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私はこう考える【憲法改正について】

 事業名 組織運営と事業開発に関する調査研究
 団体名 日本財団(The Nippon Foundation  


1964/05/03 朝日新聞朝刊
きょう憲法記念日 政治論争、新たな局面へ
自主的制定めざす・自民談話 改憲の阻止に全力・両社声明
 
 きょう三日は憲法記念日。現行憲法が昭和二十二年五月三日施行されてから満十七年目を迎えた。ちょうど政府の憲法調査会が八年越しの審議を経て来月下旬には内閣と国会に最終報告書を提出するという大詰の段階にさしかかっており、これを契機に改憲、護憲をめぐる政治論争が高まってくるとみられる。旧帝国憲法に代る民主憲法として発足し、我国政治、経済、文化、社会のあらゆる部門に根をおろしてきた現行憲法の是非が、国民の前にあらためて問われるという重大な情勢に直面することになった。
 自民、社会、民社の各党は三日付でそれぞれ幹事長談話、党声明を発表、憲法改正問題に対する各党の立場を宣明した。このうち自民党の幹事長談話は「将来真の自主性ある国民憲法が国民の総意でつくられることを期待する」として、かなり改憲の意思をにおわした公式見解で、憲法調査会の最終報告書提出を機に、国会に「憲法調査の機関」を設置することを提唱するなど憲法問題に積極的な態度を示した。
 一方、護憲をスローガンとしている社会党および憲法擁護国民連合(代表委員、海野普吉氏ら)、総評などは「平和と民主主義を守る」との立場から憲法記念日をきっかけに憲法“改悪”阻止を広く国民に訴え、各種の行事をこれまでになく幅広くくりひろげようとしている。
 また民社党およびその支持団体である憲法擁護新国民会議(議長、片山哲氏)、同盟会議などの社会党とは別に護憲の立場から国民集会などの運動を準備している。このように革新陣営は総じて「護憲、憲法“改悪”阻止」という公約数で足なみをそろえ政府、自民党側と鋭く対決する姿勢である。
 こうした情勢の中で政府は、三日の記念日には自民党の幹事長談話だけで充分だとし、このほか格別の意思表示や行事は行わない。政府としては憲法問題についてこれまで池田首相がくりかえし述べているように「国民の総意によって解決する」との基本態度であり、当面は憲法調査会の最終報告書の「提出待ち」といったところである。
 しかし八年越しの憲法調査会の最終報告書が提出されれば、政府としてもこれまでのような“抽象的”な言明だけではすまされない情勢がかもし出されるものとみられ、これをきっかけにわが国の長い憲法論争も新局面にはいることになろう。
 
自民党幹事長談話、社会、民社両党の声明(要旨)次の通り。
自民幹事長談話
 現行の日本国憲法制定の経過と内容については政府の憲法調査会で長期間にわたり慎重に調査され近くその結論が内閣および国会に報告されることになっている。
 われわれは、憲法問題解決の根本態度として、国民的な解決をはかることを主張するものであり、憲法問題が国民共同の事業として建設的に処置され、将来真の自主性ある国民憲法が国民の総意としてつくられることを期待する。
 われわれは、しばしば公約しているように平和主義、民主主義、主権在民、国際協調主義、基本的人権の尊重、福祉国家の理想など現憲法の長所は擁護しようとするものであり、天皇主権制、徴兵制、旧家族制度の復活、基本的人権の圧迫などを企てるものではない。
 わが党は、政府の憲法調査会の報告書提出を機とし、広く現行憲法の制定の事情とその問題点を周知せしめることに努め、適当な時期に国会に憲法調査の機関を設置することを提唱する。
 
社会党の声明
 日本国憲法は太平洋戦争の惨たんたる犠牲とその深い反省に立って、日本が平和国家、民主国家として生れ変る堅い決意のなかから誕生したものである。この憲法が生れて四、五年の間は国として憲法記念日を祝ったが、今日では政府は何らの意思表示も行わないという冷淡さである。このような憲法に対する態度の変化は憲法改正論の台頭と正比例している。
 特にさる三十二年、憲法調査会が設置されて具体的に憲法改正の実質的な準備活動が行われるようになってからは、自衛隊の増強をはじめとして、あらゆる憲法違反の事実を強行し、条文改定の前に既定事実による憲法のなしくずし改正つまり“憲法の空洞化”をはかって実質的に憲法の基本精神を崩壊させようとしている。
 日本国憲法のすぐれた点は、非武装、武力放棄の絶対平和主義、国民主権の民主主義、基本的人権尊重の人権主義の三本の柱を基本精神としているところである。
 われわれは、日本国憲法の基本精神をくずそうとする改憲派の手から今日までこの憲法を守ってきたが、さらに一層、憲法に対する国民の理解を深め、護憲運動を強めると同時に、政府に対しては憲法の完全実施を要求して、国民生活のなかに憲法を生かして行く強い決意を明らかにする。
 
民社党の声明
 われわれは憲法が規定している国民の生活と権利を高めることが、わが党の主張する福祉国家の建設につながることであり、そのため政治の場を通じて最大の努力をはらってきた。
 この六月末、改憲の意図をもって憲法調査会の報告書が内閣と国会に提出されるが、政府、自民党はこの機会をとらえて憲法改悪と民主主義に逆行する意図を明確にしようとしている。
 わが党はかねてから憲法改悪反対運動を展開してきたが、今年はさらに現行憲法を守る運動をより強力に進め、全国の護憲を主張する多数の国民としっかり手を結んで強力な国民運動を展開し、改憲が事実上不可能となる日まで党の全力をあげて戦い抜く。


 
 
 
 
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