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私はこう考える【憲法改正について】

 事業名 組織運営と事業開発に関する調査研究
 団体名 日本財団(The Nippon Foundation  


1990/08/28 朝日新聞朝刊
自民、くすぶる幹事長の自衛隊派遣論 中東対策の遅れにいらだち?
 
 27日の自民党4役協議で、中東情勢に関連して小沢幹事長が示した「現行法制下でも自衛隊を派遣することは可能」との見解について、政府や学界内では否定的な意見が強く、自民党内からもさっそく「理解できない。アジア各国の不信感を買わないか心配」(外交調査会幹部)などの声が挙がっている。小沢氏の真意は今ひとつはっきりしないが、背景には、今回のような緊急事態に対して思い切った行動が取れないわが国の法体制や、海部首相を始めとする政府側の対応のもたつきぶりへのいらだちがあるようだ。
 関係者によると、小沢氏は根拠として「共同の利益の場合を除く外は武力を用いない」ことをうたった国連憲章前文と、日本国憲法98条で条約および国際法規の順守の必要性を掲げていることを挙げたという。つまり、(1)国連は各国共通の利益を保護するためには武力行使も認めている(2)今回のイラクの行為は明らかな国際法違反だ(3)日本は国連中心主義の平和外交を掲げており、国連が平和を確保するため武力を行使するというなら、現行法制下での自衛隊の派遣も許される、との理屈立てらしい。
 小沢氏の発言は、派遣の目的をあくまでも邦人保護など「平和目的」に限定、直接の武力行使まで念頭に置いたものではないようだ。だが、今回の事態に関連して、自民党内では「現在の多国籍軍を国連軍に衣替えしたうえ、自衛隊を参加させるべきだ」などの意見が出ており、小沢氏の発言の背景にはこうした党内の空気がある。
 もっとも、政府は、慎重な構えを見せており、自民党の外交関係議員の間でも「法に明示していない出動で海外に派遣するのは無理」との考え方が大勢だ。中には「国会、とくに参院での与野党逆転を考えれば、野党に反対の強い自衛隊法改正など不可能」(安倍派幹部)との現実的な声もあり、28日開かれる総務会を手始めに、今後の党内論議でこうした慎重意見が出ることも予想される。
 小沢氏はむしろ、政府・自民党ともこの種の問題に深入りするのを避けてきたため、こうした緊急事態に対する態勢がわが国の場合、余り整備されていない、ということを指摘したいらしい。竹下派の金丸信会長がこの日、同派の研修会で「国内有事」を含めた法体系の整備が急務と訴え、憲法改正にまで言及したのも、小沢氏と気脈を通じたものと見られる。
 また、4役協議では「国立大の医師を派遣するにしても教授会の承認が必要で、政府だけではどうにもならない」などの例を挙げて、首相が指導力を発揮して対応策を打ち出さない限りこうした壁は突破できないとの意見も出された。党側には「首相は小手先の対応でお茶を濁そうとしているのではないか」(幹部)との声もあり、金丸氏も研修会のあいさつで、24日に首相と会談した際に「(対応策の取りまとめで)国民の批判を受けるようなことがあれば、甘んじてその責任を取ればいい」と述べたことを紹介した。小沢氏の発言はこうした党内の空気を背景に、首相に思い切った決断を求める意味合いも込められているといえそうだ。
 
<支援策こう思う>
小林直樹専修大教授(憲法)
 武器や弾薬の運搬は軍事的活動そのものであり、憲法違反になる。「民間機なら構わない」というのは、事実上の脱法行為だ。従来から私は、自衛隊を医療や民間の困難救済を目的とした平和部隊的な組織に組み直すべきだと主張している。非軍事的な平和部隊を編成して民間機で派遣すれば違憲ではない。日本ができることは後方任務だけであり、その範囲も非常に限定される。人的支援が必要なら、医療などの赤十字活動や戦争被害者の救済に限定しなければならない。
 
猪木正道・元防衛大校長
 国際法は国内法に優先する。国連は集団的自衛権を前提にしており、わが国は1956年に国連に加盟した瞬間から集団的自衛権を持つようになったと解釈すべきだ。従って国連安保理が平和維持のための決議を行った以上、現行法制下でも当然、自衛隊の派遣はできる。自衛隊法を広義に解釈すれば現在でも派遣は可能だが、この際、海外での平和維持活動を任務として明記した方がすっきりする。政治的には中国、韓国など近隣諸国への配慮という問題があるが、あくまでも平和維持が目的であり、各国の理解を得られると思う。
 
山内敏弘・独協大教授(憲法)
 大切なのは武力衝突を避けるために日本は何ができるかを考えることだ。現在なら、調停に乗り出したデクエヤル国連事務総長に、どんな協力ができるかだ。軍事衝突を前提として、米国の立場に立った支援策を考えること自体、間違っている。医療の面での救済行為はあり得る。しかし、政府の考え方は、国際赤十字のように敵、味方の区別なく看護するのではない。なんとなく人道的な面から、だんだん軍事的な協力へ向かう危険性をはらんでいる。日本は憲法の趣旨を国際的にもっと主張すべきだ。それが日本の平和外交の原点だと思う。


 
 
 
 
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