に手渡したという。
 一方、26日に首相を訪ねた小沢氏も「日本の出方によっては米国の対日世論が硬化し、国際社会で孤立する」と迫った。小沢氏は米国大使館と接触する中で、米国の要請の主眼が「武器を携行しない自衛官を派遣し、後方任務につかせる」ことにあると判断。「首相が自衛官派遣を決断するなら、責任をもって首相を支える」と漏らし、ひそかに党内実力者への協力要請や両院議員総会開会の段取りも練っていた、という。
 「緊急事態への対応は場当たり。危機管理がまるでできていない」との思いは小沢、西岡両氏に共通している様子。小沢氏には、「ポスト冷戦」下で日本にも新たな役割が求められていることを印象付け、野党、特に社会党に対して一層の現実路線に踏み出すよう促したい、との気持ちもあったようだ。
 
 <低調>2人の動きとは裏腹に、全く低調だったのが党内論議。党の意思決定機関である総務会が開かれたのは、支援策決定直前の27日で、2日後には支援策の内容を全く知らされないまま「4役一任」でゲタを預けてしまった。実はイラク侵攻翌日の3日、西岡総務会長が緊急総務会を呼びかけたが、出席回答は西岡氏を含めたった3人で、見送りに。
 古参の党職員の1人は「かつてなら、反対意見の若手がなだれ込んで大騒ぎを演じるところなのに」と、余りの様変わりに驚きの表情だ。
 選挙区の直接の利害が絡まないだけに、議員の関心はいまひとつ。加えて、新国際秩序づくりに絡む、まだ直面したことのない問題だけに、「こんな難しい話、政府に任せたら」(竹下派中堅)との空気も根強い。
 一方、国防部会幹部は「大衆討議をしても国論の分裂をさらけ出すだけ」、外交部会幹部は「感情論が噴き出して、人質の身にもしものことがあったら」と、積極派も慎重派も論議を避けた形跡もある。
 
 <先兵>28日、金丸信氏や安倍晋太郎氏らを訪ねたアマコスト駐日米大使は「4週間もたつというのに日本は何ら具体的な貢献策を決めていない」「我々はとにかく、中東に日の丸を立ててほしいのだ。船でも飛行機でも人でもいい。お金だけというのはダメだ」。党内からは「日本を51番目の州くらいに思っているのではないか」(首相経験者)との不快感も出た。しかし、それが対米批判に結びつくことはなく、金丸氏らは首相との電話で「早急に思い切った支援策を決断すべきだ」と促した。
 現在の自民党にとって、米国は「にしきのみ旗」的な存在。コメ問題や欧州統合に向けた動きなどをにらむと、「多少うるさいことを言われても、ソデにはできない」(幹部)との空気が根強いのだ。


 
 
 
 
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